第5号議案
2013年度活動方針に関する件
現在、大阪府立大学では大阪市立大学との統合へむけた準備が進められています。学群制、学域・学類制に移行してまだ2年も経たないうちから、 次の 「改革」 に取り組む姿勢は拙速というよりほかありません。新しくスタートしたばかりの現在の体制を検証し、一定の評価を経た後にはじめて、 次の段階を考えるべきです。 それとも、 新体制は機能しないと早くも判断したのでしょうか?
また、 学内での議論の進めかたとその議論内容の情報開示の点でも、 危惧の念をおぼえざるをえません。 大学の内部から新たなビジョンを生み出す努力をせずに、 与えられた 「新大学ビジョン」 に沿うことだけに汲々とする学内議論では、 局地化された小さな議論があちこちで行われるばかりで、大阪府立大学としての確固とした意志は見いだせません。そしてその小さな議論の内容でさえ、 学内構成員に十分に伝えられず、 結果として大阪府立大学がもつ豊かなエネルギーがほとんど生かされていないというのが実情でしょう。
学群制、学域・学類制にいたる前回の「改革」においても、学内議論がなおざりにされ、設立団体の意向に沿うことに傾注して最後は理事長判断で断行されました。今回の 「改革」劇は、その教訓がまったく生かされないまま、「大阪都構想」に翻弄され、前回の「改革」と同じ轍を踏もうとしています。二度目となる今回は、前回と同じ失敗をくりかえさないよう、充分な学内議論を強く求めます。
一方、 教職員の労働環境に目を移せば、 給与の特例減額の継続と人員削減などによって、ますます厳しい状況が生まれています。 府大教は、 教職員の暮らしを守り、 勤務労働条件と大学の教育研究環境の改善をめざして、 2013年の活動方針について、 大会議案として以下に提案します。
重点課題と具体的取り組み
A) 給与、労働条件の改善について
私たち教職員の勤務労働条件は、 労働基準法第1条で 「労働条件は、 労働者は人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」 と定められた労働条件の原則に則り、第2条の 「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」 に拠って決定されます。 また、 労働契約法は第9条で 「使用者は、 労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」 と定め、 一方的な勤務労働条件の不利益変更を禁止するとともに、第10条で「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、 変更後の就業規則の内容の相当性、 労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なもの」 と勤務労働条件の不利益変更についての厳しい制限を定めています。 労働者の保護を図る法の理念は、 使用者が、 賃金についての不利益変更を行う場合には、 「代償措置その他関連する他の労働条件の改善」の措置を取ることを当然の前提としています。
給与については、地方独立行政法人法(地独法)第57条の3は、「法人の業務の実績を考慮し、 かつ、 社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならない。」 と規定しています。 すなわち給与の支給の基準は、 「法人の財務状況と業務実績」 および 「社会一般情勢」である と明示し、 大阪府が条例で府公務員に対して定める基準を、 法人が画一的に法人教職員に適用することを強く戒めています。 しかしながら、 同様に労働法制の下に置かれてる独立行政法人である国立大学においては、 東日本大震災の復興財源とするという名ばかりの理由で、 人事院勧告に拠らず特例法で7.8%も給与切り下げが行われた国家公務員に準じて給与切り下げが進められ、 全大教と加盟8単組がそれぞれに不当労働行為による労働委員会への提訴と賃金不払いの裁判闘争を提起しました。 府大教は国立大学の教職員組合の闘いと全大教の取り組みに連帯して支援するとともに、 裁判闘争の経験と教訓を共有し、 大学法人の財政状況、 とりわけ運営費交付金の人件費と教職員の給与のあり方がどのように裁判で判断されるかに注視していきます。 法人はこれまで給与改定に際して、 法人の運営費交付金が大阪府によって措置されていることを理由に「大阪府準拠」を提案し、主要な国、公、私立大学に比べ、 私たち教職員の給与は著しく低くなって来ています。 大学の教職員としての尊厳を回復し、 働き甲斐のある職場を目指し、 府立大学を発展させるためにも、 給与の改善は重要な課題であり、 国、公、 私立大学の教職員の給与水準を賃金闘争部を中心に調査し、法人独自の給与制度の構築に向けて取り組みを強化します。
労働法で保障された労使交渉に全組合員の団結で粘り強く取り組み、不利益変更を許さず、賃金切り下げ反対の取り組みをいっそう強化して、 大学の崇高な社会的使命に相応しい 「法人独自制度」 を作らせる闘いを進めましょう。
A1 業務に見合った特殊勤務手当等の導入
