大阪府大学教職員組合

 府大教定期大会

2011年度府大教定期大会
2012年度府大教定期大会
2013年度府大教定期大会
2014年度府大教定期大会
2017年度府大教定期大会
2018年度府大教定期大会
2019年度府大教定期大会
2020年度府大教定期大会

大阪府市統合本部
大阪府市新大学構想会議
   で議論されています。

2015年度府大教定期大会

と き 2015年8月27日(木)12:15~
ところ B3棟(教育棟) 1階 117教室
りんくう会場:A-503

大会決議

大阪府立大学とそこに働く私たち教職員は、今、大学の存亡に関わる大きな危機に直面しています。 設立団体の強引な教職員削減によって、業務量は過重になり、大学の教育・研究機能はますます衰退してきています。橋下大阪維新の会が押し進めてきた「大阪都構想」が否決され、府市統合の象徴の一つとして学内討論がないままに進められてきた大学統合は、先行きが不透明になっています。

安倍政権は「不戦を貫く平和国家」から「地球のどこでも戦争できる国」へと日本を変え、憲法を無力化するための法整備を進めています。また、大学教育に介入し、学長権限の強化や目先の国益を求める理系の偏重、軍事関連研究推進など、憲法に保障された「大学の自治」と「学問の自由」を蹂躙し、大学の教育と研究を歪めようとしています。大企業優先の経済政策アベノミクスは、貧富の格差と物価上昇をもたらしただけで私たちの生活は破綻に向かい、非正規雇用を含め私たちの勤務労働条件はますます厳しくなっています。

府大教は、自主自律の精神にあふれる府立大学の将来を切り拓くために、すべての教職員の叡智を結集した民主的な真の大学改革を目指して運動を進めていきます。

府大教は、労働運動の長い歴史の中で労働者自らが勝ち得た団結する権利を尊び、すべての教職員の団結の下、教育研究環境と勤務労働条件の改善に向けて力強く前進していくことを決議します。

「大阪府立大学の民主的な将来を切り拓き、働く条件を改善するために組合加入を!」をスローガンに、共に頑張りましょう。

2015年8月27日

大阪府大学教職員組合2015年度定期大会




目  次

第4号議案 2015年度活動方針

2015年度における活動方針について、大会議案として以下に提案します。

  1. 教職員の勤務労働条件の改善
  2. 大学の民主的改革に関する取り組み
  3. 教育研究環境の充実に関する取り組み
  4. 組織強化
  5. 大学の使命と、国民的課題への取り組み

第4号議案

2015年度活動方針に関する件

戦後70年の今年、平和国家としての日本の歩みが大きく変わろうとしています。第二次安倍政権が発足してからの3年の間に、平和憲法の解釈変更と集団的自衛権の行使容認、秘密保護法、武器輸出3原則見直しを行い、そして今、安全保障関連法案(いわゆる戦争法案)の審議が進められています。この法案が成立すれば、法律上、自衛隊が、地球のどこへでも出向いて他国軍への兵站を行い、他国軍へのミサイル、戦車、砲弾、毒ガス兵器、核兵器の輸送や提供が可能になるといいます。どこの国のことかと目眩がします。このようなことが実行されれば、日本が戦争に巻き込まれ、日本や日本国民がテロの対象とされる危険が増すのは自明です。大多数の国民が反対を表明し、9割以上の憲法学者が憲法違反と指摘するにも関わらず、その大きな意見を聞かずに突き進む政府の姿勢は、独裁国家の様相を呈しています。

このような日本の方向転換は、教育面にも及んでいます。すでに学校教育法などが改正され、大学における教授会の役割が限定化され学長の決定権が強化されています。また、文科省は、教員養成系や人文社会科学系学部・大学院の廃止と国益に直接つながる自然科学系への転換を求め、大学教育へのあからさまな介入がなされています。大学教育の目的を国益と人材育成に特化する現政権の見識には大きな違和感を覚えます。まさに、大学がもっとも大切にすべき「学問の自由」に対する危機と捉えるべきです。

さらに、このような政府の方向性と連動する形で、本年度から、防衛省による公募の「安全保障技術研究推進制度」が始まりました。これは、軍事研究にかかわる競争的資金であり、大学に「軍学共同」を根付かせる危険な制度といえます。70年前の戦争の深い反省に立って軍事目的の研究を否定してきた大学の方向を再び誤まらせる可能性が危惧されます。

風雲急を告げる日本社会の中で、大阪府立大学は、政治によって翻弄されるという意味で国内の大学の中でもその典型と見ることができます。2008年2万パーセント出馬しないと言っておきながら大阪府知事になった橋下徹氏と大阪維新の会による政治的圧力の下で、学内のコンセンサスを得ることなく、理系に特化した大学として組織改変(学域制への移行)が強行されました。そして、わずか2年後には、大阪都構想、府市統合の都合のよいシンボルとして大阪市立大学との統合案が浮上して、またしても大学構成員のコンセンサスなく強引に進められてきました。大学統合を後押しする圧力であった大阪都構想自体は、5月17日に行われた大阪市住民投票によって否決され頓挫しています。

