大阪府大学教職員組合

 府大教定期大会

2011年度府大教定期大会
2012年度府大教定期大会
2013年度府大教定期大会
2014年度府大教定期大会
2015年度府大教定期大会
2017年度府大教定期大会
2018年度府大教定期大会
2020年度府大教定期大会

大阪府市統合本部
大阪府市新大学構想会議
   で議論されています。

2019年度府大教定期大会

と き 2019年8月29日(木)12:15~
ところ B3棟(教育棟) 1階 118教室
りんくう会場:第 2 講義室

大会決議

2019年4月に大阪府立大学と大阪市立大学の法人統合が行われ、公立大学法人大阪となりました。しかし、新法人は、教職員の給与表はおろか、就業規則の届出もできておらず、両大学では旧法人の就業規則を適用して教職員の給与支払いなどを行っている状況です。府大と市大での勤務労働条件の不均衡は、地域手当の支給割合が府大が11%、市大が16%であることや各種手当制度、昇給ペースの違いなど、大学間で格差があります。

府大教は、新法人における教職員の給与の大学間格差の是正を一貫して新法人に要求して来ました。新法人は当初、システムが移行する3年後に市大の地域手当を11%に引き下げ、給与規定を統一すると提案していましたが、7月に市大労働組合に対して、承継教員(旧市大教員)については、退職まで旧法人の給与規定を適用することを提案していたことが明らかになりました。この新法人の提案は従来の説明を覆すものであり、また、提案の重要な変更を府大側に一切伝えないという極めて不誠実な態度を取っています。このような憫然たる状況を招き、教職員の勤務労働条件を蔑ろにする新法人に強く抗議します。

2022年4月とされている大学統合については、新大学の将来像を結ぶための学内議論は全く進んでおらず、あらゆる部署でまさに暗中模索の中、無理に統合を進めているといった状況です。府大教はキャンパス整備なども決まっていない見通しのない拙速な大学統合に断固反対し、教職員の勤務労働条件の不利益な変更を許さず、教育研究環境の保全を求め、初心に立ち返って全大学人による真摯な議論を重ねていくことを強く要求します。

府大教は、労働運動の長い歴史の中で労働者自らが勝ち得た団結する権利を尊び、すべての教職員の団結の下、勤務労働条件と教育研究環境の改善に向けて力強く前進していくことを決議します。

「大阪府立大学の民主的な将来を切り拓き,働く条件を改善するために組合加入を!」をスローガンに、共に頑張りましょう。

2019年8月29日

大阪府大学教職員組合2019年度定期大会




目  次

第4号議案 2019年度活動方針

重点課題と具体的取り組み

  1. 教職員の勤務労働条件の改善
  2. 大学の民主的改革に関する取り組み
  3. 教育研究環境の充実に関する取り組み
  4. 組織強化
  5. 大学の使命と、国民的課題への取り組み

第4号議案

2019年度活動方針に関する件

労働組合は労働者が団結して、賃金や労働時間などの労働条件の改善を図るためにつくる団体です。 労働者が団結し、使用者と団体交渉を行い、ストライキ等の団体行動をする権利は、憲法第28条で保障された基本的な権利です。 また、この基本的な権利を具体化するために制定された労働組合法は、労働組合に対し、 使用者との間で「労働協約」を締結する権能を認めるとともに、 使用者が労働組合及び労働組合員に対して不利益な取扱いをすることを「不当労働行為」として禁止しています。 【文献1】 厚生労働省HP

一方で、図1に示すように、日本の労働組合組織率は減少の一途で、毎年、過去最低を更新しています。 内訳を見るとパート労働者の組織率は増加していますが、正社員の減少に相殺され全体の増加には至っていません。 【文献2】Lightworks BLOG

府大教の組合員数も、図2に示す様に年々減少しながら推移しています。また、非常勤の組合員数も、日本全体の統計と異なり減少しています。  今後についてはどうでしょうか。簡単なシミュレーションを行いました。過去5年間の新任教職員数、新規加入した組合員数、 定年退職した組合員数について平均値を取り、今後5年間、それぞれが平均値を取る場合の組合員数の推移を図3に示します。 同図から、2024年に216名まで減少します。仮に、新任教職員の半数が加入した場合は、同図から、2024年に271名まで増加します。 では、新任教職員の多くが府大教に加入したいと思えるように、組合はどのような活動を行えば良いのでしょうか。 もちろん、余剰金を活用した新任教職員への組合費の一定期間の無償化など、いわゆる営業努力は必要と考えますが、 冒頭に書いた労働組合の定義のように、今一度、府大教の本質的な価値、存在意義について、執行部を中心に見つめ直し、 それを分かりやすく説明することが必要であると考えます。

本年度は、上記の府大教の本質的な価値、存在意義を高めることを念頭に、活動方針について以下の様に提案します。


 図1 労働組合の推定組織率の推移

 図2 府大教の組合員数の推移

 図3 府大教の組合員数の予測


重点課題と具体的取り組み

Ⅰ 教職員の勤務労働条件の改善



A) 給与、労働条件の改善について

 教職員の勤務労働条件は、労働基準法第1条に「労働条件は、労働者は人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定められた労働条件の原則に則り、労働基準法第2条の「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」に拠って決定されるべきものです。また、労働契約法第9条で「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」と定め、一方的な勤務労働条件の不利益変更を禁止するとともに、第10条で「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なもの」と勤務労働条件の不利益変更についての厳しい制限を定めています。労働者の保護を図る法の理念は、使用者が賃金についての不利益変更を行う場合には、「代償措置その他関連する他の労働条件の改善」の措置を取ることを当然の前提としています。