これまでの府大教の取り組みの中で、 法定職をはじめいくつかの手当が特殊勤務手当として制度化され充実されてきました。 一方、 社会貢献手当は表彰規程に基づく報奨金として支給されています。 実際に汗をかいている教職員の業務に見合った特殊勤務手当の導入は、 勤務労働条件の改善向上、組合員の権利拡大に向けて重要な課題です。 特殊勤務手当等の新設、導入については、 今後も他の国公立大学の状況を調査し、 教職員の業務の実態に合わせて取り組みを進めて行くとともに、 その充実に向けて取り組みを強化していきます。
A2 裁判・労働委員会闘争
府大教は労働組合として法人登記し、「法人格」を取得することにより、府大教が裁判所や労働委員会に提訴するための条件を整備してきました。 また、 労働審判法は使用者と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルを、 そのトラブルの実情に即し迅速、 適正かつ実効的に解決することを目的とする労働審判手続を定め、 通常の裁判訴訟に比べて手続も容易で、 短期間で紛争解決を図る手段として組合員が個人として訴訟する有効な手段です。 府大教は、 北大、 阪大において不当労働行為救済申し立てが地方労働委員会で認められたことや多くの私立大学の裁判闘争の勝利からの教訓に学び、 これからも裁判・労働委員会闘争について研究、 検討を進めていきます。
A3 勤務時間の短縮について
教職員を勤務時間の短縮を要求してきた府大教の運動の成果として、2010年4月より専任職員への勤務時間の短縮が導入され、 2011年4月からは非専任職員 (フルタイム契約職員)にも勤務時間の短縮が実施されました。 2つの勤務体制(A勤9時~17時30分、B勤9時15 分~17時45分) により実施されている勤務時間制は、 多くの職場で定着してきているものの、 短縮の成果が十分に見られないことやサービス残業の実態も見られることから、 各職場の勤務実態を踏まえ、 すべての教職員にとって勤務時間の短縮をさらに実効あるものとするために、 勤務時間体制の見直しと改善が必要です。 組合員の皆さんの声を基に、 勤務時間の短縮を実効あるものとするため、 粘り強く運動を進めて行きます。
A4 教職員の人事評価制度について
2006年に大阪府の教職員に人事評価制度が導入され、 法人においても府派遣職員をはじめ教員を除く全ての法人職員に 「大阪府準拠」 の人事評価が行われ、 勤勉手当と昇給に評価結果が反映されています。大阪府の人事評価制度はこれまでの府労組連と府職労の闘争の取り組みの中で、 多くの問題点が指摘され、 いくつか見直しされてきましたが、府派遣職員の法人職員化などにより府派遣職員が大幅に減少している府立大学では、 法人独自の職員の 「人事評価制度」が必須です。また、府人事委員会は「人事評価は、評価を通して、職員の資質の向上及び公務能率の向上を図ることが目的であり、 人事評価制度の運用にあたり、 最大限の効果を発揮するための努力を継続されるよう望む」 として、 すでに破たんしている評価制度を追認する不当なものになっています。 民間研究機関の調査でも 「企業内の年齢内格差が大きい企業ほど、 社員の健康状態が悪いことが確認され、 成果主義導入による弊害が生じている」 ことが明らかになっています。 府大教は、 組合員の意見を基に、 法人独自の人事制度の構築とともに、 人事評価制度の見直しを要求して行きます。
教員の業績評価と処遇への反映は、 その目的が高等教育機関としての大学の使命と責務に合致し、 教員の職務内容を総合的且つ合理的に評価し得る公正で多様な評価であることが求められます。 府大教は、 2012年度に試行実施された教員業績評価の結果の検証を強く法人に求めるとともに、2013年度に試行実施される教員業績評価が公正で公平な評価となるよう評価の方法と基準を見直すよう求めて行きます。
法人との協議・交渉に当っては、 教員の身分と勤務労働条件に直結する重要な課題であることから、 組合員の意見を基に、 教育研究組織での十分な審議を求め、 不公平な評価制度に基づく処遇への反映を行わないことを強く求めていきます。
B) 教員の課題
教員削減が人事委員会制度の下で実行される中、教員の勤務労働条件の改善のために2013 年度に取り組む重要な課題は、 教員の業務の過重に対する見直しです。 授業負担の増加とともに教育研究組織と教員所属組織の分離による指揮命令の混乱の中で、 大学改革や評価に係る会議、 入試業務、 授業の持ちコマ等が増大し、 さらに研究費削減の一方で外部資金獲得のために費やされる時間が増えており、 教員の 「研究時間」 の減少が教育研究環境の悪化に拍車をかけています。 また、 オープンキャパスや補講、 更には社会貢献による週休日の出勤(週休日の振替) も生じるなど、 「研究時間」 の確保はますます困難になっています。 府立大学が高度研究型大学をめざすうえで、「研究時間」の確保は最も緊要な課題です。専門業務型裁量労働制の適用をはじめ、適正な教育研究環境の確保の問題として、教員の勤務状況を調査し、その実態を明らかにするとともに、問題点を整理し、課題を提起していきます。
B1 裁量労働制試行導入に伴う教員活動支援策の拡充