大阪府立大学は、ここ数年の運営交付金の縮減と著しい教職員数の削減によって、教育研究機関としての機能をかつてないほど大きく低下させています。しかし、法人は、大阪都構想が否決された今でも、「統合のスケジュールは影響されるが、統合は進める」との頑なな姿勢を崩していません(6/11理事長会見)。

近年、社会の意思決定のプロセスとして「トップダウン」という言葉が幅を利かせてきました。多様な意見がある中でそれらに耳を傾け、汲み取り議論しながら物事を決めようとする「民主的な」意思決定は、多くの時間が掛かるため、非効率的なプロセスとして軽んじられる風潮がありました。しかし、「トップダウン」は、一度決めた方針を押し通そうとする独善的な暴走に陥る危うさをもっています。

大阪府立大学は、その将来を左右する大きな岐路に立っています。大学統合の行方がますます不透明になる中で、法人は行政の顔色を伺うのではなく、自らの意思で、進むべき道を明らかにし、着実に歩んでいかなければなりません。法人に求められることは、「トップダウン」による独善的な大学運営ではなく、大学機能を担う教職員や学生、同窓生といったステークホルダーの意見を最大限汲み取りながら確かな大学運営を行うことです。また、私たちに求められることは大学執行部からの指令を「トップダウン」として唯々諾々と従うのではなく、私たち自身が大学の将来について真剣に考え、そして、その意見を積極的に発信して、それを大学運営に反映させていくことです。府大教は、組合員の意見を取り込み、大きな声として大学に強く発信しその運営に反映させていきます。私たちの暮らしを守り、勤務労働条件と教育研究環境の改善を目指して、2015年の活動方針について、大会議案書として以下に提案します。

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重点課題と具体的取り組み

Ⅰ 教職員の勤務労働条件の改善



A) 給与、労働条件の改善について

言うまでもなく、10年前の法人化以降私たちは公務員から公立大学法人教職員となり、雇用保険料を負担する身分となりました。これにより本学教職員の勤務労働条件は、労働基準法第1条に「労働条件は、労働者は人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定められた労働条件の原則に則り、第2条の「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」に拠って決定されます。また、労働契約法は第9条で「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」と定め、一方的な勤務労働条件の不利益変更を禁止するとともに、第10条で「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なもの」と勤務労働条件の不利益変更についての厳しい制限を定めています。労働者の保護を図る法の理念は、使用者が、賃金についての不利益変更を行う場合には、「代償措置その他関連する他の労働条件の改善」の措置を取ることを当然の前提としています。

給与については、地方独立行政法人法(地独法)第57条の3は、「法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならない。」と規定しています。すなわち給与の支給の基準は、「法人の財務状況と業務実績」および「社会一般情勢」であると明示し、大阪府が条例で府公務員に対して定める基準を、法人が画一的に法人教職員に適用することを強く戒めています。法人はこれまで給与改定に際して、法人の運営費交付金が大阪府によって措置されていることを理由に「大阪府準拠」を提案し、主要な国、公、私立大学に比べ、私たち教職員の給与は著しく低くなっています。2014年度では人事院勧告により国家公務員の公民較差が指摘され、同様大阪府人事委員会においても公民較差是正の要ありとされた結果、本学においても僅少ではありますが、本給と期末勤勉手当支給率が改善されました。しかし、残念ながら府下の国立大には及びません。また、2015年度からは大阪府の特例減額が無くなった一方で、新たに「国家公務員の総合見直し」として国家公務員の給与の2%削減がなされ、これに府も従った影響で従前と同様の「府準拠」論により、本学職員も影響を受けました。

労働法制の下におかれている独立行政法人である国立大学においては、東日本大震災の復興財源とするという名ばかりの理由で、人事院勧告に拠らず特例法で7.8%も給与切り下げが行われた国家公務員に準じた給与切り下げが進められ、全大教と加盟11単組がそれぞれに不当労働行為による労働委員会への提訴と賃金不払いの裁判闘争を提起していますが、結審したいくつかの裁判では残念ながら原告の主張は認められず組合が控訴しています。府大教は国立大学の教職員組合の闘いと全大教の取り組みに連帯して支援するとともに、裁判闘争の経験と教訓を共有し、大学法人の財政状況、とりわけ運営費交付金の人件費と教職員の給与のあり方がどのように裁判で判断されるかに注視していきます。大学の教職員としての尊厳を回復し、働き甲斐のある職場を目指し、府立大学を発展させるためにも、給与の改善は重要な課題であり、国、公、私立大学の教職員の給与水準について賃金闘争部を中心に調査を進め、法人独自の給与制度の構築に向けて取り組みを継続していきます。

