第4号議案
2018年度活動方針に関する件
2017年度の活動方針を読み返しながら、事態はより憂慮すべき方向に向かって
いることを強く感じます。退職金等のように交渉を通じて一定の成果を得たものもありますが、
全体の情勢は厳しさを増している状況です。方針の最初の巻頭言くらいは何かハッピーになり
そうなことを書きたいと強く思うのですが、結果は昨年と同じような言になってしまったことをご容赦ください。
インターネットの登場、スマートフォーンの拡大は私達の生活を大きく変えました。
多くの情報が簡単に手に入り、地球の裏側にいる人といつでも会話ができます。しかし、ネットを
使ってグーグルだけで必要と思う情報だけを切り離して持ってくることは思考の停止を招き、
他人と簡単に繋がれることは往々にして敵、味方を峻別したグループをつくっています。今、
私たちが最も警戒すべきことは、いろんな物事にレッテルを貼って、恣意的につくられたグループに
何も考えずによい(味方)、悪い(敵)を峻別することです。まさに、安部政権やトランプ政権は
このような「お友達グループ」による強権政治であり、敵のグループをたたくという非常に姑息な
手法で政治が進められています。
大学を見ると、第5期科学技術基本法では、大学を科学技術イノベーションとそのための
人材育成の場としています。しかし、大学の存在意義を科学技術イノベーションに矮小化してしまうと
大学は科学技術の「改良」しかできないでしょう。広い分野の知の有機的な連携がないと科学技術の
「イノベーション」もできないのです。大学は本当の意味でのイノベーションの創出を目指さなければ
なりません。しかしながら、国の財政誘導のもと国立大学の3類型化(「地域貢献」型、「特定分野」型、
「世界水準」型)による差別化、世界トップレベルを目指す「指定国立大学法人」などによる大学の
差別化が進められています。また、少子化に対応した国の施策として国立大学の統合も進められていこうと
されています(例として名古屋大学と岐阜大学)。このような施策は国民と大学人が議論して出てきたものではなく、
政策決定者などの一部が思いついた『効率的』な方向にすぎませんが、確実にその方向に大学が変革
されようとしています。しかし、このような卑小な目的で行われる変革では多様性が育たず、
多様性の芽をつまれた組織は必ず自壊していくというのが自然の摂理です。将来性を考えれば多様性の
持つ豊穣さをいかに大学に取り込んでいけるかが最も重要なのです。
大阪府立大学も厳しい岐路に立たされています。第2次中期計画にあった教職員の削減は
驚くほど忠実に遂行されました。このため、現在、教職員は人出不足の厳しい状況下で仕事に追われている
状況です。中期計画が終了してからは教職員の採用がある程度緩和されました。しかし、増員はほぼ不可能
という中、ともかく教育に支障をきたさないようにするだけで精一杯という現状です。
大阪市立大学との法人統合は来年の4月です。大学統合も2022年を目指すことになっています。
多くの教職員にとってどのように統合が進められているかは大変不透明です。設置者が異なる大阪府立大学と
大阪市立大学との統合は国立大学の統合以上に多くの問題があります。府大教は統合により、
教職員の勤務労働条件、教育・研究環境の劣化が生じることがあってはならないことを強く
念頭において活動を進めていきます。
今年度は将来性のある大学をつくっていくための大きな岐路になります。このため、
教職員の意見を集約して大学と交渉できる組合の役割は例年にも増して重要です。府大教は真の大学発展を
目指して勤務労働条件と教育研究環境の改善を進めていくため、2018年度の活動方針について以下のように提案します。
重点課題と具体的取り組み
A) 給与、労働条件の改善について
教職員の勤務労働条件は、労働基準法第1条に「労働条件は、労働者は人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定められた労働条件の原則に則り、労働基準法第2条の「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」に拠って決定されるべきものです。また、労働契約法第9条で「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」と定め、一方的な勤務労働条件の不利益変更を禁止するとともに、第10条で「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なもの」と勤務労働条件の不利益変更についての厳しい制限を定めています。労働者の保護を図る法の理念は、使用者が賃金についての不利益変更を行う場合には、「代償措置その他関連する他の労働条件の改善」の措置を取ることを当然の前提としています。
給与等については、地方独立行政法人法(地独法)第57条の3は、「法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならない。」と規定し、給与の支給の基準は、「法人の財務状況と業務実績」および「社会一般情勢」と明示し、大阪府が条例で府公務員に対して定める基準を、法人が画一的に法人教職員に適用することを強く戒めています。しかしながら、法人はこれまで給与改定に際して、法人の運営費交付金が大阪府によって措置されていることを理由に「大阪府準拠」を提案し、主要な国公私立大学に比べても、私たち教職員の給与は低くなっています。