 給与等については、地方独立行政法人法(地独法)第57条の3は、「法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならない。」と規定し、給与の支給の基準は、「法人の財務状況と業務実績」および「社会一般情勢」と明示し、大阪府が条例で府公務員に対して定める基準を、法人が画一的に法人教職員に適用することを強く戒めています。しかしながら、法人はこれまで給与改定に際して、法人の運営費交付金が大阪府によって措置されていることを理由に「大阪府準拠」を提案し、主要な国公私立大学に比べても、私たち教職員の給与は低くなっています。

2018年度人事院勧告により国家公務員の公民較差655円(0.16%)およびボーナスを引上げ(0.05月分)が勧告されましたが、2018年度大阪府人事委員会はボーナスは引上げ(0.05月分)としましたが、府公務員の公民較差を▲1,914円(-0.50%)とし、初任給と若年層に配慮したものの、一律0.6%引下げを基本とするマイナス改定を勧告しました。

退職手当については、2017年に人事院が退職一時金と企業年金(使用者拠出分)を合わせた退職給付額での官民比較(民間 24,596千円 公務 25,377千円)を行い、退職給付水準について781千円(3.08%)の見直しを勧告し、政府は地方自治体に対して退職給付水準の見直しを要請しました。大阪府も追随し退職手当条例を改定し、大阪府立大学も2018年度退職者から退職手当が切り下げられています。

大阪府人事委員会勧告も人事院勧告も「社会一般情勢」を示す根拠のひとつですが、大学の教職員という職種においては、他の国公私立大学との比較が最も重要です。近年、期末勤勉手当支給率は改善されてきていますが、残念ながら給与水準は主要な国公私立大学には及びません。「大阪府準拠」に対しては、これまでも代償措置を勝ち取っては来ていますが、新法人となった今年度からは、国人勧と大阪府、大阪市の人事委員会勧告を踏まえた複雑な交渉が見込まれます。以前にも増して、地道に給与水準そのものを引き上げていく運動を強く進めて行くことが重要です。

労働法で保障された労使交渉に全組合員の団結で粘り強く取り組み、不利益変更を許さず、大学の崇高な社会的使命に相応しい給与制度を作らせる闘いを進めましょう。



法人統合に向けての勤務労働条件の改善の取り組み

2019年3月末に公立大学法人大阪府立大学と公立大学法人大阪市立大学が廃止(新設合併消滅法人)され、統合により2019年4月に公立大学法人大阪が新たに設立(新設合併設立法人)されました。地独法第112条により新設合併消滅法人である公立大学法人大阪府立大学の権利および義務の全部は新設合併設立法人である公立大学法人大阪に承継されています。直営時代からの府大教の永きに渡る勤務労働条件と教育研究環境の改善の取り組みの成果や公立大学法人大阪府立大学の設立法人化以降、労働法制の下での組合運動で勝ち取ってきた勤務労働条件は、組合員(教職員)の雇用関係の承継とともに、新設合併設立法人である公立大学法人大阪に当然、承継されるべきものです。

 府大教は公立大学法人大阪の勤務労働条件の承継については、

  1. 勤務労働条件の一切の不利益変更は認めない。
  2. 「労使関係の基本に関する労働協約」および付属協約に基づいて協議交渉を進め、就業規則の届け出義務違反に当たる就業規則および諸規程の不備については、勤務労働条件の改善を目指して、早急に不利益変更のない就業規則を整備することを求める。
  3. 法に定められた労使協定および「労働組合費の控除に関する協約」など組合運動に必要不可欠な労働協約について新法人と協議交渉し、早急に締結することを求める。
  4. 大阪市立大学に勤務する教職員の勤務労働条件と均衡をはかることを求めるとともに、特に、地域手当を含む給与水準の格差の是正を強く求める。 を当面の方針として闘いを進めて行きます。  残念ながら労使協議不調が続いていますが、雇用条件の切り下げの阻止と両大学間での格差是正に向け、今後も大阪府大学教職員ユニオン、大阪市立大学教職員労働組合との連携を強化し、取り組みを進めていきます。
A1 業務に見合った特殊勤務手当等の導入

これまでの府大教の取り組みの中で、法定職をはじめいくつかの手当が特殊勤務手当として制度化され充実されてきました。一方、社会貢献に関する報奨金は廃止されました。実際に汗をかき大学に貢献している教職員の業務に見合った特殊勤務手当の導入は、勤務労働条件の改善向上、組合員の権利拡大に向けて重要な課題です。特殊勤務手当等の新設、導入、維持改善については、今後も他の国公立大学の状況を調査し、教職員の業務の実態に合わせて更なる充実に向けて取り組みを強化して行きます。また、不必要に膨れあがった「管理職」の手当支給の妥当性を検証するとともに、実際に種々の管理業務や大学の統合に関する準備業務等、負担の増加が著しい教員に相応の手当が支給されるよう取り組みを進めるとともに、新法人における給与規定の制定に関する協議においては、大阪市立大学と均衡をはかるなど不利益が無いよう検証していきます。

A2 裁判・労働委員会闘争の研究

府大教は労働組合として法人登記し、「法人格」を取得することにより、府大教が裁判所や労働委員会に提訴するための条件を整備してきました。府大教は、北大、阪大において不当労働行為救済申し立てが地方労働委員会で認められたこと、京大を中心に取り組まれている給与不払いに関する裁判闘争や多くの国立、私立大学の裁判闘争からの教訓に学び、滋賀県立大学や島根大学など、労基署から是正勧告が出された事例等を踏まえ、これからも裁判・労働委員会闘争について研究、検討を進め、府大教が労働組合として裁判闘争など勤務労働条件の改善に向けての運動を力強く推し進めて行けるよう研究していきます。