労働法で保障された労使交渉に全組合員の団結で粘り強く取り組み、不利益変更を許さず、大学の崇高な社会的使命に相応しい「法人独自制度」を作らせる闘いを進めましょう。

A1 業務に見合った特殊勤務手当等の導入

これまでの府大教の取り組みの中で、法定職をはじめいくつかの手当が特殊勤務手当として制度化され充実されてきました。一方、社会貢献に関する報奨金は廃止されました。実際に汗をかき大学に貢献している教職員の業務に見合った特殊勤務手当の導入は、勤務労働条件の改善向上、組合員の権利拡大に向けて重要な課題です。残念ながら他大学においては、入試手当など従来手当化されていたものが「本来業務である」という理由で廃止されている例も見受けられます。特殊勤務手当等の新設、導入、維持改善については、今後も他の国公立大学の状況を調査し、教職員の業務の実態に合わせて更なる充実に向けて取り組みを強化していきます。また、学域制導入で膨れあがった「管理職」の手当て支給の妥当性を検証するとともに、分野主任など実際に管理業務にあたる教員に相応の手当てがなされるよう取り組みを進めます。

A2 裁判・労働委員会闘争の研究

府大教は労働組合として法人登記し、「法人格」を取得することにより、府大教が裁判所や労働委員会に提訴するための条件を整備してきました。また、労働審判法は使用者と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルを、そのトラブルの実情に即し迅速、適正かつ実効的に解決することを目的とする労働審判手続を定め、通常の裁判訴訟に比べて手続も容易で、短期間で紛争解決を図る手段として組合員が個人として訴訟する有効な手段です。府大教は、北大、阪大において不当労働行為救済申し立てが地方労働委員会で認められたこと、京大を中心に取り組まれている給与不払いに関する裁判闘争、多くの国立、私立大学の裁判闘争からの教訓に学び、これからも裁判・労働委員会闘争について研究、検討を進めていきます。

A3 勤務時間の短縮について

教職員の勤務時間の短縮を要求してきた府大教の運動の成果として、2010年4月より専任職員への勤務時間の短縮が導入され、2011年4月からは非専任職員(フルタイム契約職員)にも勤務時間の短縮が実施されました。2つの勤務体制(A勤9時~17時30分、B勤9時15分~17時45分)により実施されている勤務時間制は多くの職場で定着してきているものの、短縮の成果が十分に見られないことや授業時間との不一致等によるサービス残業の実態も見られます。各職場の勤務実態を踏まえ、すべての教職員にとって勤務時間の短縮をさらに実効あるものとするために、勤務時間体制の見直しと改善が必要です。組合員の皆さんの声を基に、勤務時間の短縮を実効あるものとするため、粘り強く運動を進めて行きます。

A4 学年歴の見直しと年休取得促進について

近年、講義回数の15回厳格化、ハッピーマンデー制度等による祝祭日の増加によって学年歴は大きく変貌し、前期は8月に入っても講義が続き、後期では公聴会の日程確保もままならないという状況が続き、従来の学年歴では対応に限界が生じていました。昨年度から打診されてきた「祝日の開講」を慎重に検討した結果、2015年度からの一部祝日開講(前期、後期とも各2日程度)を認めました。ただし、祝日を勤務日とすることの影響は大きく、特に育児や介護を抱える教職員にとっては容易に受け入れられるものではありません。ただでさえ代休、年休取得が難しい中、振替勤務日を設定できず、単純に勤務日が増加するといった結果になることも懸念されます。そのような勤務日の変更による不利益が発生しないよう、十分に注視し慎重に交渉を進めます。合わせて、教職員の夏期休暇、年休取得をはじめとする休養日の充実に向け、取り組みを強化していきます。また、講義や期末試験の日程の合間に入試関連や社会貢献の各種業務が差し込まれ、教職員は週末でさえ無理な出勤を強いられています。教職員の年休取得を促進し、健康被害を未然に防ぐ対策について、法人に強く求めていきます。

A5 教職員の人事評価制度について

2006年に大阪府の教職員に人事評価制度が導入され、法人においても府派遣職員をはじめ教員を除く全ての法人職員に「大阪府準拠」の人事評価が行われ、勤勉手当と昇給に評価結果が反映されています。大阪府の人事評価制度はこれまでの府労組連と府職労の闘争の取り組みの中で、多くの問題点が指摘され、いくつか見直しされてきましたが、府派遣職員の法人職員化などにより府派遣職員が大幅に減少している府立大学では、法人独自の職員の「人事評価制度」が必須です。また、府人事委員会は「人事評価は、評価を通して、職員の資質の向上及び公務能率の向上を図ることが目的であり、人事評価制度の運用にあたり、最大限の効果を発揮するための努力を継続されるよう望む」として、すでに破たんしている評価制度を追認する不当なものになっています。民間研究機関の調査でも「企業内の年齢内格差が大きい企業ほど、社員の健康状態が悪いことが確認され、成果主義導入による弊害が生じている」ことが明らかになっています。府大教は、組合員の意見を基に、法人独自の人事制度の構築とともに、人事評価制度の見直しを要求していきます。