2017年度人事院勧告により国家公務員の公民較差631円(0.15%)およびボーナスを引上げ(0.1月分)が勧告されましたが、2017年度大阪府人事委員会はボーナスは引上げ(0.1月分)としましたが、府公務員の公民較差を230円(0.06%)とし、初任給を2,000円引き上げるなど若年層に限定した改定を勧告しました。
退職手当については、2017年に人事院が退職一時金と企業年金(使用者拠出分)を合わせた退職給付額での官民比較(民間 24,596千円 公務 25,377千円)を行い、退職給付水準について781千円(3.08%)の見直しを勧告し、政府は地方自治体に対して退職給付水準の見直しを要請しました。大阪府も追随し退職手当条例を改定し、大阪府立大学も2018年度退職者から退職手当が切り下げられます。
大阪府人事委員会勧告も人事院勧告も「社会一般情勢」を示す根拠のひとつですが、大学の教職員という職種においては、他の国公私立大学との比較が最も重要です。近年、期末勤勉手当支給率は改善されてきていますが、残念ながら給与水準は主要な国公私立大学には及びません。「大阪府準拠」に対しては、これまでも代償措置を勝ち取っては来ていますが、給与水準そのものを引き上げていく運動を強く進めて行くことが重要です。
国立大学においては、東日本大震災の復興財源とするという理由で、人事院勧告に拠らず特例法で7.8%も給与切り下げが行われた国家公務員に準じた給与切り下げが進められ、全大教と加盟11単組が賃金不払いの裁判闘争を提起しました。結審した裁判では残念ながら原告の主張は認められず、組合が敗訴していますが、府大教は国立大学の教職員組合の裁判闘争の経験と教訓を共有し、大学法人の財政状況、とりわけ運営費交付金の人件費と教職員の給与のあり方について、教職員の働き方を含め大学の教職員としての尊厳を回復し、働き甲斐のある職場をつくるためにも、給与の改善を最重要課題と位置づけ、国公私立大学の教職員の給与水準について賃金闘争部を中心に調査を進めていきます。
労働法で保障された労使交渉に全組合員の団結で粘り強く取り組み、不利益変更を許さず、大学の崇高な社会的使命に相応しい給与制度を作らせる闘いを進めましょう。
法人統合に向けての勤務労働条件の改善の取り組み
2019年3月末に公立大学法人大阪府立大学と公立大学法人大阪市立大学が廃止(新設合併消滅法人)され、統合により2019年4月に公立大学法人大阪が新たに設立(新設合併設立法人)されることが、公立大学法人大阪府立大学と公立大学法人大阪市立大学のそれぞれの設立団体である大阪府市の両議会で承認されました。地独法第112条により新設合併消滅法人である公立大学法人大阪府立大学の権利および義務の全部は新設合併設立法人である公立大学法人大阪に承継されます。直営時代からの府大教の永きに渡る勤務労働条件と教育研究環境の改善の取り組みの成果や公立大学法人大阪府立大学の設立法人化以降、労働法制の下での組合運動で勝ち取ってきた勤務労働条件は、組合員(教職員)の雇用関係の承継とともに、新設合併設立法人である公立大学法人大阪に当然、、承継されるべきものです。
府大教は公立大学法人大阪の新設合併設立に当たって、教職員の引継ぎと勤務労働条件の承継については、
- 勤務労働条件の一切の不利益変更は認めない。
- 良好な労使関係を尊重するとともに、これまで締結してきた労働協約を再確認し、
「労使関係の基本に関する労働協約」および付属協約、「労働組合費の控除に関する協約」など組合運動に必要不可欠な労働協約を新設合併設立法人と新たに締結する。
- 就業規則の届け出義務違反に当たる現行の規程などの不備については、勤務労働条件の改善を目指して2019年43月月末4月までに整備することを求め、2019年4月の新設合併設立法人の就業規則の届け出に向けて協議する。
- 2019年4月の新設合併設立法人の就業規則については、大阪市立大学に勤務する教職員の勤務労働条件と均衡をはかることを求めるとともに、特に、地域手当を含む給与水準の格差の是正を強く求める。
を方針として闘いを進めていきます。
A1 業務に見合った特殊勤務手当等の導入
これまでの府大教の取り組みの中で、法定職をはじめいくつかの手当が特殊勤務手当として制度化され充実されてきました。一方、社会貢献に関する報奨金は廃止されました。実際に汗をかき大学に貢献している教職員の業務に見合った特殊勤務手当の導入は、勤務労働条件の改善向上、組合員の権利拡大に向けて重要な課題です。特殊勤務手当等の新設、導入、維持改善については、今後も他の国公立大学の状況を調査し、教職員の業務の実態に合わせて更なる充実に向けて取り組みを強化して行きます。また、不必要に膨れあがった「管理職」の手当支給の妥当性を検証するとともに、実際に種々の管理業務にあたっている教員に相応の手当が支給されるよう取り組みを進めるとともに、2019年4月の新設合併設立法人の就業規則に係る給与規定などに関わる特殊勤務手当等の見直しについては大阪市立大学と均衡をはかるなど不利益が無いよう検証していきます。