A3 勤務時間の短縮について

教職員の勤務時間の短縮を要求してきた府大教の運動の成果として、2010年4月より専任職員への勤務時間の短縮が導入され、2011年4月からは非専任職員(フルタイム契約職員)にも勤務時間の短縮が実施されました。2つの勤務体制(A勤9時~17時30分、B勤9時15分~17時45分)により実施されて来た勤務時間制は多くの職場で短縮の成果が十分に見られないことや授業時間との不整合により各職場の勤務実態を踏まえ、勤務時間の短縮をさらに実効あるものとするために、2017年度に勤務時間体制の見直しを法人と協議し、6つの勤務体制(A勤9時~17時30分、B勤9時15分~17時45分、C勤8時30分~17時、D勤8時45分~17時15分、E勤9時30分~18時、F勤9時45分~18時15分)に変更しましたが、教職員の勤務時間の短縮には結びつかず、教職員の増員を含む新たな見直しが必要となってきています。市立大学との統合により、勤務形態はさらに多様化するおそれもあります。府大教は教職員の勤務時間の短縮について、教員の専門業務型裁量労働制の見なし労働時間の問題も含め、教職員の働き方を具体的に検証していきます。

A4 学年歴の見直しと年休取得促進について

講義回数の15回厳格化、ハッピーマンデー制度等による祝祭日の増加によって学年歴は大きく変貌し、2015年度から祝日開講(前期、後期とも各2日程度)を導入ました。しかしながら、祝日を勤務日とすることの影響は大きく、特に育児や介護を抱える教職員にとっては容易に受け入れられるものではありません。ただでさえ代休、年休取得が難しい中、振替休日の設定は容易ではなく、服務管理者からの指示で振替休日を指定しても休めず、出勤日が増加するといった結果になることが懸念されます。そのような勤務日の変更による不利益が発生しないよう、十分に注視し改善に向けた交渉を進めます。また、年あたり5日以上の年休取得の義務化(継承教職員は来年から適用)に合わせて、教職員の夏期休暇、年休取得をはじめとする休養日の充実に向け、取り組みを強化していきます。また、入試関連や社会貢献の各種業務が増加する中で、教職員は週末でさえ無理な出勤を強いられています。教職員の健康被害を未然に防ぐ対策についても継続して法人に強く求めていきます。

A5 教職員の人事評価制度について

2006年に大阪府の教職員に人事評価制度が導入され、法人においても府派遣職員をはじめ教員を除く全ての法人常勤職員に嘗ての「大阪府準拠」の人事評価が行われ、勤勉手当に評価結果が反映される仕組みとなっています。大阪府の人事評価制度はこれまでの府労組連と府職労の闘争の取り組みの中で多くの問題点が指摘され、いくつか見直しされてきましたが、府立大学では殆んど見直されず、チャレンジシートによる画一的な成果主義評価が行われて来ました。新法人となった初年度は昨年度の評価を実施するため、府立大学においては昨年と同じ評価制度ですが、来年度からは新法人の就業規則の下、両大学および法人本部に於いて、公平な評価制度が実施されなければなりません。職員の評価制度においても大学間で格差の無い公正公平な評価がなされるよう、関連規定の整備に向けて取り組みを進めていきます。
 教員の業績評価と処遇への反映は、その目的が高等教育機関としての大学の使命と責務に合致し、教員の職務内容を総合的且つ合理的に評価し得る公正で多様な評価であることが求められます。府大教は、2012年度から試行実施された教員業績評価の結果の検証を強く法人に求め、教員業績評価が公正で公平な評価となるよう評価の方法と基準を見直すとともに、不公平な評価制度に基づく処遇への反映を行わないことを一貫して求めて来ました。2015年度に実施された教員業績評価についての交渉では、就業規則に基づかない教員業績評価は違法であり、試行実施であることを確認するとともに、評価の方法に「目標管理」を導入することや「素点」による総合評価の見直しを協議しましたが、法人は処遇への反映について、「教員業績評価の結果を斟酌して、報奨金10万円を支給」を譲りませんでした。2016年度の交渉では、法人での教員業績評価の方法と基準の見直しが進んでいないことから、就業規則に基づかない教員業績評価の実施は試行であっても違法であることを強く意見し、法人は理事長の下に教員業績評価検討のタスクフォースを設置しました。また、新しく就業規則第11条勤務評定)に関する「勤務評定制度協議会」を法人に設けることに合意し、法人と組合(府大ユニオンを含む)それぞれ4名ずつの委員で、教員業績評価を含め勤務評定制度について協議することになりました。しかしながら、2017年度の「勤務評定制度協議会」の議論は法人が理事長の命により協議会を設置したにも関わらず、無責任にも議論の進展が見られず、「目標管理」の導入などの見直しもないままに、協議会はその責務を果たすこと無く破綻し、2017年度末に教員業績評価の処遇への反映とする報奨金を府大教と十分協議することなく支給しました。これはそれまでの労使の協議の結果を踏みにじる不当労働行為であり、法人の無謀な振る舞いに対し、直ちに「教員の業績評価及び職員の人事評価関連規定の届け出に係る不当労働行為に対する抗議文」により抗議しました。2018年度末に法人が労使協議を無視して府大教およびなかもず事業場過半数代表者への事前通告無しに教員業績評価規定を堺労働基準監督署に届出たため、本件の不当労働行為に強く反対した結果、2019年3月の役員会で「教員業績評価」制度の廃止が決定され、長年の懸案が解消されました。
 府大教は、新法人の下で、公平性、透明性が担保された、様々な領域・分野で本学を支える教員がやり甲斐を育めるような教員業績評価の整備に向けて、粘り強く法人と交渉協議していきます。

