大阪府大学教職員組合

 府大教定期大会

2011年度府大教定期大会
2013年度府大教定期大会
2014年度府大教定期大会
2015年度府大教定期大会
2017年度府大教定期大会
2018年度府大教定期大会
2019年度府大教定期大会
2020年度府大教定期大会

大阪府市統合本部
大阪府市新大学構想会議
   で議論されています。

2012年度府大教定期大会

と き 2012年8月24日(金)12:15~
ところ B3棟(教育棟) 1階 117教室

大会決議

昨年の東日本大震災は、我が国の社会の大きなターニングポイントとなりました。東京電力福島第一原発の事故では、原子力依存のエネルギー政策を推し進めてきた政府、産業界とともに、産学官連携の名の下に協力をしてきた大学もまた、その責任を問われています。今こそ大学は、良識の府として、国民の未来に対して責任を持ち、適切な情報発信を行い、社会に貢献して行かなければなりません。

大阪府大学教職員組合2012年度定期大会は、大阪の文化、教育、府民生活を切り捨てる橋下改革の下で、府市大学統合が進められ、大幅な教職員削減と運営費交付金削減が押しつけられている中、賃金の切り下げと業務量増加という二重苦の中におかれているすべての組合員の怒りと、現状変革への熱い願いとともに開催されました。

府大教は、高等教育と学術文化の発展を担う大阪府立大学を、府民をはじめ多くの国民が求める「公立大学」として維持向上させるために、国および府がその責任を果たすべく運営費交付金を増額すること、大学法人が教育の質を確保し、教育研究に責任の持てる教職員の配置計画を明らかにすることを求めます。

府大教は、労働運動の長い歴史の中で労働者自らが勝ち得た団結する権利を尊び、すべての教職員の団結の下、教育研究環境と勤務労働条件の改善に向けて力強く前進していくことを決議します。

「自ら大阪府立大学を守り、働く条件を改善するために組合加入を!」をスローガンに、共に頑張りましょう。

2012年8月24日

大阪府大学教職員組合2012年度定期大会




目  次

第5号議案 2012年度活動方針に関する件

2012年度における活動方針について、大会議案として以下に提案します。

  1. 教職員の勤務労働条件の改善
  2. 大学の民主的改革に関する取り組み
  3. 教育研究環境の充実に関する取り組み
  4. 組織強化
  5. 大学の使命と、国民的課題への取り組み

第5号議案

2012年度活動方針に関する件

昨年の東日本大震災は、我が国の社会の大きなターニングポイントとなりました。東京電力福島第一原発の事故を含めて、この巨大な災害を予見できなかった、対策をとらなかったことに対する批判が科学技術分野に対して向けられています。これまで産学官連携、外部研究資金の導入等を推し進めてきた大学も、政府、産業界との共同責任を問われているのです。今こそ大学は、良識の府として、これからの我が国の生き方に対して、適切な情報発信を行い、社会に貢献して行かなければなりません。

一方、その大学の内部では、教職員の生活が危機に瀕しています。大阪府では、これまで10年以上賃金の抑制が行われてきました。とりわけ2008年からは、人事委員会制度などのこれまでの賃金決定機構を無視した、異例中の異例のトップダウン方式による、給与の特例減額が強行され、教職員の家計は大きな影響を受け、今も続いています。本年から始められた国立大学を含めた国家公務員の賃金引き下げ、あるいは大阪市で行われようとしている事態は、すべて大阪府が4年前に始めたことと同じです。財政危機の後始末を、すべて労働者に押しつけようという動きは、これからも続く可能性があります。歯止めをかけなければ、私たちの生活は破たんします。

同様にトップダウン方式で決定された第2期中期計画では、大阪府からの大学運営費交付金を90億円に削減するとともに、1割以上の人員削減も強要しています。大阪府は設立団体としての責務を放棄したかのような中期目標を掲げ、大学法人がそれに追従し、教職員と学生の意見を反映せずに策定した中期計画は、これまで以上に私たち教職員の勤務労働条件と大学の教育研究環境を悪化させていくものと言わざるを得ません。さらには、市立大学との統合という重大な問題も、大阪府市統合本部によるトップダウン方式で推し進めようとしています。

私たち教職員は、賃金低下と人員削減による職務量増加という2重苦の中におかれています。このような厳しい環境の中で、府大教は教職員の暮らしを守り、勤務労働条件と大学の教育研究環境の改善を目指し、2012年度の活動方針について、大会議案として以下に提案します。

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重点課題と具体的取り組み

Ⅰ 教職員の勤務労働条件の改善



A) 給与、労働条件の改善について

私たち教職員の勤務労働条件は、労働基準法第1条で「労働条件は、労働者は人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定められた労働条件の原則に則り、第2条の「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」に拠って決定されます。また、労働契約法は第9条で「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」と定め、一方的な勤務労働条件の不利益変更を禁止するとともに、第10条で「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なもの」と勤務労働条件の不利益変更についての厳しい制限を定めています。労働者の保護を図る法の理念は、使用者が、賃金についての不利益変更を行う場合には、「代償措置その他関連する他の労働条件の改善」の措置を取ることを当然の前提としています。