2008年度から教員に対する裁量労働制が試行導入され、「1週間の勤務時間(38時間45分)のうち、 非裁量業務がおおむね半分を超えない」 裁量労働制の基準を充たしているかについて多くの疑義が明らかにされてきています。 このような疑義を払拭し、 法人が取るべき施策として、十分な教員活動支援策をとることを労働協約(確認書)で確認してきました。 しかしながら、 現行の教員活動支援策は、 十分に教育研究環境を確保するものとはなっていません。 特に、 非裁量業務が多くの教員に陰鬱に圧し掛かってきている現状を見るならば、 裁量労働制の試行導入の根拠そのものが揺ぎはじめているとみなさざるをえない状況になりつつあります。大幅な教員削減が行われる中、講義負担も過重になるとともに、教員の実労働時間が増加している現状を真摯に認識し、 労働時間管理のあり方や 「講義持ちコマの標準化」など具体の教員活動支援策の改善が求められています。 府大教はこれらに対する取り組みの強化を図ります。
C) 職員の課題
組合活動の原点は、 組合員の身近な問題に取り組み 「働きがい」 のある職場作りです。 昨年度、 実施した組合員職場アンケートの結果を総評すると、 ①健康面では疲れている63%、②業務は忙しい90%、③ストレスを感じている80%、④時間外勤務は定常化している、⑤業務内容について不満はある40%、 ⑥給与は少し不満・不満70%、 この様な結果でした。 この6 つの問題を一つ一つ解決すべく取り組んで行きます。
また、 昨年度、 教員職において65歳定年制が導入されました。 同じ事業所で働き、 同じ法人で働く法人職員についても65歳定年制を導入する様、 強く法人に申し入れます。
より良い労働環境・ 労働条件こそ、 大学が持つ使命を高い水準で維持するための原動力です。「府立大学で働いていて良かった!」と、全ての組合員が思える職場を目指して、以下を重点項目として取り組みます。
1) | 年金受給年齢引き上げに伴う法人職員の定年制度を65歳に引き上げる |
2) | 法人独自の法人職員の昇任・昇格制度の確立 |
3) | 職員に対しての福利厚生の充実 |
4) | 大学の将来を見据えた職員の育成、専門知識・専門技術の強化、継承の対策 |
5) | 業務量に応じた職員の配置(時間外勤務の縮減) |
6) | より良い労働環境への職場つくり |
D) りんくうキャンパス
2013年度りんくう執行部は事業場過半数代表として、 りんくうキャンパスで勤務する教職員が、安心して日常の業務や教育研究に専念できるよう、労働条件や処遇の改善に努めます。また、 りんくう事業場安全衛生委員会とも協力して職場環境の改善に努めます。 基本的には府大教の執行方針に従うことはもちろんのこと、 中央執行部との連携を強化し、 中百舌鳥キャンパスで開催される中央執行委員会や労使協議にも、 遠隔中継を利用して、 できる限り参加していきます。 りんく う独自の労働環境である獣医臨床センター(病院)についても、 労働条件の改善のために、 勤務実態の把握に努め、 組合を通じて要求するべきことがないか注視していく所存です。
福利厚生活動については、 組合員の要望を聞きながら組合員全員が参加できるような企画を検討し実施していきます。 活発な同好会活動も継続していきます。
E) 羽曳野キャンパス
羽曳野キャンパス部局では、 組合員相互の交流を深め意見交換を行っていきます。 組合の必要性や府大教での取り組みを積極的に訴え、 非常勤職員を含め、 組合員を増やしていきます。 羽曳野キャンパスで働く教職員が安心して働ける環境をつくっていきたいと思います。なかでも、 昨年度からの継続協議となっている空調問題については、 教育研究環境を改善させるうえでも重要なことです。 引き続き集中空調の運転時間の延長と必要な部屋への個別空調の設置の実現に向けて取り組んでいきます。
F) 非常勤職員の課題
2013年4月の改正労働契約法の施行により、今年4月以降の有期雇用期間が5年を経過する場合、 労働者は無期雇用への転換を求めることができることになりました。法改正の趣旨は、 有期雇用の濫用的な運用を規制し、 無期雇用への転換を促すものです。
しかし、 1年ごとの労働契約で雇用されている非常勤職員は3年 (特段の事情のある場合は5年) で雇い止めが行われており、現状では希望者全員の無期雇用への転換は厳しいものがあります。
府大教は、臨時的・補助的な業務ではなく、恒常的・基幹的な業務を担っている非常勤職員を無期雇用とするよう求めていますが、 法人は一部の専門役のみを対象としただけです。
2013年8月現在、府立大学3キャンパスには171名の常勤職員、約730名の非常勤職員が勤務しています。 常勤職員の削減が進められる一方で、 多くの非常勤職員に支えられて法人運営が行われていることは、 法人も認めています。
府大教は、 法人化以降非常勤職員の組織化を図り 、 要望に添った取り組みを進めてきました。 これまでの活動で、 無期雇用の職の設置、最低賃金の引き上げ、 フルタイム契約職員への勤務時間短縮の導入、年休付与の改善、健康診断項目の充実、学外での人間ドック受診等の職免の取扱いなどの改善が行われていますが、 まだまだ労働条件には常勤職員との格差はあります。 また、非常勤職員の中でも雇用形態は様々で、給与体系にも格差が生じています。
これらの状況を見極め、 引き続き非常勤職員からの意見を聴取、 整理し取り組みを進めていきます。 2013年度は以下について重点的に取り組みます。