教員の業績評価と処遇への反映は、その目的が高等教育機関としての大学の使命と責務に合致し、教員の職務内容を総合的且つ合理的に評価し得る公正で多様な評価であることが求められます。府大教は、2012年度から試行実施された教員業績評価の結果の検証を強く法人に求め、教員業績評価が公正で公平な評価となるよう評価の方法と基準を見直すとともに、不公平な評価制度に基づく処遇への反映を行わないことを一貫して求めて来ました。2015年度に実施された教員業績評価についての交渉では、就業規則に基づかない教員業績評価は違法であり、試行実施であることを確認するとともに、評価の方法に「目標管理」を導入することや「素点」による総合評価の見直しを協議しましたが、法人は処遇への反映について、「教員業績評価の結果を斟酌して、報奨金10万円を支給」を譲りませんでした。2016年度の交渉では、法人での教員業績評価の方法と基準の見直しが進んでいないことから、就業規則に基づかない教員業績評価の実施は試行であっても違法であることを強く意見し、法人は理事長の下に教員業績評価検討のタスクフォースを設置しました。また、新しく就業規則第11条勤務評定)に関する「勤務評定制度協議会」を法人に設けることに合意し、法人と組合(府大ユニオンを含む)それぞれ4名ずつの委員で、教員業績評価を含め勤務評定制度について協議することになりました。しかしながら、2017年度の「勤務評定制度協議会」の議論は法人が理事長の命により協議会を設置したにも関わらず、無責任にも議論の進展が見られず、「目標管理」の導入などの見直しもないままに、協議会はその責務を果たすこと無く破綻しました。更には、2017年度末に教員業績評価の処遇への反映とする報奨金を府大教と十分協議することなく支給しました。

府大教は、公平性、透明性が担保された、様々な領域・分野で本学を支える教員がやり甲斐を育めるような教員業績評価の整備に向けて取り組みを進めるため、教員業績評価実施規程の就業規則届け出義務違反と報奨金の給与規定違反について、労働基準監督署に顧問弁護士を通じて申告し、2018年7月に労働基準監督署はこれらの労働基準法違反について是正勧告を法人に出しました。法人は2018年9月末までに是正するよう求められていますが、府大教はこれまでの経緯を踏まえ、2018年度の教員業績評価の実施中止も視野に入れて、法人と交渉協議していきます。

B) 教員の課題

教員の課題として取り組むべき重要な課題は、教員の業務負担の超過に対する見直しです。第2期中期計画での教職員の削減は終結し、第3期中期計画期間の2017年度は常勤教員646人、常勤職員164人、2018年度は常勤教員640人、常勤職員172人、2019年度は常勤教員642人、常勤職員178人となっています。人事委員会制度の下で十分な補充人事も進んでおらず、新大学への統合まで現員人数維持とされています。このままでは第2期中期計画での教員削減にともなう授業負担の著しい増加は改善されず、大学統合の関する会議や作業、教育研究組織と教員所属組織の分離再編、組織改革や評価に係る会議、入試業務、社会貢献等が増大し、さらに研究費は削減され外部資金獲得のための書類作成や各種事務手続きに費やされる時間が増えるだけでで、教員の「研究時間」の減少は教育研究環境の悪化に拍車をかけています。また、「祝日開講」、オープンキャパスや補講など週休日の出勤と週休日の振替、大学統合後のキャンパス間移動など、「研究時間」の確保はますます困難になっています。府立大学が高度研究型大学と名乗るうえで、「研究時間」の確保は最も緊要な課題です。専門業務型裁量労働制の適用をはじめ、適正な教育研究環境の改善確保の問題として、教員の勤務状況を適正に調査し、その実態を明らかにするとともに、問題点を整理し、課題を提起していきます。

B1 教員活動支援策の拡充

2008年度から教員に対する裁量労働制が試行導入され、「1週間の勤務時間(38時間45分)のうち、非裁量業務がおおむね半分を超えない」裁量労働制の基準を充たしているかについて多くの疑義が明らかにされてきています。このような疑義を払拭し、法人が取るべき施策として、十分な教員活動支援策をとることを労働協約(確認書)で確認してきました。しかしながら、現行の教員活動支援策は、不十分と言わざるを得ません。特に、授業負担、事務処理等の非裁量業務が多くの教員に陰鬱に圧し掛かってきている現状を見るならば、裁量労働制の導入の根拠そのものが揺ぎはじめていると見なさざるをえない状況になっています。現状のように大幅な教員削減が行われた結果、講義を含む非裁量業務負担の過重による教員の実労働時間が増加している現状を直視し、労働時間管理のあり方や「講義持ちコマの標準化」など教員活動支援策の早急な改善が求められています。府大教は教員の負担軽減の具体的な取り組みの強化を図ります。

B2 教員勤務実態に即したみなし労働時間の見直し

教員の実労働時間が増加の実態を、新たに導入された出退勤管理表と「勤務状況及び健康状態に関する報告書」で報告されている労働時間とを分析し、週休日を含め教員の勤務実態を引き続き検証するとともに、現行の「1日につき7時間45分」のみなし労働時間を実態に即した時間へと見直しを法人に求めていきます。