給与については、地方独立行政法人法(地独法)第57条の3は、「法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならない。」と規定しています。すなわち給与の支給の基準は、「法人の財務状況と業務実績」および「社会一般情勢」であると明示し、大阪府が条例で府公務員に対して定める基準を、法人が画一的に法人教職員に適用することを強く戒めています。しかしながら、法人はこれまで給与改定に際して、法人の運営費交付金が大阪府によって措置されていることから「大阪府準拠」を提案し、私たち教職員の給与は、高等教育機関としては、社会一般情勢から見て低く抑えられてきています。特に、教員の場合は、主要国立大学の平均に比べ、その低さは顕著となっています。大学の教職員としての尊厳の回復のためにも、府立大学の発展のためにも、給与の改善は重要な課題です。国家公務員の給与が公務員バッシングとともに、東日本大震災の復興財源とするという名ばかりの理由で、人事院勧告に拠らず特例法で7.8%も切り下げられ、独立行政法人である国立大学においても給与切り下げが進められている中で、給与改善の取り組みは、私たち教職員の団結と組合運動にかかっています。労働法で保障された労使交渉に全組合員の団結で粘り強く取り組み、不利益変更を許さず、賃金切り下げ反対の取り組みをいっそう強化して、大学の崇高な社会的使命に相応しい「法人独自制度」を作らせる闘いを進めましょう。職員の給与改善には、府労組連に連帯して府職労の闘いを支援し、取り組みの強化を行っていきます。また、教員の給与改善には、国立大学の教職員組合の闘いと全大教の取り組みに連帯して、より一層の取り組みの強化を図ります。

A1 業務に見合った特殊勤務手当等の導入

これまでの府大教の取り組みの中で、法定職手当は特殊勤務手当として制度化され充実されてきました。一方、社会貢献手当は表彰規程に基づく報奨金として支給されています。実際に汗をかいている教職員の業務に見合った特殊勤務手当の導入は、勤務労働条件の改善向上、組合員の権利拡大に向けて重要な課題です。特殊勤務手当等の新設、導入については、今後も他の国公立大学の状況を調査し、教職員の業務の実態に合わせて取り組みを進めていきます。

A2 裁判・労働委員会闘争

府大教は労働組合として法人登記し、「法人格」を取得することにより、府大教が裁判所や労働委員会に提訴するための条件を整備してきました。また、労働審判法は使用者と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルを、そのトラブルの実情に即し迅速、適正かつ実効的に解決することを目的とする労働審判手続を定め、通常の裁判訴訟に比べて手続も容易で、短期間で紛争解決を図る手段として組合員が個人として訴訟する有効な手段です。府大教は、北大、阪大において不当労働行為救済申し立てが地方労働委員会で認められたことや多くの私立大学の裁判闘争の勝利からの教訓に学び、これからも裁判・労働委員会闘争について研究、検討を進めていきます。

A3 勤務時間の短縮について

教職員を勤務時間の短縮を要求してきた府大教の運動の成果として、2010年4月より専任職員への勤務時間の短縮が導入され、2011年4月からは非専任職員(フルタイム契約職員)にも勤務時間の短縮が実施されました。2つの勤務体制(A勤9時~17時30分、B勤9時15分~17時45分)により実施されている勤務時間制は、多くの職場で定着してきているものの、短縮の成果が十分に見られないことやサービス残業の実態も見られることから、各職場の勤務実態を踏まえ、すべての教職員にとって勤務時間の短縮をさらに実効あるものとするために、勤務時間体制の見直しと改善が必要です。組合員の皆さんの声を基に、勤務時間の短縮を実効あるものとするため、粘り強く運動を進めて行きます。

A4 教職員の人事評価制度について

2006年に大阪府の教職員に人事評価制度が導入され、法人においても府派遣職員をはじめ教員を除く全ての法人職員に「大阪府準拠」の人事評価が行われ、勤勉手当と昇給に評価結果が反映されています。大阪府の人事評価制度はこれまでの府労組連と府職労の闘争の取り組みの中で、多くの問題点が指摘され、いくつか見直しされてきましたが、府派遣職員の法人職員化などにより府派遣職員が大幅に減少する府立大学では、法人独自の職員の「人事評価制度」が必須です。また、府人事委員会は「人事評価は、評価を通して、職員の資質の向上及び公務能率の向上を図ることが目的であり、人事評価制度の運用にあたり、最大限の効果を発揮するための努力を継続されるよう望む」として、すでに破たんしている評価制度を追認する不当なものになっています。民間研究機関の調査でも「企業内の年齢内格差が大きい企業ほど、社員の健康状態が悪いことが確認され、成果主義導入による弊害が生じている」ことが明らかになっています。府大教は、組合員の意見を基に、法人独自の人事制度の構築とともに、人事評価制度の見直しを要求して行きます。