1) | 非常勤職員の無期雇用化の拡大 |
2) | 非常勤職員から法人職員への採用枠の拡大 |
3) | 勤務年数に応じた昇給制度の確立及び一時金の支給 |
4) | 夏期休暇を含む特別休暇の拡充 |
2013 年4月に大阪府市統合本部が 「新大学ビジョン (案)」 を発表しました。 これは前年12月に出された新大学構想会議の提言を、 ほぼそのまま踏襲するもので、 大阪府立大学と大阪市立大学を統合し、学部、研究科の再編を行うとともに、新たに理工系の新学部、獣医学部等を設置するといった内容です。 府市統合本部は、 新大学推進会議を設置し、 両大学の実務担当者による細部のすり合わせを行った後、 8月末を目途に具体案を提示することを求めています。 当該大学の代表を参加させずに統廃合の基本方針を決め、 有無を言わせず具体化を進めるやり方は、大阪女子大学を廃止し、府立3大学を統合した2005年の府立大学法人化時と同じ手法です。 また、 大学内部の議論を軽視し、 トップダウンで組織改革を行うやり方は、 これも2010年の学域学類/学群学系改革と同じ手法と言えます。
そもそも、前述のように5年おきに大規模な組織改革を行うこと自体が、大学本来の社会的使命である、 教育・研究の現場をまったく無視した暴挙であると言えます。
提言された新大学の構想も矛盾で満ちています。 府市統合本部が重視するものは、 「地域貢献」 で、 「強い大阪に、大阪成長のエンジンと成りうる人材を集め育てていく大学をめざす」というものですが、 これまで大学が掲げてきた 「高度研究型大学」、 「国際化」 といった目標と両立するとは思えません。結局、構想などは二の次で、行政主導の「学部再編等の抜本的見直し」 などの組織再編によって、人員削減、経費節減をはかるという意図がうかがわれます。
公立大学は、高等教育機関として、また地域住民の教育文化の拠点として、多面的な役割を担っています。 一時の流行に流された行政主導の改革は、 大学の真の発展を阻害するものです。教育基本法第7条第2項は「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」 と規定しており、 組織改革には、 大学の自主性を尊重し、 公開された大学内での十分な民主的議論を経ることが不可欠です。 大学を単に大阪府・市に役立つ機関とするだけではなく、 高等教育機関としての役割を十分に果たし、 高度の教育研究や文化を持続発展させることのできる、 府民・市民のための大学改革を目指すことが必要です。
府大教は、 民主的な大学運営を求め、 法人との定期協議、 理事折衝、 学長会見や部局長会見を通じて、 改革の問題点を明らかにし、 組合員への情報提供に努めてきました。 しかし、まだ十分とはいえず、 府大教には改革のオピニオンリーダーとしての役割を果たすことが求められています。下記の方針の下に、大学統合問題、教育体制、教職員定数や教員所属組織の問題などの課題に取組み、 すべての教職員とともに民主的な大学づくりを目指します。
A) 「大学改革」に全学教職員の意見を反映させること
大阪府は、市立大学との統合を3年後に実現するという計画を打ち出す一方で、法人化後第2期目の中期計画(2011-2016年度)は撤回していません。 とりわけ、教職員の大幅な削減(教員723名→637名、職員214名→160名)、 運営費交付金の削減(108億円→90億円)には固執しています。さらに大阪府は、これらの改革は大学が自ら定めたものであるとして、設立団体と しての責任を回避しています。
2012年4月から、新学域体制がスタートし、新旧カリキュラムの並走、基礎教育の全学化、教員の削減等により、人材確保の困難化や教員の負担増が顕在化し、2011年度から導入した教員所属組織も全く機能しないなど、 問題が山積しています。 とりわけ、教育組織と教員の所属組織の分離は、 教育の責任体制を曖昧にし、 大学教育に不可欠な自治的運営に支障をきたすとともに大学の自治の形骸化をもたらすおそれがあります。
教職員の削減、 運営費交付金縮減は大学としての活力の衰退をもたらします。 府立大学のさらなる発展のために、教職員定数と運営費交付金を十分に確保することが必要です。また、教職員の削減計画は、雇用問題や勤務労働条件に直結するものであり、府大教は、教職員の勤務労働条件、 教育研究条件の改悪に反対し、 雇用を守ります。
府大教は、今後の大学統合の動きに注視し、行政主導による改革ではなく、 民主的な大学運営の実現のために、学生を含めた全構成員の声を反映した大学運営の実現を求め、大学改革の問題点について情報交換を行い、 共通の認識を広めるとともに組合方針に反映します。
B) 理事長・学長の民主的な選考制度の確立
府大教は、学長となる理事長の選考に、意向投票の実施等、大学構成員の意思を公平に反映する民主的な仕組みを作ることを要求してきました。しかしながら、過去2回の理事長選考では、理事長選考会議は、十分な審議や学内での意見聴取も経ないまま、「意向投票」を実施せずに理事長の選考を実施しました。