C) 職員の課題

年金法が改訂され年金支給開始年齢が65才に引き上げられたことにより(1)定年の引き上げ、(2)継続雇用制度(現に雇用されている労働者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度)、(3)定年の定めの廃止の何れかの措置を講じることが、法律(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)により事業者に対して義務付けられました。結果、本法人では、教員に於いては選択定年制を導入しました。一方、職員に関しては60才定年後上記の再雇用制度を導入し希望者は65才まで雇用されることになりました。

選択定年制により教員は63才以降、65才までの賃金は2割カットに対し、職員は60才定年以降、賃金は約4割カットでの雇用となっています。同じ法人で勤務する教員と職員との格差が大きな課題であり是正の必要があります。この問題解決のためには以下の2つの課題が考えられます。ひとつは、教員に於いては63才以降、職員については60才以降の賃金カットの撤回。もうひとつは、教員、職員の定年年齢を共に65才にするということです。

次に勤務労働条件の改善として、業務量に応じた職員の適正配置が大きな問題となっています。人員削減により一人あたりの業務量が増大し時間外勤務が定常化している職場が多くみられます。業務量に応じた適正な人員配置を要求します。


D) りんくうキャンパス

2019年度りんくう執行部は過半数代表とともに、以下の点について活動してまいります。

  1. 教職員の勤務労働条件の改善
    りんくうキャンパスで勤務する教職員が、健康的、且つ安心して日常の業務や教育研究に専念できるよう、労働条件や処遇の改善に努めます。また、りんくう事業場安全衛生委員会とも協力して職場環境の改善に努めます。りんくう独自の労働環境である獣医臨床センターについては、勤務実態の把握に努め、労働条件の改善のために過半数代表者を通じて要求するべきことがないか注視していく所存です。
  2. 中央執行部との連携強化
    中央執行部との連携を強化し、中百舌鳥キャンパスで開催される組合大会、中央委員会、さらには中央執行委員会や労使協議にも、遠隔中継を利用するなどして、できる限り参加し、情報共有と意見交換に努めてまいります。
  3. 福利厚生活動の活性化
    福利厚生活動については、中百舌鳥キャンパスで行われる活動への参加が難しいことから、りんくうキャンパス独自の企画を検討するとともに、既存の同好会活動の継続、新規同好会設立の支援を行ってまいります。

E) 羽曳野キャンパス

羽曳野キャンパスでは、組合員相互の交流を深めていきます。組合の必要性や府大教での取り組みを積極的に訴え、非常勤職員を含め、組合員を増やしていきます。羽曳野キャンパスで働く教職員が安心して働ける労働環境の実現を目指していきます。

継続協議となっている空調問題については、教育研究環境を改善させるうえでも重要なことです。時間延長は実現しましたが、引き続き必要な部屋への個別空調の設置の実現に向けて取り組んでいきます。また、羽曳野キャンパス内に保育所を整備することを要求していきます。


F) 非常勤職員の課題

本法人で働く職員の約7割が非常勤職員として雇用されています。どの職場も非常勤職員なくしては業務の遂行が厳しい状況であり、この現状は法人も十分認識しています。全国の国立大学の多くが法令を順守し非常勤職員の5年雇止め廃止(無期雇用)の方向に向かう中、本法人ではいまなお5年雇止めを行っています。継続雇用を希望する非常勤職員に対し、現状5年を経過した非常勤職員の内の約3割に対し雇用を継続(無期化)し、残りの7割の非常勤職員に対しては雇止めを行っているのが現状です。継続雇用を希望する非常勤職員の雇用の無期化を重点課題として取り組みます。また、政府方針で同一労働同一賃金が打ち出されました。本法人においてどのようにこの方針を実現して行くか検討する必要があります。


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Ⅱ 大学の民主的改革に関する取り組み

大阪府立大学、大阪市立大学の統合については、2019年4月1日に公立大学法人大阪が設立されましたが、そこでの勤務労働条件を定めた就業規則はいまだに成案が決定されていません。就業規則は労働者と雇用者間の労働条件の取り決めの基本となるものです。労働基準法では雇用者である法人に作成義務が課せられており、労働基準監督署長への届出義務(89条)、過半数代表者の意見を聴取する義務(90条)、法所定の方法での周知義務(106条)があります。


本来であれば、統合前の早い段階で旧2大学の就業規則をもとに調整して大学と組合で協議を行うべきところでしたが、組合からの再三の申し出にもかかわらず、昨年度中には協議対象となるべき原案すら定まらず、当然ながら教職員に対する正式な就業規則の周知のための説明が行われないまま4月の発足を迎えました。その結果、旧大学の教職員も新規採用の教職員も新法人の就業規則がない中で業務を行うという事態を招いています。

今回のような新法人設立での合併では、現に存在する消滅法人のすべての権利義務は新法人に包括的に承継されます(会社法750条1 項、756条1項等)。法人には引き継いだ以前の労働者との契約の承継義務があるため、教職員は実質的にはそれぞれの旧の就業規則の下で勤務している状態です。その結果、勤務労働条件に格差が生じています。例えば賃金について、大阪市立大学では給与に掛ける地域手当の率が16%、大阪府立大学では11%で大きな差が生じています。現在、府大教ではようやく出された就業規則(関連する規定も含めた就業規則全体)の原案を受けて法人との協議を繰り返しています。