A2 裁判・労働委員会闘争の研究
府大教は労働組合として法人登記し、「法人格」を取得することにより、府大教が裁判所や労働委員会に提訴するための条件を整備してきました。府大教は、北大、阪大において不当労働行為救済申し立てが地方労働委員会で認められたこと、京大を中心に取り組まれている給与不払いに関する裁判闘争や多くの国立、私立大学の裁判闘争からの教訓に学び、これからも裁判・労働委員会闘争について研究、検討を進め、府大教が労働組合として裁判闘争など勤務労働条件の改善に向けての運動を力強く推し進めて行けるよう研究していきます。
A3 勤務時間の短縮について
教職員の勤務時間の短縮を要求してきた府大教の運動の成果として、2010年4月より専任職員への勤務時間の短縮が導入され、2011年4月からは非専任職員(フルタイム契約職員)にも勤務時間の短縮が実施されました。2つの勤務体制(A勤9時~17時30分、B勤9時15分~17時45分)により実施されて来た勤務時間制は多くの職場で短縮の成果が十分に見られないことや授業時間との不整合により各職場の勤務実態を踏まえ、勤務時間の短縮をさらに実効あるものとするために、2017年度に勤務時間体制の見直しを法人と協議し、6つの勤務体制(A勤9時~17時30分、B勤9時15分~17時45分、C勤8時30分~17時、D勤8時45分~17時15分、E勤9時30分~18時、F勤9時45分~18時15分)に変更しましたが、教職員の勤務時間の短縮には結びつかず、教職員の増員を含む新たな見直しが必要となってきています。府大教は教職員の勤務時間の短縮について、教員の専門業務型裁量労働制の見なし労働時間の問題も含め、教職員の働き方を具体的に検証していきます。
A4 学年歴の見直しと年休取得促進について
講義回数の15回厳格化、ハッピーマンデー制度等による祝祭日の増加によって学年歴は大きく変貌し、2015年度から祝日開講(前期、後期とも各2日程度)を導入ました。しかしながら、祝日を勤務日とすることの影響は大きく、特に育児や介護を抱える教職員にとっては容易に受け入れられるものではありません。ただでさえ代休、年休取得が難しい中、振替休日の設定は容易ではなく、服務管理者からの指示で振替休日を指定しても休めず、出勤日が増加するといった結果になることが懸念されます。そのような勤務日の変更による不利益が発生しないよう、十分に注視し改善に向けた交渉を進めます。合わせて、教職員の夏期休暇、年休取得をはじめとする休養日の充実に向け、2019年度からの年休取得5日義務化も視野に入れて取り組みを強化していきます。また、入試関連や社会貢献の各種業務が増加する中で、教職員は週末でさえ無理な出勤を強いられています。教職員の健康被害を未然に防ぐ対策についても継続して法人に強く求めていきます。
A5 教職員の人事評価制度について
2006年に大阪府の教職員に人事評価制度が導入され、法人においても府派遣職員をはじめ教員を除く全ての法人常勤職員に「大阪府準拠」の人事評価が行われ、勤勉手当に評価結果が反映される仕組みとなっています。大阪府の人事評価制度はこれまでの府労組連と府職労の闘争の取り組みの中で多くの問題点が指摘され、いくつか見直しされてきましたが、府立大学では殆んど見直されず、チャレンジシートによる画一的な成果主義評価が行われています。また、府人事委員会は「人事評価は、評価を通して、職員の資質の向上及び公務能率の向上を図ることが目的であり、人事評価制度の運用にあたり、最大限の効果を発揮するための努力を継続されるよう望む」として、すでに破たんしている評価制度を追認していますが、民間研究機関の調査でも「企業内の年齢内格差が大きい企業ほど、社員の健康状態が悪いことが確認され、成果主義導入による弊害が生じている」ことが明らかになっています。府大教は、組合員の意見を基に、人事評価制度の見直しを要求するとともに、就業規則の届け出義務違反になっている職員の人事評価のあり方について、新設合併設立法人の就業規則も視野に入れて取り組みを進めていきます。
教員の業績評価と処遇への反映は、その目的が高等教育機関としての大学の使命と責務に合致し、教員の職務内容を総合的且つ合理的に評価し得る公正で多様な評価であることが求められます。府大教は、2012年度から試行実施された教員業績評価の結果の検証を強く法人に求め、教員業績評価が公正で公平な評価となるよう評価の方法と基準を見直すとともに、不公平な評価制度に基づく処遇への反映を行わないことを一貫して求めて来ました。2015年度に実施された教員業績評価についての交渉では、就業規則に基づかない教員業績評価は違法であり、試行実施であることを確認するとともに、評価の方法に「目標管理」を導入することや「素点」による総合評価の見直しを協議しましたが、法人は処遇への反映について、「教員業績評価の結果を斟酌して、報奨金10万円を支給」を譲りませんでした。2016年度の交渉では、法人での教員業績評価の方法と基準の見直しが進んでいないことから、就業規則に基づかない教員業績評価の実施は試行であっても違法であることを強く意見し、法人は理事長の下に教員業績評価検討のタスクフォースを設置しました。また、新しく就業規則第11条勤務評定)に関する「勤務評定制度協議会」を法人に設けることに合意し、法人と組合(府大ユニオンを含む)それぞれ4名ずつの委員で、教員業績評価を含め勤務評定制度について協議することになりました。しかしながら、2017年度の「勤務評定制度協議会」の議論は法人が理事長の命により協議会を設置したにも関わらず、無責任にも議論の進展が見られず、「目標管理」の導入などの見直しもないままに、協議会はその責務を果たすこと無く破綻しました。更には、2017年度末に教員業績評価の処遇への反映とする報奨金を府大教と十分協議することなく支給しました。