府大教は、新しく選ばれる理事長が全学の構成員の総意としての信頼を得るためには「意向投票」制度が不可欠であり、全国の国立大学法人のほぼ全てで行われているこの制度を実施しないことに抗議するとともに、自主的な意向投票を実施しました。学長選考について教職員が積極的に関与し、理事長選考制度に大学構成員の意思を反映する民主的な仕組みを作ることをめざします。また、一旦選考された理事長の権限の大きさと責任の重さに鑑み、理事長のリコール制度を内規として設けることは不可欠です。速やかに理事長の解任規程を整備し、解任請求投票制度を制定することを法人に要求します。
C) 教育研究会議の尊重
法人化後、 それまで大学の組織運営に重要な役割を果たしてきた評議会、 教授会の意向が軽視され、 理事長、 役員会による一方的なトップダウンの大学運営となっています。 府大教は、 大学運営が教育公務員特例法の精神を承継し、 学問の自由と大学の自治に則り、 構成員の意思が反映できる仕組みを目指します。
法人化後、 評議会の機能を引き継いでいるはずの教育研究会議は、 単なる連絡会となっていると言われています。このような状態では、大学が自治されているとは言えません。また、学科会議→教授会→教育研究会議→役員会という意見集約のボトムアップが機能していない状態は、 構成員の諦めと絶望感をますます助長しています。 府大教は、 教育研究会議を教育研究に関わる重要事項を実質的に審議する機関と して機能させる民主的な大学運営の実現を要求します。
D) 大学憲章の制定を目指して
他大学の多くは大学の目的や理念をいろいろな形で明示しています。 それらには、 「教育の理念」・「研究の理念」・「大学の社会的使命」の3点に加え、「大学の自治・大学運営の理念」が必ずといってよいほど明記されています。 しかしながら、 大阪府議会で決めた法人の定款や設立準備委員会が決めた大学および大学院の学則には 「大学運営の理念」 が明示されていません。 府大教は、 学生、 教職員をはじめすべての大学構成員が参加する体制の下で、 自律的にこの 「運営の理念」 を宣言する必要があると考えます。 全ての大学構成員の共同をさらに前進させ、 「大学運営の理念」を含めた、押しつけではない我々の「大学憲章」の制定を目指します。
学域・ 学類体制も2年目となり、 外面上何とか運営できている様相ですが、 内部では様々な障害が顕在化してきています。 最も重大な障害は退職教員の補充が著しく困難となり、 教員数が激減していることです。
このグラフは府大の運営費交付金, 教員数, 職員数を法人化前年度(04年度)を 100 として表し, 国立大学全体の値と比較したものです(国立大のデータは政府統計などから)。
府大の職員数(正規)(▲)は激減して、 「フルタイム」 という名の、雇止めの不安を孕む勤務形態に置き換えられています。 国立大全体の職員数(△)は順調に増加していますが、 この「本務職員数」 には府大でのフルタイム契約職員にあたる数が含まれているのかもしれません。職員の勤務形態の変化の問題点については他稿に譲り ます。
教員数については、国立大(□)はほとんど変化しておらず、 ここ2・3年ではわずかながらの上昇も見られるのに反し, 府大(■)は止めどなく減少の一途を辿っています。 非常勤の教員数はほとんど変化していません(データで見る大阪府立大学2013)ので, 教員の負担は, 反比例して増加しています。 その上、学域学類体制が始まり、学部学科体制が併存することによる負担増はこれらの数値以上のものであることは明らかです。 こんな状況下、 まがりなりにも破綻せずに教育体制を維持できていることは、 奇跡的であるとも思えます。
運営費交付金については、 国立大(○)は年1%のシーリングが確実に実施されていることがわかりますが,府大(●)の場合はその4.5倍の勢いで削減され続けており、平成24年度は98.1億円まで減少しています。 このままさらに8年経つと最初の半分以下になる減少率ですが、 一体どこまで下がり続けるのでしょう。 かつて理事長は 「府大は俎上の鯉の状態である」との現状認識を表明しましたが,それから1年以上経ちました。俎上の鯉も正論を吐いたり、何度か跳ねてみても良い時期かもしれません。
公立大学の運営に要する経費については、 国からの地方普通交付税の基準財政需要額に算入されており (文科省ウェブサイ ト 「公立大学の財政」 参照)、 学生一人当たりに要する経費(平成23年度単位費用:理系183.2万円、文系24.3万円)に府大の在学生数(理系6,000 人余、文系2,000人余)を乗じて算定されますので、その額は115億円になります。 この額がそのまま大阪府に交付されるわけではありませんが、 大阪府がそれに見合う運営費交付金を支出すべきとするのは正当な要求といえます。
上の図は 「データで見る大阪府立大学2013」 にある教員 1 人当たりの学生数のグラフに、国立大全体のデータ (文科省統計要覧) を書き加えたものです。 良い教育が行われているかどうかをこの数字がそのまま表しているわけではありませんが、 主要な国立大では更にこの値が小さいことが知られています。 かつて国立大よりも密度の濃いマンツーマン的な教育が行われていた府大が、 薄いマスプロ的な教育ばかり に変わっていっていないか危ぶまれます。理系/文系比によってもこの数字は大きく変わります。 理系/文系比を考慮すると主要な国立大との差はもっと広がっているのかもしれません。
■具体的な取り組み