教員の業績評価と処遇への反映は、その目的が高等教育機関としての大学の使命と責務に合致し、教員の職務内容を総合的且つ合理的に評価し得る公正で多様な評価であることが求められます。府大教は、2012年度試行実施される教員業績評価についても、公正で透明性のある評価基準、適正な評価者の選任、評価への異議申し立て権の保障などを求めています。

法人との協議・交渉に当っては、教員の身分と勤務労働条件に直結する重要な課題であることから、組合員の意見を基に、教育研究組織での十分な審議を求め、不公平な評価制度を導入しないことを求めていきます。また、処遇への反映に当っては、評価のあり方の合理性などを明らかにし、不当な処遇への反映は行わないよう強く求めていきます。

B) 教員の課題

大幅な教員削減が計画実行される中、教員の勤務労働条件の改善のために2012年度に取り組む重要な課題の1つは、教員の業務の見直しです。授業負担の増加とともに教育研究組織と教員所属組織の分離による指揮命令の混乱の中で、大学改革や評価に係る会議、入試業務、授業改善としてのFDやJABEE関連等の業務が増大し、さらに研究費削減の一方で外部資金獲得のために費やされる時間が増えており、教員の「研究時間」の減少が教育研究環境の悪化に拍車をかけています。また、補講による週休日の出勤(週休日の振替)も生じるなど、「研究時間」の確保はますます困難になっています。府立大学が高度研究型大学をめざすうえで、「研究時間」の確保は最も緊要な課題です。さらに補講による週休日の出勤の問題などは、適正な教育条件の確保の問題としても大きな課題を提起しています。

B1 裁量労働制試行導入に伴う教員活動支援策の拡充

2008年度から教員に対する裁量労働制が試行導入され、「1週間の勤務時間(38時間45分)のうち、非裁量業務がおおむね半分を超えない」裁量労働制の基準を充たしているかについて多くの疑義が明らかにされてきています。このような疑義を払拭し、法人が取るべき施策として、十分な教員活動支援策をとることを労働協約(確認書)で確認してきました。しかしながら、一部において改善はされてはいるものの、現行の教員活動支援策は、十分に充たすものとはなっていません。特に、「大学改革」に関わる非裁量業務が多くの教員に陰鬱に圧し掛かってきている現状を見るならば、裁量労働制の試行導入の根拠そのものが揺ぎはじめているとみなさざるをえない状況になりつつあります。大幅な教員削減が計画される中、「初年次ゼミナール」をはじめ講義負担も過重になる現状を真摯に認識し、「講義持ちコマの標準化」など具体の教員活動支援策の抜本的な改善が求められています。府大教はこれらに対する取り組みの強化を図ります。

B2 教員の定年の引き上げについて

年金受給年齢の引上げに伴い「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が改正され、65歳未満に定年を定めている事業主は、その雇用する高齢者の65歳までの安定した雇用を確保するために、①当該定年の引上げ、②継続雇用制度(現に雇用している高齢者が希望するときは、当該高齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度)③当該定年の定めの廃止、のいずれかの措置を講じなければなりません。本学では2007年3月に定年が60歳である職員については、労使協定を締結し再雇用に係る基準を設けています。

教員については、2013年度からの65歳までの定年の引上げを前提として、2011年度からの再雇用制度の暫定的な実施を行い、2013年度から65歳まで定年を引上げることを法人と確認しました。運営費交付金の削減が中期計画に盛り込まれている中、人件費の抑制を命題とする法人は、定年延長に伴う教員の64、65歳の給与水準を再雇用の水準に抑制するよう求め、府大教は、定年延長に伴う大幅な勤務労働条件の変更は不当であるが、他の国公立大学の定年延長に伴う給与制度の変更等と比較し、新たな給与制度の構築までの暫定的な措置として合意しました。退職金を含む諸手当などについては、定年延長に伴い勤務労働条件の不利益変更はないことを確認し、定年延長に伴う教員の64、65歳の給与月額、期末勤勉手当、退職金などについての詳細な協議を早急に行っていきます。

府大教は、法の精神に基づく教員及び職員の定年延長と勤務労働条件について、国公立大学などの動向もふまえ、労使協議の重点課題として、法人との団交・協議を引き続き行っていきます。

C) 職員の課題

学域制への変更年度を迎えて、ますます職員の多忙化は増加しています。時間外労働の縮減の必要性は法人も認知しているようですが、表面上の時間数のみを抑制することに注力が置かれているかのようです。一部職員に偏った業務分担、36協定違反は一向に改善していません。専門性の高い大学業務を十分に検討して法人は人事計画を示すとともに、法人職員の昇格、昇任制度をつくり、労働意欲のおきる大学にしていくことが、労働環境を改善し業務の効率化を進めることになるのではないでしょうか。