府大教は、公平性、透明性が担保された、様々な領域・分野で本学を支える教員がやり甲斐を育めるような教員業績評価の整備に向けて取り組みを進めるため、教員業績評価実施規程の就業規則届け出義務違反と報奨金の給与規定違反について、労働基準監督署に顧問弁護士を通じて申告し、2018年7月に労働基準監督署はこれらの労働基準法違反について是正勧告を法人に出しました。法人は2018年9月末までに是正するよう求められていますが、府大教はこれまでの経緯を踏まえ、2018年度の教員業績評価の実施中止も視野に入れて、法人と交渉協議していきます。
B) 教員の課題
第2期中期計画での教職員の削減は終結し、第3期中期計画期間の2017年度は常勤教員646人、常勤職員164人、2018年度は常勤教員640人、常勤職員172人となっています。人事委員会制度の下で十分な補充人事も進まない中、教員の勤務労働条件の改善のために引き続き取り組む重要な課題は、教員の業務の過重に対する見直しです。授業負担の著しい増加とともに、教育研究組織と教員所属組織の分離再編、組織改革や評価に係る会議、入試業務、社会貢献等が増大し、さらに研究費削減の一方で、外部資金獲得のためや事務手続きに費やされる時間が増えており、教員の「研究時間」の減少は教育研究環境の悪化に拍車をかけています。また、「祝日開講」、オープンキャパスや補講など週休日の出勤と週休日の振替が生じるなど、「研究時間」の確保はますます困難になっています。府立大学が高度研究型大学をめざすうえで、「研究時間」の確保は最も緊要な課題です。専門業務型裁量労働制の適用をはじめ、適正な教育研究環境の改善確保の問題として、教員の勤務状況を適正に調査し、その実態を明らかにするとともに、問題点を整理し、課題を提起していきます。
B1 裁量労働制試行導入に伴う教員活動支援策の拡充
2008年度から教員に対する裁量労働制が試行導入され、「1週間の勤務時間(38時間45分)のうち、非裁量業務がおおむね半分を超えない」裁量労働制の基準を充たしているかについて多くの疑義が明らかにされてきています。このような疑義を払拭し、法人が取るべき施策として、十分な教員活動支援策をとることを労働協約(確認書)で確認してきました。しかしながら、現行の教員活動支援策は、不十分と言わざるを得ません。特に、授業負担、事務処理等の非裁量業務が多くの教員に陰鬱に圧し掛かってきている現状を見るならば、裁量労働制の導入の根拠そのものが揺ぎはじめていると見なさざるをえない状況になっています。大幅な教員削減が行われ、講義負担が過重になるとともに、教員の実労働時間が増加している現状を直視し、労働時間管理のあり方や「講義持ちコマの標準化」など教員活動支援策の早急な改善が求められています。府大教は教員の負担軽減の具体的な取り組みの強化を図ります。
また、「勤務状況及び健康状態に関する報告書」で報告されている教員の労働時間を分析し、
週休日を含め教員の勤務実態が「勤務状況及び健康状態に関する報告書」に反映されているかを検証するとともに、現行の「1日につき7時間45分」のみなし労働時間の見直しを法人に求めていきます。
C) 職員の課題
組合活動の原点は、組合員の身近な問題に取り組み、働きがいのある職場環境と働きがいのある勤務労働条件の獲得であることは言うまでもありません。組合員の要求を実現するためには組織力が大きな力になります。近年、特に職員の組織率の低下が進んでいます。組合員の皆さまのご協力で組織拡大を図り働き甲斐のある勤務労働条件の獲得に努力します。
より良い勤務労働条件・労働環境を目指し、以下を重点項目として取り組み法人に申し入れます。また、組合員の皆様のご意見を労使協議等に反映し勤務労働条件の向上を目指します。
- 年金受給年齢引き上げに伴って、法人職員の定年を65歳に引き上げ
- 法人独自の法人職員の昇任・昇格制度の確立
- 職員に対しての福利厚生の充実
- 大学の将来を見据えた職員の育成、専門知識・専門技術の強化のための研修等の保障、およびその知識・技術継承のための対策
- 業務量に応じた適正な職員の配置(時間外勤務の削減、各職場の業務量の均一化)
- より良い労働環境になるよう職場環境の改善
- A8棟の地震対策(耐震補強・1階フロアの床面補強・工作機械の固定)
D) りんくうキャンパス