教員の業績評価と処遇への反映は、その目的が高等教育機関としての大学の使命と責務に合致し、教員の職務内容を総合的且つ合理的に評価し得る公正で多様な評価であることが求められます。府大教は、2012年度から試行実施された教員業績評価の結果の検証を強く法人に求め、教員業績評価が公正で公平な評価となるよう評価の方法と基準を見直すとともに、不公平な評価制度に基づく処遇への反映を行わないことを一貫して求めて来ました。2014年度に実施された教員業績評価では処遇への反映を許さず、法人は「教員業績評価の結果を斟酌して、報奨金10万を140名に支給」といった奇策を打ちました。今年度の教員業績評価においてどのように処遇への反映を含む制度改善を行うのか、待ったなしの状況です。府大教は、公平性、透明性を担保された、様々な領域・分野で本学を支える教員がやり甲斐を育めるような教員業績評価の整備に向け、あきらめずに取り組みます。

B) 教員の課題

教員削減が人事委員会制度の下で実行される中、教員の勤務労働条件の改善のために2014年度に引き続き取り組む重要な課題は、教員の業務の過重に対する見直しです。授業負担の増加とともに教育研究組織と教員所属組織の分離、再編による指揮命令の混乱の中で、大学改革や評価に係る会議、入試業務、授業の持ちコマ等が増大し、さらに研究費削減の一方で検収制度のような事務手続きや外部資金獲得のために費やされる時間が増えており、教員の「研究時間」の減少が教育研究環境の悪化に拍車をかけています。また、「祝日開講」、オープンキャパスや補講、更には社会貢献による週休日の出勤(週休日の振替)も生じるなど、「研究時間」の確保はますます困難になっています。府立大学が高度研究型大学をめざすうえで、「研究時間」の確保は最も緊要な課題です。専門業務型裁量労働制の適用をはじめ、適正な教育研究環境の確保の問題として、教員の勤務状況を調査し、その実態を明らかにするとともに、問題点を整理し、課題を提起していきます。

B1 裁量労働制試行導入に伴う教員活動支援策の拡充

2008年度から教員に対する裁量労働制が試行導入され、「1週間の勤務時間(38時間45分)のうち、非裁量業務がおおむね半分を超えない」裁量労働制の基準を充たしているかについて多くの疑義が明らかにされてきています。このような疑義を払拭し、法人が取るべき施策として、十分な教員活動支援策をとることを労働協約(確認書)で確認してきました。しかしながら、現行の教員活動支援策は、不十分と言わざるをえません。特に、授業負担、事務処理等の非裁量業務が多くの教員に陰鬱に圧し掛かってきている現状を見るならば、裁量労働制の試行導入の根拠そのものが揺ぎはじめているとみなさざるをえない状況になっています。大幅な教員削減が行われる中、講義負担もさらに過重になるとともに、教員の実労働時間が増加している現状を真摯に認識し、労働時間管理のあり方や「講義持ちコマの標準化」と言うような教員活動支援策の改善が求められています。府大教はこれらに対する取り組みの強化を図ります。

C) 職員の課題

組合活動の原点は、組合員の身近な問題に取り組み「働きがい」のある職場作りです。教員職においては65歳定年制が導入されました。同じ事業所で働き、同じ法人で働く法人職員についても65歳定年制を導入する様、強く法人に申し入れます。

職員みんなが快く働ける労働環境・労働条件の職場こそが、学生・教員ともこの大学に通って・勤めてよかったといえる大学だと考え、大学が持つ使命を果たしていけると考えられます。

より良い労働環境・労働条件を目指し、以下を重点項目として取り組みます。

  1. 年金受給年齢引き上げに伴って、法人職員の定年を65歳に引き上げ
  2. 法人独自の法人職員の昇任・昇格制度の確立
  3. 職員に対しての福利厚生の充実
  4. 大学の将来を見据えた職員の育成、専門知識・専門技術の強化のための研修等の保障、およびその知識・技術継承のための対策
  5. 業務量に応じた適正な職員の配置(時間外勤務の縮減、各職場の業務量の均一化)
  6. より良い労働環境になるよう職場環境の改善

D) りんくうキャンパス

2015年度りんくう執行部は事業場過半数代表として、りんくうキャンパスで勤務する教職員が、安心して日常の業務や教育研究に専念できるよう、労働条件や処遇の改善に努めます。また、りんくう事業場安全衛生委員会とも協力して職場環境の改善に努めます。基本的には府大教の執行方針に従うことはもちろんのこと、中央執行部との連携を強化し、中百舌鳥キャンパスで開催される中央執行委員会や労使協議にも、遠隔中継を利用するなどして、できる限り参加していきます。りんくう独自の労働環境である獣医臨床センター(動物病院)についても、労働条件の改善のために、勤務実態の把握に努め、組合を通じて要求するべきことがないか注視していく所存です。

福利厚生活動については、中百舌鳥キャンパスで行われる活動への参加が難しいことから、りんくうキャンパス単独での企画も検討します。種々の同好会活動が活発ですので、継続とともに新しい活動も支援していきます。


E) 羽曳野キャンパス

羽曳野キャンパス部局では、組合員相互の交流を深め意見交換を行っていきます。組合の必要性や府大教での取り組みを積極的に訴え、非常勤職員を含め、組合員を増やしていきます。羽曳野キャンパスで働く教職員が安心して働ける環境をつくっていきたいと思います。 継続協議となっている空調問題については、教育研究環境を改善させるうえでも重要なことです。問題解決するよう、引き続き集中空調の運転時間の延長と必要な部屋への個別空調の設置の実現に向けて取り組んでいきます。