より良い労働環境、労働条件こそ大学が発展する原動力とも言えます。健康で働きがいのある職場を目指して、以下を重点項目として取り組みます。

1)法人職員の昇任、昇格制度の確立
2)平成26年度に向けての給与制度の検討
3)職員に対しての福利厚生の充実
4)大学の将来を見据えた職員の育成、専門知識・専門技術の強化、承継についての対策
5)一部に過重労働を強いることがない人事計画の作成開示
6)年金受給年齢引き上げに伴う職員の定年延長制度の確立
7)より良い労働環境への職場つくり

D) りんくうキャンパス

2012年度りんくう執行部は事業場過半数代表として、りんくうキャンパスで勤務する教職員が、安心して日常の業務や教育研究に専念できるよう、労働条件や処遇の改善に努めます。また、りんくう事業場安全衛生委員会とも協力して職場環境の改善に努めます。基本的には府大教の執行方針に従うことはもちろんのこと、中央執行部との連携を強化し、中百舌鳥キャンパスで開催される中央執行委員会や労使協議にも、遠隔中継をも利用して、できる限り参加していきます。

福利厚生活動については、組合員の要望を聞きながら組合員全員が参加できるような企画を検討し実施していきます。活発な同好会活動も継続していきます。


E) 羽曳野キャンパス

羽曳野キャンパス部局では、組合員相互の交流を深め意見交換を行っていきます。組合の必要性や府大教での取り組みを積極的に訴え、非専任職員を含め、組合員を増やしていきます。羽曳野キャンパスで働く教職員が安心して働ける環境をつくっていきたいと思います。


F) 非常勤職員の課題

2012年8月現在、府立大学3キャンパスには170名の専任職員、約730名の非専任職員が勤務しています。非専任職員は年々増加しており、多くの非専任職員に支えられて法人運営が行われていることは明らかなことです。

これまでの活動で、フルタイム契約職員への勤務時間短縮の導入、年休付与方法の改善、健康診断項目の充実、学外での人間ドック受診等の職免の取扱いなど労働条件の改善が行われましたが、専任職員と非専任職員の労働条件に大きな格差があります。また、非専任職員の中でも雇用形態は様々で、給与体系にも格差が生じています。今後、労働契約法改正案が施行されるなどの状況を見極め、非専任職員への取り組みを進めていかないといけません。


府大教はこれまでのアンケートや組合員からの要望をもとに以下を重点課題として取り組みます。

1)雇用年限の撤廃
2)非専任職員から法人職員への採用枠の確立
3)勤務年数に応じた昇給制度の確立及び一時金の支給
4)夏期休暇を含む特別休暇の拡充

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Ⅱ 大学の民主的改革に関する取り組み

2011年12月27日、大阪府市統合本部が設置され、大阪府立大学と大阪市立大学の「統合」の課題が提示されました。両大学学長は当初、あくまで1法人2大学への「法人統合」であるとし、受験生に大学存続への懸念を払拭するように訴えました。しかし、3月29日の第7回府市統合本部会議では、市大の改革、重複学部の再検討、教育学部のあり方の検討など「大学統合」にも踏み込む課題が示されました。さらに5月29日の第12回府市統合本部会議では、新大学の将来ビジョンの策定のため、外部有識者による専門家会議の設置が決定され、6月8日に新大学構想会議の第1回会議が開催されました。

当該大学の代表を参加させずに統廃合の方針を決めるやり方は、大阪女子大学を廃止し、府立3大学を統合した2005年の府立大学法人化時と同じ手法です。これにより、新大学構想会議で新大学のビジョン策定が行われ、その下に、両大学法人で構成する新大学タスクフォースが組織改革を検討、実施し、地独法改正を踏まえた法人統合をめざすことになりました。11月頃に新大学構想会議が新大学のあり方を提言し、2013年3月までに府市統合本部が将来ビジョンを策定・公表する、としています。

新大学構想の視点として府市統合本部が重視するのは、先ず「大阪成長戦略への貢献」で、これまで大学が掲げてきた「高度研究型大学」、「世界に翔く知の拠点」といった目標に代わり、「公立大らしさの追求」、自治体との連携、都市政策への寄与、大阪教育行政への貢献、実践的研究の推進等を目標としています。これまでの成果を引き継ぐとしてはいるものの、「先端研究やノーベル賞というのは、国立大学でいい」、「強い大阪、大阪成長のエンジンと成りうる人材を集め育てていく大学をめざす」というのが本音で、行政主導で組織再編を強行する意図がうかがわれます。

公立大学法人は、高等教育機関として、地域住民の教育文化の拠点としての多面的な役割を担っており、行政主導の改革は、大学の真の発展を阻害するものです。教育基本法第7条第2項は「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と規定しており、組織改革には、大学の自主性を尊重し、公開された大学内での十分な民主的議論を経ることが不可欠です。大学を単に大阪府・市に役立つ機関とするのではなく、高等教育機関としての役割を十分に果たし、高度の教育研究や文化を持続発展させることのできる、府民・市民のための大学改革を目指すことが必要です。