2018年度りんくう執行部は過半数代表とともに、りんくうキャンパスで勤務する教職員が、安心して日常の業務や教育研究に専念できるよう、労働条件や処遇の改善に努めます。また、りんくう事業場安全衛生委員会とも協力して職場環境の改善に努めます。
中央執行部との連携を強化し、中百舌鳥キャンパスで開催される組合大会、中央委員会、さらには中央執行委員会や労使協議にも、遠隔中継を利用するなどして、できる限り参加していきます。りんくう独自の労働環境である臨床センターについては、勤務実態の把握に努め、労働条件の改善のために過半数代表者を通じて要求するべきことがないか注視していく所存です。
福利厚生活動については、中百舌鳥キャンパスで行われる活動への参加が難しいことから、りんくうキャンパス独自の企画も検討します。現在活発な種々の同好会活動を継続するとともに新しい活動も支援していきます。
E) 羽曳野キャンパス
羽曳野キャンパス部局では、組合員相互の交流を深めていきます。組合の必要性や府大教での取り組みを積極的に訴え、非常勤職員を含め、組合員を増やしていきます。羽曳野キャンパスで働く教職員が安心して働ける労働環境の実現を目指していきます。
継続協議となっている空調問題については、教育研究環境を改善させるうえでも重要なことです。時間延長は実現しましたが、引き続き必要な部屋への個別空調の設置の実現に向けて取り組んでいきます。また、羽曳野キャンパス内に保育所を整備することを要求していきます。
F) 非常勤職員の課題
府大教は、法人化後、非常勤職員の組織化を行うとともに労働条件の改善に取り組んできました。1年毎の労働契約で雇用されている非常勤職員の雇用の延長(3年限度→特段の事情のある場合は5年)、給与改善(2014.4から平均2.56%UP)、フルタイム勤務者への時間短縮、健康診断項目の拡大など、少しずつではありますが改善してきました。
2018年7月末現在、府立大学3キャンパスには172名の常勤職員、約700名の非常勤職員が勤務しています。どの職場も非常勤職員なくしては業務の遂行が厳しい状況となっていますが、このことは法人も十分に認めています。5年間の経験を積み、大学業務に精通した非常勤職員が年度末で雇い止めとなり、4月に新たな人材を雇用することは、当事者同士の引き継ぎも行われず常勤職員への負担を強いることとなり、雇用コストに加え、大学にとって大きなマイナスと言えます。
これまでの取り組みの結果、非常勤職員の中から社会人採用等で常勤職員となった方や労働契約法の改正に伴い専門的な業務で無期雇用となった方、非常勤職員から常勤職員へ採用された方など有期雇用から無期雇用への転換は進んでは来ていますが、現状ではまだわずかに過ぎません。府大教は改正労働契約法18条(無期労働契約への転換)、19条(雇止め法理)の趣旨に則って、働きがいのある職場を目指して、「5年雇止め」を廃止し無期転換を進めるよう雇用の改善に取り組みます。また、改正労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)に照らして非常勤職員の労働条件が常勤職員に比べて不当に切り下げられていないかを検証するとともに、大阪市立大学の非常勤職員の労働条件と均衡をはかるよう取り組みを進めて行きます。
大阪府立大学、大阪市立大学の統合については、2019年4月1日に新法人が設立される予定となりましたが、そこでの就業規則や勤務労働条件を始めとした各種制度のあり方など、新法人の根幹にかかわる議論に対して大阪府立大学は具体的で明確な方針を明らかにすることに至っておらず、またその基盤となる学内での議論も十分に行われていません。
公立大学は、高等教育機関として、また地域住民の教育文化の拠点として、多面的な役割を担っています。一時の流行に流された行政主導の改革は、大学の真の発展を阻害するものです。教育基本法第7条第2項は「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と規定しており、組織改革には、大学の自主性を尊重し、公開された大学内での十分な民主的議論を経ることが不可欠です。大学を単に大阪府・市に役立つ機関とするだけではなく、高等教育機関としての役割を十分に果たし、高度の教育研究や文化を持続発展させることのできる、府民・市民のための大学改革を目指すことが必要です。
府大教は、民主的な大学運営を求め、法人との定期協議、理事折衝、学長会見や部局長会見を通じて、大学統合や改革の問題点を明らかにし、組合員への情報提供に努めてきました。しかし、まだ学内議論は十分とは言えず、府大教には改革のオピニオンリーダーとしての役割を果たすことが求められています。下記の方針の下に、大学統合問題、教育体制、教職員定数や教員所属組織の問題などの課題に取組み、すべての教職員とともに民主的な大学づくりを目指します。
A)「大学改革」に全学教職員の意見を反映させること
2012年4月から新学域体制がスタートして以来、基礎教育の全学化、教員の削減等により、人員確保の困難や教員の負担増が顕在化し、2016年度末に削減計画は終了したものの退職者補充以外の人員の確保は依然として難しいことが予想され、現在の負担の軽減にはつながらないと考えられます。制度改革においても2011年度から始まった教員所属組織は構成員の意向や研究教育の実態を十分把握せずに導入されたため、いたずらに会議を増やし管理体制の混乱を招いただけで実質的には機能せず、教育や組織運営の責任体制を曖昧にし、大学教育に不可欠な自治的運営に支障をきたすとともに大学の自治の形骸化を招きました。その結果、結局は従来の研究科中心の組織体制に復するなど、実態に即した組織の問題の解決は進んでいません。