拙速な法人設立と準備不足により、労使双方の合意の下で勤務労働条件を確立していく民主的な手続きが放置され、4月以降、就業規則の合意の間に合わないまま法人の管理運営を行わざるを得なくなっていることは、組織の活力と効率を失わせ、法人にとっても教職員にとっても大きな損失となっています。また、国内最大の公立大学法人となったにもかかわらず当然行っていくべき最低限の法的整備ができていないことは、教職員だけではなく大阪府民、市民からの期待を裏切ることで法人としての評価を自ら下げているといえます。

公立大学は、高等教育機関として、また地域住民の教育文化の拠点として、多面的な役割を担っています。その時代の流行に流された改革、とりわけ短期的な行政ニーズへの対応が主眼である地方自治体主導の改革は、長期的な人材育成と知の形成・深化を目指す大学の発展を阻害するものです。教育基本法第7条第2項は「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と規定しており、組織改革には、大学の自主性を尊重し、公開された大学内での十分な民主的議論を経ることが不可欠です。大学を単に大阪府・市に役立つ機関とするだけではなく、高等教育機関としての役割を十分に果たし、高度の教育研究や文化を持続的に発展させることのできる、府民・市民のための大学改革を目指すことが必要です。

府大教は、民主的な大学運営を求め、法人との定期協議、理事折衝、学長会見や部局長会見を通じて、大学統合や改革の問題点を明らかにし、組合員への情報提供に努めてきました。しかし、新法人設立後は、大学執行部との協議が中心で法人との協議体制を十分に作ることには至っていません。府大教には法人全体の改革のオピニオンリーダーとしての役割を果たすことが求められています。下記の方針の下に、大学統合問題、教育体制、教職員定数や教員所属組織の問題などの課題に取組み、すべての教職員とともに民主的な大学づくりを目指します。

A)「大学改革」に全学教職員の意見を反映させること

大阪府立大学では教員の削減等により人員確保の困難や教員の負担増が顕在化し、2016年度末に削減計画は終了したものの、その後も退職者補充以外の人員の確保は遅々として進まず負担の軽減にはつながっていません。学域・学類と研究科中心の教員所属組織とのずれはいたずらに会議や役職・委員を増やして管理体制の混乱を招き、教育や組織運営の責任を曖昧にし、大学教育に不可欠な自治的運営や組織の問題解決に支障をきたしています。それだけではなく、負担増による勤務労働条件の低下、教育研究条件の低下を招いています。

職員についても統合関連も含めた業務量の急増により、長時間の残業を強いられています。また、多くの有期契約の非正規職員で業務の増加をカバーしているにもかかわらず、雇用に関してその意見を反映させず、一部を試験を経て無期雇用契約に転換したのみで、職場を支えてきた多くを契約期間満了で解雇しました。無期雇用への転換を促した改正労働契約法の趣旨は、長期雇用されている有期契約労働者を無期雇用に転換することで雇い止めの不安をなくし、労働者が長期的なキャリアアップを行えるようにすることです。府民に対して大きな責任と義務を負っている法人が、時代の要請を無視して多くを雇い止めにしたことに対しては、現場の職員からも驚きと失望の声が上がっています。

大阪府立大学のさらなる発展のためには、教職員定数と運営費交付金を十分に確保すること、大学を支えている現職員の雇用を守りその能力を活用することが必要です。府大教は教職員の勤務労働条件、教育研究条件の改悪に反対し雇用を守ります。また、今後の大学統合の動きに注視し、行政主導による改革ではなく民主的な大学運営の実現のために、学生を含めた全構成員の声を反映した大学運営の実現を求め、大学改革の問題点について情報交換を行い、共通の認識を広めるとともに、これを組合方針に反映します。

B) 理事長・学長の民主的な選考制度の確立

府大教はこれまで一貫して、理事長・学長の選考に、意向投票の実施等、大学構成員の意思を公平に反映する民主的な仕組みを作ることを要求してきました。これまでの理事長は意向投票について検討すると発言したことはあっても、その制度を変えることはありませんでした。法人化によって理事長に権限が集中し、しかも理事長選考会議が十分な審議や学内での意見聴取も経ないまま理事長の選考を行ってきたことは、大学の民主的な運営にとって大きな問題となっています。

府大教は、理事長・学長が全学の構成員の総意としての信頼を得るためには「意向投票」制度が不可欠であり、これからも理事長・学長選考について教職員が積極的に関与し、選考制度に大学構成員の意思を反映する民主的な仕組みを作ることをめざします。また理事長・学長の権限の大きさと責任の重さに鑑み、リコール制度を内規として設けることは不可欠です。速やかに理事長・学長の解任規程を整備し、解任請求投票制度を制定することを法人に要求します。

C) 教育研究会議の尊重

法人化後の大学では教授会の意向が軽視され、理事長、役員会によるトップダウンの大学運営となっており、しかもその運営状況が構成員によって評価される仕組みもありません。府大教は大学運営が教育公務員特例法の精神を承継し、学問の自由と大学の自治に則り、構成員の意思と構成員によるチェック機能が反映できる仕組みを目指します。

法人化後、評議会の機能を引き継いでいるはずの教育研究会議は、単なる連絡会となっていると言われています。このような状態では、大学が自治されているとは言えません。また、一般的な組織では当然あるべき、管理職を通さずに構成員の意見を独立して調査する活動もないなど、意見集約のボトムアップが機能していない状態は、構成員の組織への一体感と意欲を失わせ、諦めと絶望感をますます助長しています。府大教は、教育研究会議を教育研究に関わる重要事項を実質的に審議し、運営状況をチェックする機関として機能させる民主的な大学運営の実現を要求します。