府大教は、民主的な大学運営を求め、法人との定期協議、理事折衝、学長会見や部局長会見を通じて、改革の問題点を明らかにし、組合員への情報提供に努めました。しかし、まだ十分とはいえず、府大教には改革のオピニオンリーダーとしての役割を果たすことが求められています。下記の方針の下に、教育体制の問題、教職員定数や教員所属組織の問題など積み残されたままの課題に取組み、すべての教職員とともに民主的な大学づくりを目指します。

A) 「大学改革」に全学教職員の意見を反映させること

大阪府は、2010年3月「大阪府立大学の改革指針」を策定し、法人化後第2期目となる中期目標、中期計画(2011‐2016年度)に反映されています。その主な内容は、教育研究組織と教員所属組織の分離(2011年度~)、7学部から4学域へ再編(2012年度~)、教職員の大幅な削減(教員723名→637名、職員214名→160名)、運営費交付金の削減(108億円→90億円)等です。しかし、大阪府は、これらの改革は大学が自ら定めたものであるとして、設立団体としての責任を回避しています。2012年4月から、新学域体制がスタートし、新旧カリキュラムの並走、基礎教育の全学化、教員の削減等により、人材確保の困難化や教員の負担増が顕在化し、2011年度から導入した教員所属組織も全く機能しないなど、問題が山積しています。とりわけ、教育組織と教員の所属組織の分離は、教育の責任体制を曖昧にし、大学教育に不可欠な自治的運営に支障をきたすとともに大学の自治の形骸化をもたらすおそれがあります。大学の自治が十分に機能し、教員がその教育責任を全うし得るような民主的かつ合理的な組織体制と教育運営の確保をめざします。

教職員の削減、運営費交付金縮減は大学としての活力の衰退をもたらします。府立大学のさらなる発展のために、教職員定数と運営費交付金を十分に確保することが必要です。また、教職員の削減計画は、雇用問題や勤務労働条件に直結するものであり、府大教は、教職員の勤務労働条件、教育研究条件の改悪に反対し、雇用を守ります。

府大教は、今後の新大学構想会議や大阪府市統合本部の動きに注視し、行政主導による改革ではなく、民主的な大学運営の実現のために、学生を含めた全構成員の声を反映した大学運営の実現を求め、大学改革の問題点について情報交換を行い方針を議論する組織(専門部会)を立ち上げ、共通の認識を広めるとともに組合方針に反映します。

B) 学長選考に対する意向投票制度とリコール制度の確立

府大教は、学長となる理事長の選考に、意向投票の実施等、大学構成員の意思を公平に反映する民主的な仕組みを作ることを要求してきました。しかしながら、過去2回の理事長選考では、理事長選考会議は、十分な審議や学内での意見聴取も経ないまま、「意向投票」を実施せずに理事長の選考を実施しました。

府大教は、新しく選ばれる理事長が全学の構成員の総意としての信頼を得るためには「意向投票」制度が不可欠であり、全国の国立大学法人のほぼ全てで行われているこの制度を実施しないことに抗議するとともに、自主的な意向投票を実施しました。学長選考について教職員が積極的に関与し、理事長選考制度に大学構成員の意思を反映する民主的な仕組みを作ることをめざします。また、一旦選考された理事長の権限の大きさと責任の重さに鑑み、理事長のリコール制度を内規として設けることは不可欠です。速やかに理事長の解任規程を整備し、解任請求投票制度を制定することを法人に要求します。

C) 教育研究会議の尊重

法人化後の大阪府立大学の組織や運営制度は、それまで重要な役割を果たしてきた評議会、教授会における大学の意思決定プロセスが希薄になり、理事長、役員会による一方的なトップダウンの大学運営となっています。府大教は、大学運営が教育公務員特例法の精神を承継し、学問の自由と大学の自治に則り、構成員の意思が反映できる仕組みを目指します。

法人化後、本来なら審議して決議・承認するべき機関であるはずの教育研究会議は、単なる連絡会となってしまっていると同然です。この体制を継続することは、組織運営の不具合が生じたときにはすべての責任を役員会に押しつけることができるとしても、大学の自治を捨ててしまうことに他なりません。また、学科会議→教授会→教育研究会議→役員会という意見集約のボトムアップが機能していないこの現実は、構成員の諦めと絶望感をますます助長しています。府大教は、教育研究会議を教育研究に関わる重要事項を実質的に審議する機関として機能させる民主的な大学運営の実現を要求します。

D) 大学憲章の制定を目指して

他大学の多くは大学の目的や理念をいろいろな形で明示しています。それらには、「教育の理念」・「研究の理念」・「大学の社会的使命」の3点に加え、「大学の自治・大学運営の理念」が必ずといってよいほど明記されています。しかしながら、大阪府議会で決めた法人の定款や設立準備委員会が決めた大学および大学院の学則には「大学運営の理念」が明示されていません。府大教は、学生、教職員をはじめすべての大学構成員が参加する体制の下で、自律的にこの「運営の理念」を宣言する必要があると考えます。「21世紀の大阪府立大学を考える会」は、カリキュラム改革や、学費値上げ、大学予算削減反対署名など、これまでにも大きな成果を上げてきましたが、全ての大学構成員の共同をさらに前進させ、「大学運営の理念」を含めた、押しつけではない我々の「大学憲章」の制定を目指します。