F) 非常勤職員の課題

府大教は、法人化後、非常勤職員の組織化を行うとともに労働条件の改善に取り組んできました。1年ごとの労働契約で雇用されている非常勤職員の雇用の延長(3年限度→特段の事情のある場合は5年)、給与改善(2014.4から平均2.56%UP)、フルタイム勤務者への時間短縮、健康診断項目の拡大など、少しずつではありますが改善してきました。

2015年7月末現在、府立大学3キャンパスには160名の常勤職員、約750名の非常勤職員が勤務しています。どの職場も非常勤職員なくしては業務の遂行が厳しい状況となっていますが、このことは法人も十分に認めています。5年間の経験を積み、大学業務に精通した非常勤職員が年度末で雇い止めとなり4月に新たな人材を雇用することは、当事者同士の引き継ぎも行われず、常勤職員へ負担を強いることとなり、大学にとっても大きなマイナスといえます。

これまで、非常勤職員の中から社会人採用等で職員となった方や労働契約法の改正に伴い無期雇用となった方などがいますが、現状では、わずかに過ぎません。府大教は改正労働契約法18条(無期労働契約への転換)、19条(雇止め法理)の趣旨に乗っ取って、働きがいのある職場を目指して、雇用の改善に取り組みます。また、改正労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)に照らして非常勤職員の労働条件が常勤職員に比べて不当に切り下げられていないかを検証していきます。更には、他大学の状況なども調査し、非常勤職員の無期雇用化の実現と労働条件の改善を求めていきます。


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Ⅱ 大学の民主的改革に関する取り組み

2013年10月、大阪府、大阪市、大阪府立大学、大阪市立大学の倂

公立大学は、高等教育機関として、また地域住民の教育文化の拠点として、多面的な役割を担っています。一時の流行に流された行政主導の改革は、大学の真の発展を阻害するものです。教育基本法第7条第2項は「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と規定しており、組織改革には、大学の自主性を尊重し、公開された大学内での十分な民主的議論を経ることが不可欠です。大学を単に大阪府・市に役立つ機関とするだけではなく、高等教育機関としての役割を十分に果たし、高度の教育研究や文化を持続発展させることのできる、府民・市民のための大学改革を目指すことが必要です。

府大教は、民主的な大学運営を求め、法人との定期協議、理事折衝、学長会見や部局長会見を通じて、大学統合や改革の問題点を明らかにし、組合員への情報提供に努めてきました。しかし、まだ学内議論は十分とはいえず、府大教には改革のオピニオンリーダーとしての役割を果たすことが求められています。下記の方針の下に、大学統合問題、教育体制、教職員定数や教員所属組織の問題などの課題に取組み、すべての教職員とともに民主的な大学づくりを目指します。

A)「大学改革」に全学教職員の意見を反映させること

2012年4月から新学域体制がスタートし、新旧カリキュラムの並走、基礎教育の全学化、教員の削減等により、人員確保の困難や教員の負担増が顕在化し、2011年度から導入した教員所属組織も全く機能しないなど、問題が山積しています。とりわけ、教育組織と教員の所属組織の分離は、教育の責任体制を曖昧にし、大学教育に不可欠な自治的運営に支障をきたすとともに大学の自治の形骸化をもたらすおそれがあります。

教職員の削減、運営費交付金縮減は大学としての活力の衰退をもたらします。府立大学のさらなる発展のために、教職員定数と運営費交付金を十分に確保することが必要です。また、教職員の削減計画は、雇用問題や勤務労働条件に直結するものであり、府大教は、教職員の勤務労働条件、教育研究条件の改悪に反対し、雇用を守ります。

府大教は、今後の大学統合の動きに注視し、行政主導による改革ではなく、民主的な大学運営の実現のために、学生を含めた全構成員の声を反映した大学運営の実現を求め、大学改革の問題点について情報交換を行い、共通の認識を広めるとともに組合方針に反映します。

B) 理事長・学長の民主的な選考制度の確立

奥野理事長の任期が2015年3月で満了となり、次期理事長を選考するための理事長選考会議が2014年8月4日に開催され、辻新理事長(学長)は理事長選考会議の選考により大阪府知事に申し出し、任命されました。府大教は、学長となる理事長の選考に、意向投票の実施等、大学構成員の意思を公平に反映する民主的な仕組みを作ることを要求してきました。奥野理事長は意向投票について検討すると発言したものの、その制度を変えることはありませんでした。法人化によって理事長に権限が集中したことは、大学の民主的な運営にとって大きな問題となっています。そもそも、これまでの理事長選考会議は、十分な審議や学内での意見聴取も経ないまま、理事長の選考を行ってきました。とりわけ、今年度は、新たに理事長が選考される極めて重要な時期でもあります。

府大教は、新しく選ばれる理事長・学長が全学の構成員の総意としての信頼を得るためには「意向投票」制度が不可欠であり、これからも理事長・学長選考について教職員が積極的に関与し、選考制度に大学構成員の意思を反映する民主的な仕組みを作ることをめざします。また理事長・学長の権限の大きさと責任の重さに鑑み、リコール制度を内規として設けることは不可欠です。速やかに理事長・学長の解任規程を整備し、解任請求投票制度を制定することを法人に要求します。