2005年度からの三大学統合と法人化、2012年度からの学域制発足など大阪府立大学を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。なかでも、第二期中期計画(2011年度~2016年度)に掲げられている教職員の大幅削減や運営費交付金の削減は、 大学で働く教職員の勤務労働条件を大きく低下させる深刻な問題です。
府大教は、 大阪府立大学の教職員がこれまで公立大学として果たしてきた役割を守り、 さらに発展させるために、 以下について要求します。
A) 教育研究環境の改善
昨年に引き続き2013年度も基盤研究費は20%が減額され部局長裁量経費に振り替えられ、理系教員40万円、文系実験系32万円、文系20万円となっています。安定的な教育や研究活動が保障されるように、基盤研究費・教育費の充実を求めます。また、裁量労働制試行導入の大前提となっている教員活動の支援の充実については予算の増額と有効な教務支援策を要求し、 教育研究時間の確保に努めます。
部局からの申し出による新規採用人事がほぼ凍結されているという、 大学の自殺行為に等しい現在の教員人事採用計画を、 改めて検討し直すことを要求します。
若手教員が、 「身分不安定な任期制の職では家庭も持てない…」 と考えてしまうのは当然のことと思えます。 若手教員の人材確保のためには、 違法すれすれの全学一律の任期制助教制度を廃止すると共に、 任期制助教の任期を外すことも考慮すべきです。
B) 学内施設等の改善
法人はトップダウンで部局制から学域学類への移行を断行し二年目を迎えましたが、教育環境の未整備は改善されていません。 新学域の学舎につては計画も示されず、 耐震化の為最優先であるべきキャンパスプランの進捗は遅れたままです。 またずさんな移転計画の中、 キャンパスプランには示されていない付け焼き刃のような改修工事が散見されています。 さらに突然持ち上がった府市統合のあおりで、 見通しはさらに不透明になっています。 本学の看板であった中百舌鳥門正面の工学部学舎は立ち入り禁止となって虚しく佇むのみです。 とはいえ、 教職員自己研修室の同フロアへの組合事務所移転、 不透明であった 「国際交流施設」の計画を開示させるなど、 より良いキャンパスづくりへの取り組みを僅かながら進めることが出来ました。 引き続き府大教は、 教職員の働きやすさに加え、 安全で機能的なキャンパスの実現に向け、 法人に対し粘り強く働きかけていきます。
特に予見されている大震災を見据えると、 安全の確保は全教職員にとって最優先の懸案事項です。今後とも労使協議等を通じて設備改善の要求を続けるとともに、建物、施設等に関する各職場の組合員からの声を汲み上げ、 改善に努めていきます。 また、 「安全衛生委員会」の委員を推薦し、委員との意見交換を通じて、組合員の安全と健康の維持に努めるとともに、学内の福利厚生を協議する 「福利厚生協議会」 に委員を推薦することで、 教職員の福利厚生のさらなる充実を目指します。
【キャンパスプラン】
法人は06年7月に「中百舌鳥キャンパス及びりんくうキャンパスにおける施設の新築整備や、耐震を含めた抜本的な改修整備の方針」 として「大阪府立大学施設整備プラン(改訂版キャンパスプラン)」 を策定しましが、 その実施は遅れに遅れ、数度の微小変更はあったものの、 ほぼそのままに現在も転がし方式の移転が進められています。 この間 「学域学類制への移行」 や新学域の設置、 さらには大阪市大との統合による組織改編も議論されるなか、 年度ごとに大阪府の予算措置により実施計画に変更が加えられる一方で 「大学改革」 による組織の改編については考慮されず、新学域、 学類の物理的な分断化を招く結果になるとともに、移転を待つ教職員や学生には耐震化の行われていない老朽校舎での教育研究を強いるものです。A2棟の解体については進歩がありましたが、今日に於いても新大学に対応していない旧のキャンパスプランが延々と進められていることについては、 将来に禍根を残す重大な問題と考えます。
教職員の意見を反映し、 教育研究環境の向上を見据えた、 安全で優れた教育研究を実現するためのキャンパスプランを立案し、 進める事を法人に対して求めていきます。
A) 組織拡大 : 安定的な過半数組合を目指して組合員拡大5カ年計画
2002年には 529名の組合員を組織し、 十分に過半数組合の力量を保持していた府大教は、その後の教員定数25%削減計画の実施、 府立3大学統合再編、 大学法人化の中で、 組合員の退職や異動、新規教職員の組合未加入などにより、組合員数が大きく減少し、12年現在、組合員数は391名になっています。 その間には過半数組合を目指した「組合員拡大5カ年計画」の遂行、 新規加入組合員を拡充するための 「組合員拡大加入促進規程」 の整備等の取り組みを行ってきました。 また、 毎年4月には法人主催の新規採用者説明会で組合の説明と加入の訴えを行うとともに、 組合独自の新規採用者説明会も開催してきました。 しかしながら第2期中期計画の教職員削減の中で、 組合員の退職や異動などによる減少が大きくなっており、府大教は組織的にも財政的にも危機的な状況に直面しています。 この危機的な状況を克服することは、 市大との統合問題かかる教職員の負担軽減にとって重要であると考えられます。府大教は大学統合問題における教職員の不利益を許さないために、 組合員拡充ための以下の施策への取り組みをより一層強化していきます。