不十分な教職員配置、運営費交付金縮減は大学としての活力の衰退をもたらします。府立大学のさらなる発展のために、教職員定数と運営費交付金を十分に確保することが必要です。また、不十分な教職員配置を放置することは、雇用問題や勤務労働条件に直結するものであり、府大教は、教職員の勤務労働条件、教育研究条件の改悪に反対し、雇用を守ります。
府大教は、今後の大学統合の動きに注視し、行政主導による改革ではなく、民主的な大学運営の実現のために、学生を含めた全構成員の声を反映した大学運営の実現を求め、大学改革の問題点について情報交換を行い、共通の認識を広めるとともに組合方針に反映します。
B) 理事長・学長の民主的な選考制度の確立
府大教はこれまで一貫して、学長となる理事長の選考に、意向投票の実施等、大学構成員の意思を公平に反映する民主的な仕組みを作ることを要求してきました。これまでの理事長は意向投票について検討すると発言したことはあっても、その制度を変えることはありませんでした。法人化によって理事長に権限が集中し、しかも理事長選考会議が十分な審議や学内での意見聴取も経ないまま理事長の選考を行ってきたことは、大学の民主的な運営にとって大きな問題となっています。
府大教は、理事長・学長が全学の構成員の総意としての信頼を得るためには「意向投票」制度が不可欠であり、これからも理事長・学長選考について教職員が積極的に関与し、選考制度に大学構成員の意思を反映する民主的な仕組みを作ることをめざします。また理事長・学長の権限の大きさと責任の重さに鑑み、リコール制度を内規として設けることは不可欠です。速やかに理事長・学長の解任規程を整備し、解任請求投票制度を制定することを法人に要求します。
C) 教育研究会議の尊重
法人化後、それまで大学の組織運営に重要な役割を果たしてきた評議会、教授会の意向が軽視され、理事長、役員会によるトップダウンの大学運営となっており、しかもその運営状況が構成員によって評価される仕組みさえもありません。府大教は、大学運営が教育公務員特例法の精神を承継し、学問の自由と大学の自治に則り、構成員の意思と構成員によるチェック機能が反映できる仕組みを目指します。
法人化後、評議会の機能を引き継いでいるはずの教育研究会議は、単なる連絡会となっていると言われています。このような状態では、大学が自治されているとは言えません。また、一般的な組織では当然あるべき構成員の意見を調査する活動もないなど、意見集約のボトムアップが機能していない状態は、構成員の組織への一体感と意欲を失わせ、諦めと絶望感をますます助長しています。府大教は、教育研究会議を教育研究に関わる重要事項を実質的に審議し、運営状況をチェックする機関として機能させる民主的な大学運営の実現を要求します。
D) 大学憲章の制定を目指して
他大学の多くは大学の目的や理念をいろいろな形で明示しています。それらには、「教育の理念」・「研究の理念」・「大学の社会的使命」の3点に加え、「大学の自治・大学運営の理念」が必ずといってよいほど明記されています。しかしながら、本学では「大学運営の理念」が明示されていません。法人に「大阪府立大学憲章準備委員会」が設置されていますが、近年、委員会は開催されていません。府大教は、すべての大学構成員が参加する体制の下で、自律的にこの「運営の理念」を宣言する必要があると考えます。全ての大学構成員の共同をさらに前進させ、「大学運営の理念」を含めた、押しつけではない我々の「大学憲章」の制定を目指します。
中期計画に沿った人員削減が断行され、深刻な人員不足に陥っています。各職場で教員が定員不足でありながら、定員を超える学生を入学させており、教育の質低下へも懸念が広がります。さらに、学長からは市大との統合に関する主体的な意見はなく、設立団体と大阪府・市議会の意向に流されるばかりとの不安から将来の見通しも暗い状況です。同時に、非常勤職員の方が雇用期限を迎え、教育研究活動の支えを失う事態となっています。
学生のために、定員を満たす人員雇用を訴えましょう。非常勤職員の方に常勤へと雇用形態を変える制度を確立しましょう。
教職員数の削減問題
図1に法人化前の2004年度を1とした国立大学における教職員数の変化の時系列を示す。比較データはすべての国立大学の総教・職員数である。国公立大学の情報は文部科学省の統計データから引用した。府大の教職員は年々減少を続け、2017年度では本学の教員数は0.76、職員数が0.57となっている。図2には公立大学との比較を示す。図1、2より府大の正規職員数(▲)が急激に減少していることがわかる。教員数(■)も減少している。一方、国立大学における教員数(□)はほぼ横ばい、職員数(△)は1.4倍に増加している。公立大学における教員数は1.2倍、職員数は1.4倍に増加している。わずか13年の間に府大の教職員数が激減し、国公立大学との格差が急激に広がっていることが分かる。