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Ⅲ 教育研究環境の充実に関する取り組み


前大阪府知事の発言がきっかけとなって始まった大学改変がいよいよ本年度から学域制となって始まりました。これは、3大学統合によって大きく推進された総合大学への方向性をやめて、「選択と集中」の方針のもとに、「理系に特化した」大学へと大きく路線変更するものでした。この組織改変により、工学部、生命環境科学部、理学部、経済学部、人間社会学部、看護学部、総合リハビリテーション学部の7学部を現代システム学域、工学域、生命環境科学域、地域保健学域の4学域となりました。

このような学域制において、これまで大阪府立大学が維持してきた高水準の教育・研究を行うためには、各学域学類およびそれとつながる大学院の各分野における教職員の確保が必須であることは言うまでもありません。しかし、新規採用による教員確保はできず、つじつま合わせの教職員の配置変更によって何とかやり過ごしているのが現状です。また、各分野における教員の欠員状況を見れば明らかなように、すべての分野においてその分野に必要とされる教員が確保されておらず、本来行うべき教育研究を遂行できなくなっています。このような状況では各分野教職員に過大な負荷がかかっていることは言うまでもなく、今後、教育研究水準の低下につながっていくことが強く危惧されます。

そもそも、このような大学改変は、理系に特化することで「強い大学」になることを目指したものです。この大学改変が、大学が自ら標榜する「高度研究型大学~世界に翔く地域の信頼拠点~」を推し進める改革になっているのか、すべての教職員が検証することが必要です。志願者数の変化は受験生から見た大学魅力のバロメーターの一つです。入学した学生たちの水準、向学心、そして今後彼らがどのように育っていくのか、そしてどのように社会に受け入れられ、貢献していくのか。それらは、この大学改変の解答といえます。特にこの数年間はその変化を肌で感じることができる機会であり、注視していく必要があります。

また、大きな問題として、業績評価の導入があります。法人は、この評価によって、高評価者には給与面での優遇措置を与え、また、低評価者には、評価者による面接と改善指導することで、組織の活性化をすることができると説明しています。大学においては、教育、研究、社会貢献など様々な活動が要請されますが、教員がどのように活動するかは、おかれている立場によって異なります。教員に低評価項目があればその改善が求められることを考えれば、すべての項目に対して万遍なく取り組むことが求められることになるかも知れません。そして何よりも考えなくてはならないことは、この業績評価によって各教員の活動を正しく評価することができるのかという根源的な問題です。業績評価は、それぞれの教員がそれぞれの観点から取り組んでいる研究教育の本質を、その研究領域の専門性も含めて正しく評価することができて初めて意味のあるものになります。また、そのような教員活動の本質を正しく評価する学識・識見を持った人だけが評価を行うことができます。数値として現れる見かけの項目だけで教員の業績を評価することは、教育、研究という創造性が最も問われる活動において、教員に対して誤った評価を下し、その活動を大きく阻害する危険性を持っていることを注意しなくてはなりません。

大阪府立大学と大阪市立大学の統合問題は、まさに今進んでいる問題です。府市統合本部においては両大学の重複分野や研究者の研究領域が調査されるなど、その統合の検討が進められています。このような情勢を踏まえて、大学は十全の準備を行うべきことは言うまでもありません。組合では理事長会見において統合に対する現状認識やビジョンについて説明を求めてきましたが、「今、大学はまな板の鯉の状態である」との現状認識であることが表明されています。どのような大学になるのか、明らかになることを待っているだけでよい大学統合ができるとは思えません。先の大学改変のねらいであった、「強い大学」の構築に向けて、府市からの指示待ちの受け身の姿勢ではなく、教職員の意見を反映した大学構築のためのビジョンを持ちそれを発信していくことが必要です。学域制への大学改変の際、十分な議論がなされたか、また教員からの意見聴取が十分であったか。先に行われた大学改変の反省に立ち、大学統合に向けて教員の英知を結集することが望まれます。


■具体的な取り組み

2005年度からの三大学統合と法人化、2012年度からの学域制発足など大阪府立大学を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。なかでも、第二期中期計画(2011年度~2016年度)に掲げられている教職員の大幅削減や運営費交付金の削減は、大学で働く教職員の勤務労働条件を大きく低下させる深刻な問題です。

府大教は、大阪府立大学の教職員がこれまで公立大学として果たしてきた役割を守り、さらに発展させるために、以下について要求します。

A) 教育研究環境の改善

2012年度基盤研究費は20%が減額され部局長裁量経費に振り替えられ、理系教員40万円、文系実験系32万円、文系20万円となっています。安定的な教育や研究活動が保障されるように、基盤研究費・教育費の充実を求めます。また、裁量労働制試行導入の大前提となっている教員活動の支援の充実については予算の増額と有効な教務支援策を要求し、教育研究時間の確保に努めます。