組合員拡充のための施策
1) | 「自ら大阪府立大学を守り、勤務労働条件の改善のために組合加入を」スローガンに、教育研究環境と勤務労働条件改善の活動と組織拡大を両輪とした運動を進めます。 |
2) | 組合員拡大の具体的な取り組みを進めます。 |
(1) | 組織部を中心に職場代表と協力して組合加入対象者を明確にします |
(2) | 組合加入を勧めるパンフレットを作成します |
(3) | 職場で組合員と協力して未加入教職員に組合加入を勧める集いを催します |
(4) | 非常勤職員への組合加入を積極的に進めます |
(5) | 新規加入組合員の組合費納入猶予期間や組合員拡大に協力した組合員への謝礼など特典を周知、 活用し組合加入を進めます |
B) 府大教の福利厚生活動の充実
各種のサークル・クラブ等の活動を府大教の福利厚生活動の一環として今年度も補助金などの援助をしていきます。 また、 独自企画や各種の催しの参加費援助など、 福利厚生活動のさらなる充実を目指します。 10年度から府大教の要求に基づいて、 法人規程で教職員の福利厚生の充実を目的とする 「福利厚生協議会」 が設置され、 組合推薦で2名の組合役員が委員となっています。福利厚生協議会では「公立大学法人大阪府立大学福利厚生指針(案)」 が作成され、 教職員の福利厚生の充実に向けて基本方針が審議され、 目標と行動計画が定められました。また、これに伴い、「教職員自己研修室」が整備されました。これまでの府大教独自の取り組みとともに、 「福利厚生協議会」 での取り組みも重視して、福利厚生活動の充実を目指します。
C) 労働組合としての闘争の戦術研究
勤務労働条件は、 労使の交渉によって決めなければなりません。 これは労働法に基づくことです。 しかし、府大教は、高等教育機関である大学の教職員の労働組合です。大学の労働組合は、 労使の交渉においてであっても、例えば、 ストライキの実施、裁判闘争等を行う場合、 社会情勢への配慮あるいは国立大学法人及び私立大学の状況の検討などが必要です。 すなわち、府大教にとって、 闘争の戦術研究は重要な課題なのです。 闘争研究部では、 労働法に定められた労働基準監督署への改善勧告申し立てや労働委員会への不当労働行為救済申し立て、 裁判闘争の手続きなど、 勤務労働条件改善のための対法人交渉の方法、 戦術ついて、弁護士との相談も踏まえ、 具体的に検討していきます。
D) 大阪府大学教職員ユニオンとの関係
大阪女子大学教職員組合は、 2008年大阪府大学教職員ユニオンと改称しました。 これまで過半数代表者の選出にあたって、 大阪府大学教職員ユニオンに推薦人の協力を依頼するなど、いくつかの共闘態勢を取ってきました。 とくに、給与改定など就業規則の変更や重要事項については、 府大教ニュースを、 大阪府大学教職員ユニオン組合員を含む全教職員に配布するなど情報提供に努めています。 また、 一昨年度から大阪府大学教職員ユニオン役員との定期的な懇談会(2か月に1回)を開催し、交流・意見交換を図ってきました。その中で、将来の組織統合に向けて、 協議する場を設置することに合意しました。 今後は、 中央執行委員会での審議・決定を経て、 正式に組織統合に向けての協議会を設置し、 協議を進めていきます。
E) 大教組、 全大教、 公大連など労働組合上部団体との関係
大教組(大阪府教職員組合)は大阪府の教職員の連合組織で、府大教は大教連(大阪地区大学教職員組合連絡協議会)を通じて大教組に加盟し、府労組連(大阪府関連労働組合連合会) に参加しています。 大阪府立大学は設立団体である大阪府から運営費交付金を交付されていることから、教育研究環境・勤務労働条件の改善については法人化前と同様に、対大阪府との協議交渉が重要です。 しかしながら、 法人化後は要望書や請願署名などを大阪府に提出しているものの、 直接大阪府と協議交渉することができなくなっています。 府派遣の組合員を持ち、 運営費交付金削減が教育研究環境と勤務労働条件を著しく悪化させている今日、大教組・府労組連と連帯して直接、 大阪府と協議交渉する場の獲得をめざします。
府大教は国立大学を主体とする全国組織である 「全国大学高専教職員組合 (全大教)」 および公立大学の組合を全国組織する 「全国公立大学教職員組合連合会 (公大連)」 に加盟しています。 全大教には首都大学東京をはじめ公立大学の1 1の教職員組合が加入していますが、その運動は、 国立大学が主体であり、公立大学の問題はどうしても疎かになりがちとなり、全大教の公立大学協議会は永らく開催されておらず、 公立大学交流会議が交流と議論の場となっています。 しかし、 全大教を通じて今後とも文科省や総務省との協議・交渉などを進めて行くため、全大教の公立大学の交流と議論を深めていくことが必要です。「公大連」は公立大学の35の教職員組合が加入する組織で2006年に協議会から連合会に発展改組しました。公大連は公立大学の協議会(公大協)や総務省、文科省との協議・交渉の接点として重要な役割を果たすことが期待されます。
大学の使命