図面3つほど [図2 府大教職員数の年度推移 公立大との比較]
運営費交付金、削減の一途
運営費交付金について、図3にまとめた。府大と国立大学全体の交付金について、2004年度を基準として年次推移を示した。府大の2013年度の交付金額がわずかながら増加したが、国立大学への交付金額と比較すると一段と低い水準であることが分かる。
教員一人あたりの学生数、増加
教員一人あたりの学生数について、図4にまとめた。府大は予てより、教員に対する学生数が比較的少なかった。近年になり、国立大学は学生数が減少した結果、教員一人あたりの負担も削減されているのに対し、公立大学では教員一人あたりの学生数は増加傾向にある。公立大学と比較しても府大の教員一人あたりの学生数増加率は高いことが分かる。
情報ソース:
[1]府大HPホーム>大学案内>大阪府立大学データで見る公立大学法人大阪府立大学
[2]国公立大学の教員数および学生数のデータ:文部科学省HPトップ > 公表資料 > 統計情報 > 文部科学統計要覧・文部統計要覧 > 文部科学統計要覧(平成29年版)>11.大学
A)組織拡大:安定的な過半数組合を目指す組合員拡大の取り組み
府大教は2002年には529名の組合員を組織し、過半数組合としての組織力を保持していましたが、その後の教員定数25%削減計画の実施、府立3大学統合再編、大学法人化、学部再編学域移行、第2期中期計画期間の教職員の削減の中で組合員数が減少し、2018年7月末現在、組合員数は271名となっています。
毎年4月には法人の新規採用者説明会で組合の説明と加入の訴えを行うとともに、組合独自の新規採用者説明会も開催してきましたが、年毎の組合員の退職数が新規加入者数を大きく上回り、第2期中期計画期間の教職員の削減、とりわけ教員の大幅な削減により、組合員数の減少に歯止めがかからず、府大教は組織的にも財政的にも危機的な状況に直面しています。
しかし、過重労働の緩和、給与改善、職員の再雇用制度および定年延長、定年延長された教員の期末勤勉手当の見直し、非常勤職員の雇い止め問題など、組合に寄せられる教職員の要求はますます高まって来ています。さらに、2019年4月には大阪市立大学との法人統合が決定されており、勤務労働条件の不利益変更の阻止と大阪市立大学との勤務労働条件の均衡など重大な課題に直面しています。府大教は組合員の勤務労働条件の不利益変更を許さず、教育研究環境のより一層の改善に向けての運動を進めていくとともに、法人統合に向けて、組合の組織強化のために、情宣活動を強化し、組合員拡大の取り組みを進めていきます。
組合員拡大をめざして
- 「自ら大阪府立大学を守り、勤務労働条件の改善のために組合加入を」をスローガンに、教育研究環境と勤務労働条件改善の活動と組織拡大を両輪とした運動を進めます。
- 組合員拡大の具体的な取り組みを進めます。
- 組織部を中心に職場代表と協力して組合加入対象者を明確にします
- 府大教の福利厚生活動への参加を組合加入対象者に呼び掛けるとともに、組織強化・救援基金特別会計を活用して、組合員拡大の企画を行ないます
- 組合加入を勧めるパンフレットを作成します
- 職場で組合員と協力して未加入教職員に組合加入を勧める集いを催します
- 非常勤職員への組合加入を積極的に進めます
B) 情宣活動の強化
移転した府大教ホームページ(http://www.fudaikyo.org)では、旧ホストと比較すると容量やCGI等の自由度が格段に拡充されていますので、今後、府大教HPの充実、組合員へのサービス向上に取り組みます。自ドメインであるfudaikyo.orgでのメール運用については、旧アドレスとの混乱を生じないように慎重に進めます。これら新サービスを活用し、すべての組合員に府大教の活動が十分に伝わるよう府大教ニュースや書記局ニュースを発信して行きます。
電子媒体や配布書面だけでは無く、掲示板や立て看板等による啓発、宣伝活動も重要です。従来、ポスター等の掲示物の作成には相応の負担がありましたが、OA機器の進展によりかなりの工程が省力化されてきています。書記局では大判プリンターの更新、OA機能の強化に努め、掲示物を活用した情宣活動の活性化を目指します。
C)府大教の福利厚生活動の充実
各種のサークル・クラブ等の活動を府大教の福利厚生活動の一環として今年度も補助金などの援助をしていきます。また、独自企画や各種の催しの参加費援助など、福利厚生活動のさらなる充実を目指します。2010年度から府大教の要求に基づいて、法人規程で教職員の福利厚生の充実を目的とする「福利厚生協議会」が設置され、組合推薦で2名の組合員が委員となっています。福利厚生協議会では法人の福利厚生に係る決算および予算が議論され、教職員が加入する公立学校共済組合や大阪府互助組合の事業の状況を検証し、教職員の福利厚生の充実に向けて、福利厚生のあり方が審議されています。教職員向け食堂(生協食堂ミナーレ)開業や「教職員自己研修室」の改善改修、職員研修の充実、人間ドックやインフルエンザ予防接種への補助など、福利厚生事業もある程度進んできましたが、さらに福利厚生の充実に向けて取り組んでいきます。