さらに、部局での教員人事が可能となるよう人事委員会制度を改め、毎年度の教員定数を明らかにし教育研究に必要な教員が確保できるようにするとともに、任期制教員のキャリアパスを明確にし、身分の保障を求めます。

B) 学内施設等の改善

法人は、トップダウンで学域学類への移行を断行し、この春を迎えましたが、教育環境は未整備で新学域の学舎は影も形もなく、耐震化の為最優先であるべきキャンパスプランは遅々として進んでいません。そのような状況の中、府市統合が持ち上がり、見通しはさらに不透明になっています。昨年度は学内保育所や、教職員の自己研修室の充実、各所の休養室の整備を進めることが出来ました。引き続き府大教は、教職員の働きやすさに加え、安全で機能的なキャンパスの実現に向け、法人に対し粘り強く働きかけていきます。

特に安全の確保は全教職員にとって最優先の懸案事項であり、今後とも労使協議等を通じて設備改善の要求を続けるとともに、建物、施設等に関する各職場の組合員からの声を汲み上げ、改善に努めていきます。また、「安全衛生委員会」の委員を推薦し、委員との意見交換を通じて、組合員の安全と健康の維持に努めるとともに、学内の福利厚生を協議する「福利厚生協議会」に委員を推薦することで、教職員の福利厚生の充実を目指します。

【キャンパスプラン】

法人は06年7月に「中百舌鳥キャンパス及びりんくうキャンパスにおける施設の新築整備や、耐震を含めた抜本的な改修整備の方針」として「大阪府立大学 施設整備プラン(改訂版キャンパスプラン)」を策定しましが、その計画は遅々として進まず、10年6月見直し方針(案)、8月に転がし計画(案)が出されました。現在進行しているキャンパスプランは新学域、学類の物理的な分断化を招く一方、教職員や学生に耐震化の行われていない老朽校舎での教育研究を強いるものです。A2棟の取り壊しについては進歩がありましたが、新大学に対応していない旧のキャンパスプランが今もそのまま動いていることについては、重大な問題と考えます。

教育研究環境の向上を見据えた、安全で優れた教育研究効率を実現するためのキャンパスプランを立案し、進める事を法人に対して求めていきます。

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Ⅳ 組織強化



A) 組織拡大:安定的な過半数組合を目指して組合員拡大5カ年計画

2002年には529名の組合員を組織し、十分に過半数組合の力量を保持していた府大教は、その後の教員定数25%削減計画の実施、府立3大学統合再編、大学法人化の中で、組合員の退職や異動、新規教職員の組合未加入などにより、組合員数が大きく減少しています。08年度の活動方針で「組合員拡大5カ年計画」を定め、過半数組合をめざすことを決定しました。   「組合員拡大加入促進規程」を整備し、新規加入組合員の組合費納入の6カ月猶予や組合員拡大に協力した組合員への謝礼などの特典を設けるとともに、組合費を引き続き時限的に0.6%(非常勤職員組合員0.3%)とするなど組織拡大に向けて未加入の教職員に加入を働きかけてきました。また、毎年4月には法人主催の新規採用者説明会で組合の説明と加入の訴えを行うとともに、組合独自の新規採用者説明会も開催してきました。11年度は20名の組合員の加入があり、46名が年度末の退職や異動等で脱退し、12年現在、組合員数は391名になっています。第2期中期計画の教職員削減の中で、組合員の退職や異動などによる減少が大きくなっており、府大教は組織的にも財政的にも危機的な状況に直面しています。この危機的な状況を克服するため、府大教は「組合員拡大5カ年計画」の最終年度の取り組みを強化し、過半数組合をめざします。

組合員拡大5ヵ年計画
1)2008年から2012年度までの5年間に200人の組合員増(単年度40人増)を成し遂げ、過半数組合をめさします。
2)「自ら大阪府立大学を守り、動務労働条件の改善のために組合加入を」スローガンに、教育研究環境と勤務労働条件改善の活動と組織拡大を両輪とした運動を進めます。
3)組合員拡大の具体的な取り組みを進めます。
(1)組織部を中心に職場代表と協力して組合加入対象者を明確にします。
(2)組合加入を勧めるパンフレットを作成します。
(3)職場で組合員と協力して未加入教職員に組合加入を勧める集いを催します。
(4)非常勤職員への組合加入を積極的に進めます。
(5)新規加入組合員の組合費納入猶予期間や組合員拡大に協力した組合員への謝礼など特典を周知、活用し組合加入を進めます。
B) 府大教の福利厚生活動の充実

各種のサークル・クラブ等の活動を府大教の福利厚生活動の一環として今年度も補助金などの援助をしていきます。また、独自企画や各種の催しの参加費援助など、福利厚生活動のさらなる充実を目指します。10年度から府大教の要求に基づいて、法人規定で教職員の福利厚生の充実を目的とする「福利厚生協議会」が設置され、組合推薦で2名の組合役員が委員となっています。福利厚生協議会では「公立大学法人大阪府立大学福利厚生指針(案)」が作成され、教職員の福利厚生の充実に向けて基本方針が審議され、目標と行動計画が定められました。また、これに伴い、「教職員自己研修室」が整備されました。これまでの府大教独自の取り組みとともに、「福利厚生協議会」での取り組みも重視して、福利厚生活動の充実を目指します。