大学には、 教育、 研究、 地域への貢献、 など様々な使命が期待されています。 この様な大学の使命は、健全な大学の活動によって実現されるものであることは言うまでもありません。「健全な大学の活動とは何か?」大学構成員の意見を反映した民主的な運営であることに異論はないでしょう。 すべての大学構成員の意見を反映させることはできないかもしれません。しかし、 いろんな立場、 観点からの意見を踏まえることで、 最善の方向に大学を導くことが可能になります。そして、この様な大学において、教員、職員、研究員、学生たちは、最大限の力を発揮し、 充実した活動を送ることができるのです。
翻って、 ここ数年の大阪府立大学の活動を見てみると、 このような健全な大学の活動とは程遠いものと言わざるをえません。 2005年に3大学統合によって工学部、 生命環境科学部、理学部、経済学部、人間社会学部、看護学部、総合リハビリテーション学部からなる、理系および文系の学部から成る総合大学へと歩み始めた直後に、 政治的な力によって文系学部を切り捨て理系に特化した新大学に変化を余儀なくされました。 そして、今、再び、政治的な力によって、 大阪府立大学と大阪市立大学との統合の計画が進行しています。 大阪市立大学も政治的な力によってその運営が歪められようとしています。 最近の新聞報道によれば、 橋下大阪市長は、大阪市立大の学長を教職員らの投票などで選ぶ制度を廃止する意向を表明し、「何の責任もないメンバーが1票を投じるなんてまかりならない。 選挙で選ばれた市長が任命するのが民主主義だ」 と話したと伝えられています(毎日新聞8月9日)。大学構成員は大学運営に責任がないのか? 選挙によって選ばれた市長は、 市民から 「全権委任」 されたことを意味するのか? 民主主義とは何なのか?この市長の短い言葉に、 これまでの府立大学がたどってきた変化の所以が凝縮されています。
府立大学は、これまで、 目に見える変化を早く出そうとするあまり、「トップダウン」 と称して、 大学構成員の意見を十分に踏まえずに、 強引な運営を行ってきました。 現在進行している大学統合についても、 不確定な情報を与えることは教職員の混乱に繋がる、 との理由により、 私たちには、 ほとんど情報を与えられることなく進められています。 「トップダウン」とは、 議論を否定した非民主的な手法です。
大学が担う様々な使命の中でも最も重要な使命は、民主的で豊かな社会を築き、担う知性、感性、 見識と創造性にあふれる有為な人々を育てていくことです。 そのためには、 大学において真に民主的な活動を築きあげ、 そして維持していくが絶対条件です。 私たち自身も意識を改革することが必要です。 「大学の運営は、執行部に任せる。 私たちは関係ない。」 といった、私たちの当事者としての意識の欠如は、 「トップダウン」方式をますます助長させます。私たちが当事者として意見を述べ、 声をあげることから、 民主的な大学運営が始まります。現在進められている府大・市大統合計画も含めて、 組合員をはじめとする大学構成員の意見を反映させ、 民主的な大学の構築を進めましょう。
国民的課題
①憲法改悪に反対する
昨年末と先の7月に行われた国政選挙によって誕生した現政権により、 日本は戦後の歴史の中でも大きな岐路に立たされています。安倍首相は憲法改正が自身の歴史的使命と明言し、集団的自衛権の行使や国防軍の設置、 軍法会議の設置など憲法第九条に敵対する言及が頻繁になされるようになっています。 現政権の憲法改正案は、 日本国憲法の柱である国民主権、基本的人権の尊重、 平和主義の精神を大きく歪め、 国家権力が国民の権利を強く縛るものに変質しています。府大教は、この様な現状の理解を広めるとともに、国公立大学の教職員組合や全大教などとの連携を強めながら、 戦前回帰の憲法改悪に戦っていきます。
②国民生活を守る
現政権が推し進めるインフレ政策 「アベノミクス」 によって景気回復が演出され消費税の大幅な増税が進められようとしています。 アベノミクスによってもたらされる円安により、石油をはじめとする輸入品およびそれに伴う様々な物品の価格が上昇しつつあり、 私たちの暮らしはますます苦しくなっています。 さらに、非正規労働者に加えて「限定正社員」の導入も検討され雇用形態の不安定化がますます進むことが危惧されています。 国民の雇用と生活を守るため府大教は様々な労働組合との連携を強めながら戦っていきます。
③震災からの復興
未曾有の被害をもたらした東日本大震災から2年以上の歳月が過ぎましたが、 復興への道のりは果てしないものとなっています。 福島第1原発事故は、 地域の放射能汚染をもたらし多くの人たちの避難が余儀なく されました。 野田政権において終息宣言されたはずの原発事故は、現在も、 メルトダウンした燃料の制御、使用済み燃料の回収、汚染地下水の海洋流出の防止など、その解決に向けて大きな努力が続けられています。その中で、現政権は、国内の原発の再稼働に向けて前のめりな姿勢を示し、 また、 諸外国への原発セールスも積極的に進めています。 地震国日本において原発の安全性が虚構であることやひとたび事故が起こると甚大な被害が生じることが明らかになった今、 国民の中で原発ゼロに向けた大きなうねりが起きています。 府大教は、 東日本大震災からの復興を全力で後押しし、 また、 原発ゼロの実現を目指して、 様々な市民運動等と連携しながら戦っていきます。