C) 教育研究会議の尊重

法人化後、それまで大学の組織運営に重要な役割を果たしてきた評議会、教授会の意向が軽視され、理事長、役員会による一方的なトップダウンの大学運営となっています。府大教は、大学運営が教育公務員特例法の精神を承継し、学問の自由と大学の自治に則り、構成員の意思が反映できる仕組みを目指します。

法人化後、評議会の機能を引き継いでいるはずの教育研究会議は、単なる連絡会となっていると言われています。このような状態では、大学が自治されているとは言えません。また、意見集約のボトムアップが機能していない状態は、構成員の諦めと絶望感をますます助長しています。府大教は、教育研究会議を教育研究に関わる重要事項を実質的に審議する機関として機能させる民主的な大学運営の実現を要求します。

D) 大学憲章の制定を目指して

他大学の多くは大学の目的や理念をいろいろな形で明示しています。それらには、「教育の理念」・「研究の理念」・「大学の社会的使命」の3点に加え、「大学の自治・大学運営の理念」が必ずといってよいほど明記されています。しかしながら、本学では「大学運営の理念」が明示されていません。法人に「大阪府立大学憲章準備委員会」が設置されていますが、近年、委員会は開催されていません。府大教は、すべての大学構成員が参加する体制の下で、自律的にこの「運営の理念」を宣言する必要があると考えます。全ての大学構成員の共同をさらに前進させ、「大学運営の理念」を含めた、押しつけではない我々の「大学憲章」の制定を目指します。

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Ⅲ 教育研究環境の充実に関する取り組み


中期計画に沿った人員削減が断行され、深刻な人員不足に陥っています。各職場で教員が定員不足でありながら、定員を超える学生を入学させており、教育の質低下へも懸念が広がります。さらに、新学長からは市大との統合に関する主体的な意見はなく、設立団体と大阪府・市議会の意向に流されるばかりとの不安から将来の見通しも暗い状況です。同時に、非常勤職員の方が雇用期限を迎え、教育研究活動の支えを失う事態となっています。

学生のために、定員を満たす人員雇用を訴えましょう。非常勤職員の方に常勤へと雇用形態を変える制度を確立しましょう。

教職員数の削減問題

図1に法人化前の2004年度を1とした国立大学における教職員数の変化の時系列を示す[1-3]。比較データはすべての国立大学の総教・職員数である。国公立大学の情報は文部科学省の統計データから引用した。府大の教職員は年々減少を続け、2014年度では本学の教員数は0.82、職員数が0.55となっている。図2には公立大学との比較を示す。図1、2より府大の正規職員数(▲)が急激に減少していることがわかる。教員数(■)も減少している。一方,国立大学における教員数(□)はほぼ横ばい、職員数(△)はおよそ1.4倍に増加している。公立大学における教員数は1.2倍、職員数は1.3倍に増加している。わずか10年の間に府大の教職員数が激減し、国公立大学との格差が急激に広がっていることが分かる。

運営交付金、削減の一途

運営費交付金について、図3にまとめた。府大と国立大学全体の交付金について、2004年度を基準として年次推移を示した。府大の2013年度の交付金額がわずかながら増加したが、国立大学への交付金額と比較すると一段と低い水準であることが分かる。

情報ソース:

[1]運営交付金は大阪府の予算編成過程公表サイトより 大阪府トップ予算編成過程公表トップ>大阪府立大学
 運営費交付金
[2]国公立大学の教員数のデータ:e-Stat 政府統計の総合窓口>学校基本調査>年次統計
[3]国公立大学の学生数のデータ:文部科学省トップ>公表資料>統計情報>文部科学統計要覧・文部統計要覧

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Ⅳ 組織強化



A)組織拡大:安定的な過半数組合を目指す組合員拡大の取り組み

2002年には529名の組合員を組織し、十分に過半数組合としての組織力を保持していた府大教は、その後の教員定数25%削減計画の実施、府立3大学統合再編、大学法人化、学部再編学域移行の中で、組合員の退職や異動、新規教職員の組合未加入などにより、組合員数が減少し、2015年8月現在、組合員数は322名になっています。これまで過半数組合を目指して「組合員拡大5カ年計画」に取り組み、毎年4月には法人主催の新規採用者説明会で組合の説明と加入の訴えを行うとともに、組合独自の新規採用者説明会も開催してきました。しかしながら第2期中期計画の教職員削減の中で、組合員の退職や異動などによる組合員数の減少が大きくなっており、府大教は組織的にも財政的にも危機的な状況に直面しています。さらには、組合の情宣活動の停滞から「組合が何をしてるのか判らない」といった声も聞かれ、組合を辞める組合員も出てきています。府大教は大学統合問題をはじめ、教職員の勤務労働条件の不利益な変更を許さず、教育研究環境のより一層の改善に向けての運動を進めていくとともに、この危機的な組織状況を克服するために、情宣活動を強化し、組合員拡大の取り組みを進めていきます。