D) 大学憲章の制定を目指して

他大学の多くは大学の目的や理念をいろいろな形で明示しています。それらには、「教育の理念」・「研究の理念」・「大学の社会的使命」の3点に加え、「大学の自治・大学運営の理念」が必ずといってよいほど明記されています。しかしながら、本学には大学憲章がなく、理念を定めた「大阪府立大学の理念」の中にも「大学運営の理念」が示されていません。組織をどのような考え方・価値観のもとに運営していくのかが示されない大学には、運営の方法はあってもその拠り所がありません。府大教は、すべての大学構成員が参加する体制の下で自律的にこの「運営の理念」を宣言する必要があると考えます。全ての大学構成員の共同をさらに前進させ、「大学運営の理念」を含めた、押しつけではない我々の「大学憲章」の制定を目指します。

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Ⅲ 教育研究環境の充実に関する取り組み


中期計画に沿った人員削減が断行され、深刻な人員不足に陥っています。各職場で教員が定員不足でありながら、定員どおりの学生を受け入れています。定年を迎える教員の補充さえままならない状況でありながら、大学統合に向けたスケジュールありきの拙速な学部・学科再編、入試案に追われ、研究はおろか教育の質低下へ懸念が広がります。  学生のために、定員を満たす人員雇用を訴えましょう。非常勤職員の方に常勤へと雇用形態を変える制度を確立しましょう。

学生のために、定員を満たす人員雇用を訴えましょう。非常勤職員の方に常勤へと雇用形態を変える制度を確立しましょう。



教職員数の削減問題

図1に法人化前の2004年度を1とした国立大学における教職員数の変化の時系列を示す。比較データはすべての国立大学の総教・職員数である。国公立大学の情報は文部科学省の統計データから引用した。国立大・公立大全体の教職員数に関する最新のデータ(2017年度分)が執筆時点で未公開であり、比較は2016年度までとなっている。府大の教職員は年々減少を続けていることが分かる。図2には公立大学との比較を示す。図1、2より府大の正規職員数(▲)が急激に減少していることがわかる。教員数(■)も減少している。一方、国立大学における教員数(□)はほぼ横ばい、職員数(△)は1.4倍に増加している。公立大学における教員数は1.2倍、職員数は1.4倍に増加している。わずか14年の間に府大の教職員数が激減し、国公立大学との格差が急激に広がっていることが分かる。

図面3つほど [図2 府大教職員数の年度推移 公立大との比較]

運営費交付金、削減の一途

運営費交付金について、図3にまとめた。府大と国立大学全体の交付金について、2004年度を基準として年次推移を示した。府大の2013年度の交付金額がわずかながら増加したが、国立大学への交付金額と比較すると一段と低い水準であることが分かる。

教員一人あたりの学生数、増加

教員一人あたりの学生数について、図4にまとめた。府大は予てより、教員に対する学生数が比較的少なかった。近年になり、国立大学は学生数が減少した結果、教員一人あたりの負担も削減されているのに対し、公立大学では教員一人あたりの学生数は増加傾向にある。公立大学と比較しても府大の教員一人あたりの学生数増加率は高いことが分かる。

情報ソース:

[1]府大HPホーム>大学案内>大阪府立大学データで見る公立大学法人大阪府立大学
[2]国公立大学の教員数および学生数のデータ:文部科学省HPトップ > 公表資料 > 統計情報 > 文部科学統計要覧・文部統計要覧 > 文部科学統計要覧(平成29年版)>11.大学

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Ⅳ 組織強化



A)組織拡大:安定的な過半数組合を目指す組合員拡大の取り組み
 

府大教は2002年には529名の組合員を組織し、過半数組合としての組織力を保持していましたが、その後の教員定数25%削減計画の実施、府立3大学統合再編、大学法人化、学部再編学域移行、第2期中期計画期間の教職員の削減の中で組合員数が減少し、2019年7月末現在、組合員数は258名となっています。

毎年4月には法人の新規採用者説明会で組合の説明と加入の訴えを行うとともに、組合独自の組合説明会も開催してきましたが、年毎の組合員の退職数が新規加入者数を大きく上回り、第2期中期計画期間の教職員の削減、とりわけ教員の大幅な削減により、組合員数の減少に歯止めがかからず、府大教は組織的にも財政的にも危機的な状況に直面しています。しかし、過重労働の緩和、給与改善、職員の再雇用制度および定年延長、定年延長された教員の期末勤勉手当の見直し、非常勤職員の雇い止め問題など、組合に寄せられる教職員の要求はますます高まって来ています。本年4月には大阪市立大学との法人統合が行われましたが、8月になっても新法人として就業規則を届け出るには至らず、新法人の下での勤務労働条件が明示されているとは言い難い状態が継続しています。府大教は、速やかな就業規則の届け出を求め続けると共に、新就業規則での勤務労働条件の不利益変更の阻止と大阪市立大学との勤務労働条件の均衡など私たちの労働条件の根幹に関わる部分が守られるように取り組みます。さらに、2022年とされている大学統合に向けて、府大教は組合員の勤務労働条件の不利益変更を許さず、教育研究環境のより一層の改善に向けての運動を進めていくとともに、組合の組織強化のために、情宣活動を強化し、組合員拡大の取り組みを進めていきます。