C) 労働組合としての闘争の戦術研究

労働法の下では勤務労働条件などについては労使の交渉によって決めることとなりますが、高等教育機関である大学の教職員の労働組合が給与闘争などにおいて、ストライキを実施したり裁判闘争等を行うことについては、社会情勢に配慮し、私立大学の教職員組合の経験などを参考にして検討していくことが重要です。闘争研究部では労働法に定められた労働基準監督署への改善勧告申し立てや労働委員会への不当労働行為救済申し立て、裁判闘争の手続きなど、勤務労働条件改善のための対法人交渉について、弁護士との相談も踏まえ、具体的に検討していきます。

D) 大阪府大学教職員ユニオンとの関係

大阪女子大学教職員組合は2008年大阪府大学教職員ユニオンと改称しました。これまで過半数代表者の選出にあたって、大阪府大学教職員ユニオンに推薦人の協力を依頼するなどいくつかの共闘態勢を取ってきました。給与改定など就業規則の変更や重要事項については、府大教ニュースを大阪府大学教職員ユニオン組合員を含め全教職員に配布するなど情報提供に努めています。また、昨年度から大阪府大学教職員ユニオン役員との定期的な懇談会(2か月に1回)を開催し、交流・意見交換を図ってきました。その中で、将来の組織統合に向けて、協議する場を設置することに合意しました。今後は、中央執行委員会での審議・決定を経て、正式に組織統合に向けての協議会を設置し、協議を進めていきます。

E) 大教組、全大教、公大連など労働組合上部団体との関係

大教組(大阪府教職員組合)は大阪府の教職員の連合組織で、府大教は大教連(大阪地区大学教職員組合連絡協議会)を通じて大教組に加盟し、府労組連(大阪府関連労働組合連合会)に参加しています。大阪府立大学は設立団体である大阪府から運営費交付金を交付されていることから、教育研究環境・勤務労働条件の改善については法人化前と同様に、対大阪府との協議交渉が重要です。しかしながら、法人化後は要望書や請願署名などを大阪府に提出しているものの、直接大阪府と協議交渉することができなくなっています。府派遣の組合員を持ち、運営費交付金削減が教育研究環境と勤務労働条件を著しく悪化させている今日、大教組・府労組連と連帯して直接、大阪府と協議交渉する場の獲得をめざします。

府大教は国立大学を主体とする全国組織である「全国大学高専教職員組合(全大教)」および公立大学の組合を全国組織する「全国公立大学教職員組合連合会(公大連)」に加盟しています。府大教は、労働組合としての体制作りや労使交渉への取り組みなどについて、「全大教」を通して全国の大学教職員組合の経験と教訓を共有し、それらを参考にしてきました。全大教の取り組みそのものは、国立大学が主体であり、少数の公立大学の問題はどうしても疎かになりがちではありますが、文科省や総務省との協議・交渉など公立大学として今後とも加盟を続けていくことが必要です。「公大連」は2006年に協議会から連合会に発展改組しました。公大連は労使交渉相手(設置者)がすべて異なる労働組合の連合ですので、公立大学側の協議会(公大協)や総務省、文科省との協議・交渉の接点として重要な役割を果たすことが期待されています。


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Ⅴ 大学の使命と、国民的課題への取り組み

ここ数年の大阪府立大学の歩みは、政治的な力への対応に多くのエネルギーを割いたものでした。学内構成員の多くが賛成していない改革に踏み切ったのも、その一環であったと言えるでしょう。強大な力から大学を守るために、そうせざるを得なかったのだと法人執行部は自分に言い聞かせているのかもしれません。

今回の改革のもう一つの大きな特徴は、学内民主主義のいっそうの弱体化でした。大阪府立大学を構成する教員、職員、学生の意見はほとんど重視されませんでした。「トップダウン方式」のもと、強引な大学運営が行われ、大学構成員の中から湧き上がるボトムアップのエネルギーを生かすことが全くなされていません。教育研究が、本質的に、自由な個人の創意工夫に基づくものであり、ひとりひとりの人材こそが大学がもつ最高の財産であることは言うまでもありません。大学構成員の意見に十分に耳を傾けないことは、大学組織の致命的な形骸化を招くことでしょう。

府大教は、職場委員を通じて、また、アンケートなどの手段で、すべての組合員の声を聞き、それらの声を運動の強固な基盤にしたいと考えています。ボトムアップの力を結集して、法人と鋭く対決することが、大学を真に守ることであり、また教育研究という大学の使命を果たすための最低限の民主主義的条件を確保することになると確信しています。組合活動へのいっそうの積極的な参加を呼びかけます。

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