D)労働組合としての闘争の戦術研究
公立大学法人の教職員の勤務労働条件は、労働法制に基づいて、労使の交渉によって決しなければなりません。しかしながら、府大教は、高等教育機関である大学の教職員の労働組合であり、高等教育機関である大学の特性に鑑み、労働者の権利に基づく労使の交渉であっても、ストライキの実施や裁判闘争等を行う場合、社会情勢への配慮とともに国立大学法人及び私立大学の状況の検討などが必要です。すなわち、府大教にとって、闘争の戦術研究は重要な課題です。闘争研究部では、労働法に定められた労働基準監督署への改善勧告申し立てや労働委員会への不当労働行為救済申し立て、裁判闘争の手続きなど、勤務労働条件改善のための対法人交渉の方法、戦術について、弁護士との相談も踏まえ、具体的に検討していきます。
E)府大教の組織変更
府大教の組織変更については、2012年度からの学域制移行に伴い旧学部が2016年度からなくなる状況を踏まえ、旧学部を単位とする府大教の職場代表の選出単位について大阪府大学教職員組合選挙規程に定める「別表1」を2016年度府大教臨時大会において改定しました。2017年度4月から法人の組織変更により研究推進本部や教育推進本部等の本部制が行われており、法人統合を踏まえ、引き続き府大教の組織変更について検討していきます。
F)大阪府大学教職員ユニオンとの関係
大阪女子大学教職員組合は、2008年大阪府大学教職員ユニオンと改称しました。これまで過半数代表者の選出にあたって、大阪府大学教職員ユニオンに推薦人の協力を依頼するなど、いくつかの共闘態勢を取ってきました。また、大阪府大学教職員ユニオン役員との定期的な懇談会(毎月に1回)を開催し、交流を図るとともに、給与改定など就業規則の変更や教員業績評価など重要事項については、意見交換し共同して取り組んで来ています。将来の組織統合に向けて協議することにも合意し、法人統合を踏まえ、組織統合できるよう協議を進めていきます。
安倍政権は来年度から5年間にわたりの防衛予算を過去最高に引き上げようとしています(米国との再編関連費を除く予算)。これ以上防衛費がいるのか大きな疑問を持たざるを得ません。それよりも近年の地震や豪雨などの自然災害による防災整備に予算を多くとり、国民の安心と安全な生活を最優先すべきです。「人づくり革命」と銘打った予算ですが、実際には生活保護費や医療・福祉予算を削り取った「改憲、軍拡予算」と言った方がふさわしいでしょう。また、「働き方改革」、「参議院定数改正」等の重要法案が国会での数の論理で十分な議論がされず強行に採決されました。次期国会では安倍政権の念願である改憲の審議が進められ、両院の数の論理で押し切られることが十分予想されます。改憲は9条への自衛隊明記による自衛隊員の命を米軍に差し出すだけではなく、日本の将来を大きく悪い方向に変えることが強く懸念されます。最近、一国会議員が「LGBTは子どもをつくらないので非生産的」という発言をしました。これは少数者を非生産的というレッテルを貼って区分、排除するという極めて危険な思想です。本人は軽率に発言したのかもしれません。しかし、軽率な発言としてこのような言葉が出てくることに深い恐ろしさを感じます。「LGBT」が他の言葉に変わり対象となった人たちを多数が無邪気に圧迫、排除していくことは何としても阻止しなければなりません。このために知の多様体である大学が、多様な知や価値を提供、拡散させていくことは大学の最も大きな使命であると考えられます。
その大学を取り巻く状況に目を転じてみると、文科省は、昨年6月の国立大学長会議で「努力がないなら見捨てざるをえない」などと脅し、個別の大学には統合の組み合わせを指図するなど、強引に統合へと誘導しています。しかも、「最終的には当省の責任で具体的計画を策定する」というのです。また、少子化の対策と名をうたった、地方国立大学の再編を含めた統合に向けた政策を強制しようとしています。特に、教員養成の大学・学部の再編に強い圧力がかかっています。これにより地方がもつ特色や教育問題の研究などが困難になります。地域から国立大学がなくなるような動きに対し、地元の自治体や教育関係者、商工団体などから出てきている「地場産業の育成など地域経済に、地域の国公立大学の役割は大きい」、「地域の教育と密接な関係をもっている地元の教員養成学部は必要だ」等の切実な声に、 文科省は耳を傾けるべきでしょう。(毎日新聞)
また、大学の取り組みに応じて運営交付金を配分する文科省の手法は、学問の自由という大学の根幹の意識が欠如しているだけでなく、大学を産業・経済の手段として捉えています。そこには、大学が大切に守ってきた「個人の尊重」「学問の自由」の概念はもはやありません。
府大教は、全構成員の知恵が結集され得る真の大学の在り方を求め、このような動きに強く反対していきます。今、日本社会はどこに向かっているのか、私たちは、これまで以上に敏感になるべきです。府大教は、職場委員を通じて、また、アンケートなどの手段で、すべての組合員の声を聞き、それらの声を運動の強固な基盤にしたいと考えています。多くの意見を汲み取り、法人、地域社会、日本に対して発信していくことにより、健全な大学の発展と社会への貢献を目指して、その使命を果たしていく所存です。