組合員拡大をめざして

  1. 「自ら大阪府立大学を守り、勤務労働条件の改善のために組合加入を」をスローガンに、教育研究環境と勤務労働条件改善の活動と組織拡大を両輪とした運動を進めます。
  2. 組合員拡大の具体的な取り組みを進めます。
    1. 組織部を中心に職場代表と協力して組合加入対象者を明確にします
    2. 府大教の福利厚生活動への参加を組合加入対象者に呼び掛けるとともに、組織強化・救援基金特別会計を活用して、組合員拡大の企画を行ないます
    3. 組合加入を勧めるパンフレットを作成します
    4. 職場で組合員と協力して未加入教職員に組合加入を勧める集いを催します
    5. 非常勤職員への組合加入を積極的に進めます
B) 情宣活動の強化

2014年12月に府大教書記が1名退職し、組合活動、とりわけ情宣活動が停滞していましたが、2015年7月に新たに書記1名を採用しました。書記2名体制を堅持し、書記長(情宣部長)を中心に情宣活動を強化し、すべての組合員に府大教の活動が判るよう府大教ニュースや書記局ニュースを活用して行きます。

C)府大教の福利厚生活動の充実

各種のサークル・クラブ等の活動を府大教の福利厚生活動の一環として今年度も補助金などの援助をしていきます。また、独自企画や各種の催しの参加費援助など、福利厚生活動のさらなる充実を目指します。2010年度から府大教の要求に基づいて、法人規程で教職員の福利厚生の充実を目的とする「福利厚生協議会」が設置され、組合推薦で2名の組合員が委員となっています。福利厚生協議会では「公立大学法人大阪府立大学福利厚生指針(案)」が議論され、年度ごとに作成されています。教職員の福利厚生の充実に向けて、福利厚生の基本方針が審議され、目標と行動計画が定められます。これに伴い、法人の福利厚生の見直しと福利厚生予算の充実に向けての取り組みを強化していきます。また、今年度10月から実施される教職員向け食堂(生協食堂ミナーレ)については、短い昼休み時間に教職員が昼食を十分に摂れるよう、その利用のあり方について検討していきます。「教職員自己研修室」は教職員の利用が少なく、空調設備が充分でないなどの改善改修も必要となっていることから、「教職員自己研修室」の改修について法人と協議し、福利厚生施設としての充実に向けて取り組んでいきます。これまでの府大教独自の取り組みとともに、「福利厚生協議会」での取り組みも重視して、福利厚生活動の充実を目指します。

D)労働組合としての闘争の戦術研究

公立大学法人の教職員の勤務労働条件は、労働法制に基づいて、労使の交渉によって決しなければなりません。しかしながら、府大教は、高等教育機関である大学の教職員の労働組合であり、高等教育機関である大学の特性に鑑み、労働者の権利に基づく労使の交渉であっても、ストライキの実施や裁判闘争等を行う場合、社会情勢への配慮とともに国立大学法人及び私立大学の状況の検討などが必要です。すなわち、府大教にとって、闘争の戦術研究は重要な課題です。闘争研究部では、労働法に定められた労働基準監督署への改善勧告申し立てや労働委員会への不当労働行為救済申し立て、裁判闘争の手続きなど、勤務労働条件改善のための対法人交渉の方法、戦術について、弁護士との相談も踏まえ、具体的に検討していきます。

E)府大教の組織変更

府大教の組織変更については、2012年度からの学域制移行に伴い旧学部が2016年度からなくなる状況を踏まえ、旧学部を単位とする府大教の職場代表の選出単位について、大阪府大学教職員組合選挙規程に定める「別表1」を、組合員の意見を十分に聞いて2015年度末までに中央委員会において決定する。

F)大阪府大学教職員ユニオンとの関係

大阪女子大学教職員組合は、2008年大阪府大学教職員ユニオンと改称しました。これまで過半数代表者の選出にあたって、大阪府大学教職員ユニオンに推薦人の協力を依頼するなど、いくつかの共闘態勢を取ってきました。とくに、給与改定など就業規則の変更や重要事項については、府大教ニュースを、大阪府大学教職員ユニオン組合員を含む全教職員に配布するなど情報提供に努めています。また、大阪府大学教職員ユニオン役員との定期的な懇談会(2か月に1回)を開催し、交流・意見交換を図ってきました。その中で、将来の組織統合に向けて、協議することに合意するとともに、辻理事長に対する会見の申し入れを両組合連名で行うなど重要な課題について共闘することができました。今後は、中央執行委員会での審議・決定を経て、さらに共闘関係を進めていくとともに、組織統合に向けての協議を進めていきます。

G)大教組、全大教、公大連など労働組合上部団体との関係

大教組(大阪府教職員組合)は大阪府の教職員の連合組織で、府大教は大教連(大阪地区大学教職員組合連絡協議会)を通じて大教組に参加し、大教組が主要な組合の1つである府労組連(大阪府関連労働組合連合会)の一員として府労組連の運動に参加しています。大阪府立大学は設立団体である大阪府から運営費交付金を交付されていることから、教育研究環境・勤務労働条件の改善については法人化前と同様に、対大阪府との協議交渉が重要です。しかしながら、法人化後は要望書や請願署名などを大阪府に提出しているものの、直接大阪府と協議交渉することができなくなっています。府派遣職員の組合員を持ち、運営費交付金削減が教育研究環境と勤務労働条件を著しく悪化させている今日、大教組・府労組連と連帯して直接、大阪府と協議交渉する場の獲得をめざします。

府大教は国立大学を主体とする全国組織である「全国大学高専教職員組合(全大教)」および公立大学の組合を組織する「全国公立大学教職員組合連合会(公大連)」に加盟しています。全大教には首都大学東京をはじめ公立大学の8つの教職員組合が加入していますが、全大教の運動は、国立大学が主体であり、公立大学の問題はどうしても疎かになりがちとなり、全大教の公立大学協議会は永らく開催されておらず、公立大学交流会議が交流と議論の場となっています。しかし、全大教を通じて今後とも文科省や総務省との協議・交渉などを進めて行くためには、全大教の公立大学の交流と議論を深めていくことが必要です。引き続き全大教に対して公立大学協議会の再建を求めていきます。「公大連」は公立大学の35の教職員組合が加入する組織で2006年に協議会から連合会に発展改組しました。公大連は公立大学の協議会(公大協)や文科省・総務省との協議・交渉の接点として期待されますが、ここ数年、公大協との懇談や協議もなく、文科省・総務省との接点もありません。分担金の負担に見合うよう公大連脱退も視野に入れて、「全大教」と「公大連」2つの国公立大学の教職員組合の全国組織への参加とその取り組みについて府大教として再検討することが必要になってきています。


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Ⅴ 大学の使命と、国民的課題への取り組み


戦前、全体主義が進むなか、治安維持法などによって情報が統制され、反戦、反権力的な言論が弾圧された。体制にものを言う大学教授が職を追われ、国民の目と耳は覆われ、口がふさがれ、誤った戦争に誘導されていった(朝日新聞8/16)。今、「平和主義」、「立憲主義」、「国民主権」といった私たちが当たり前のことと思っていることが、多くの犠牲者のうえに国民が獲得した(与えられた)ことを今ほど意識したことはありませんでした。日本の発展と国民の権利を支えてきたこれらの大切な基礎が今危機に瀕しています。

今、安倍政権によって日本の国家体制の改造が進められています。すでに、「特定秘密保護法」が成立し、情報統制の法的基盤ができています。戦後一貫して憲法に違反するとしてきた「集団的自衛権」を、内閣の判断で決定しています。また、防衛装備移転三原則が制定され、武器の輸出入が可能になっています。そして、今、安全保障関連法案(戦争法案)の審議が進められています。この法案が成立すれば米国などの他国軍への兵站が可能になり、他国軍との武力行使の一体化になる危険性が指摘されています。現在、自衛隊の任務としての参画が想定されていますが、さらに、徴兵制(経済的徴兵制も含めて)などへの拡大が危惧されています。

戦前、多くの有為の学生たちの犠牲を守ることができなかった反省に立ち、若者たちの教育と人間形成に関与する大学は、このような危険性の芽を摘み取ることに全力を挙げなくてはなりません。今、戦争法案に対する国民の危機感は高まっています。この法案が憲法に違反していることを強く指摘した憲法学者をはじめ多くの学者たちが安保法制に反対を表明し、また、学生たちは、全国規模で安保法制反対運動を展開しています。府大教は、これらの運動を支援し、また、全大教などと連携しながら、署名活動などを通じて、戦争法案の反対活動を展開します。

すでに、学校教育法が改正され、大学運営の統制が強化されていますが、最近、政権からの大学教育現場への介入があからさまです。たとえば、入学式や卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱が要請されましたが、これは大学自治への介入です。また、文科省は、人文社会系学部や教員養成系学部を廃止し社会的要請の高い分野への転換を要請しました。国益に直接つながる技術革新や産業振興に寄与する自然科学系の研究など「見返り」の大きい分野に力を入れさせ、また、大学の取り組みに応じて運営交付金を配分する文科省の手法は、学問の自由という大学教育の根幹の意識が欠如しているだけでなく、大学教育を産業・経済の手段として捉えるなど、大学教育の捉え方が大きく歪んでいます。さらに、運営交付金というカネの力で大学の主体性を奪い、学長のトップダウンによって大学を統制しようとの意図が透けて見える(朝日新聞6/8)といえます。国力の増強・経済成長が強調され、大学組織もその国策を担うコマとして組み込まれる。そこには、大学が大切に守ってきた「個人の尊重」「学問の自由」の概念はもはやありません。

今、日本社会はどこに向かっているのか、私たちは、これまで以上に敏感になるべきです。府大教は、職場委員を通じて、また、アンケートなどの手段で、すべての組合員の声を聞き、それらの声を運動の強固な基盤にしたいと考えています。ボトムアップの力を結集して、多くの意見を汲み取り、法人、地域社会、日本に対して発信していくことにより、健全な大学の発展と社会への貢献を目指して、その使命を果たしていきます。

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