組合員拡大をめざして

  1. 「自ら大阪府立大学を守り、勤務労働条件の改善のために組合加入を」をスローガンに、教育研究環境と勤務労働条件改善の活動と組織拡大を両輪とした運動を進めます。
  2. 組合員拡大の具体的な取り組みを進めます。
    1. 組織部を中心に職場代表と協力して組合加入対象者を明確にします
    2. 府大教の福利厚生活動への参加を組合加入対象者に呼び掛けるとともに、組織強化・救援基金特別会計を活用して、組合員拡大の企画を行ないます
    3. 組合加入を勧めるパンフレットを作成します
    4. 職場で組合員と協力して未加入教職員に組合加入を勧める集いを催します
    5. 非常勤職員への組合加入を積極的に進めます
B) 情宣活動の強化

2017年度末に移転した府大教ホームページ(http://www.fudaikyo.org)では、旧ホストと比較すると容量やCGI等の自由度が格段に拡充されていますので、今後、府大教HPの充実、組合員へのサービス向上に取り組みます。自ドメインであるfudaikyo.orgでのメール運用については、旧アドレスとの混乱を生じないように慎重に進めます。これら新サービスを活用し、すべての組合員に府大教の活動が十分に伝わるよう府大教ニュースや書記局ニュースを発信して行きます。ログイン認証を要する組合員向けに限定したサービスの提供も検討しています。

電子媒体や配布書面だけでは無く、掲示板や立て看板等による啓発、宣伝活動も重要です。従来、ポスター等の掲示物の作成には相応の負担がありましたが、OA機器の進展によりかなりの工程が省力化されてきています。書記局ではA0版対応の複合機を導入し、OA機能の強化に努め、掲示物を活用した情宣活動の活性化を目指します。また、大判複合機等の機材の利用を組合員向けに提供するなど、組合員向けのサービスの展開についても検討していきます。

C)府大教の福利厚生活動の充実

各種のサークル・クラブ等の活動を府大教の福利厚生活動の一環として今年度も補助金などの援助をしていきます。また、独自企画や各種の催しの参加費援助など、福利厚生活動のさらなる充実を目指します。2010年度から府大教の要求に基づいて、法人規程で教職員の福利厚生の充実を目的とする「福利厚生協議会」が設置され、組合推薦で2名の組合員が委員となっています。福利厚生協議会では法人の福利厚生に係る決算および予算が議論され、新法人においても、教職員が加入する公立学校共済組合や大阪府互助組合の事業の状況を検証し、教職員の福利厚生の充実に向けて、福利厚生のあり方が審議されています。教職員向け食堂(生協食堂ミナーレ)開業や「教職員自己研修室」の改善改修、職員研修の充実、人間ドックやインフルエンザ予防接種への補助、喫煙者の禁煙治療費の一部負担など、福利厚生事業もある程度進んできましたが、さらに福利厚生の充実に向けて取り組んでいきます。

D)労働組合としての闘争の戦術研究

公立大学法人の教職員の勤務労働条件は、労働法制に基づいて、労使の交渉によって決しなければなりません。しかしながら、府大教は、高等教育機関である大学の教職員の労働組合であり、高等教育機関である大学の特性に鑑み、労働者の権利に基づく労使の交渉であっても、ストライキの実施や裁判闘争等を行う場合、社会情勢への配慮とともに国立大学法人及び私立大学の状況の検討などが必要です。すなわち、府大教にとって、闘争の戦術研究は重要な課題です。闘争研究部では、労働法に定められた労働基準監督署への改善勧告申し立てや労働委員会への不当労働行為救済申し立て、裁判闘争の手続きなど、勤務労働条件改善のための対法人交渉の方法、戦術について、弁護士との相談も踏まえ、具体的に検討していきます。

E)府大教の組織変更

府大教の組織変更については、2012年度からの学域制移行に伴い旧学部が2016年度からなくなる状況を踏まえ、旧学部を単位とする府大教の職場代表の選出単位について大阪府大学教職員組合選挙規程に定める「別表1」を2016年度府大教臨時大会において改定しました。2017年度4月から法人の組織変更により研究推進本部や教育推進本部等の本部制が行われており、大学統合に向けて、引き続き府大教の組織変更について検討していきます。

F)大阪府大学教職員ユニオンとの関係

嘗ての府大教大仙支部を前身とする大阪女子大学教職員組合は、2008年大阪府大学教職員ユニオンと改称しました。これまで過半数代表者の選出にあたって、大阪府大学教職員ユニオンに推薦人の協力を依頼するなど、いくつかの共闘態勢を取ってきました。大阪府大学教職員ユニオン役員との定期的な懇談会(毎月に1回)を開催し、交流を図るとともに、給与改定や新法人の就業規則の制定などの重要事項については、意見交換し共同して取り組んで来ています。両組合の組織統合に向けた協議にも合意し、大学統合を踏まえ、協議を進めていきます。

G)大教組、全大教、公大連など労働組合上部団体との関係

大教組(大阪府教職員組合)は大阪府の教職員の連合組織で、府大教は大教連(大阪地区大学教職員組合連絡協議会)を通じて大教組に参加し、大教組と府職労(大阪府関係職員労働組合)が組織する府労組連(大阪府関連労働組合連合会)の一員として府労組連の運動に参加するとともに、府労組連中央執行委員を派遣しています。大阪府立大学は公立大学法人大阪の設立団体の一翼である大阪府から運営費交付金を交付されていることから、教育研究環境・勤務労働条件の改善については直営時代と同様に、大阪府との協議交渉が重要です。しかしながら、法人統合後は府労組連と大教組を通じて、要望書や請願署名などを大阪府に提出しているものの、直接大阪府と協議交渉することができません。運営費交付金削減が教育研究環境と勤務労働条件を著しく悪化させてきた今日、大阪府に対して大教組・府労組連と連帯して直接協議交渉することは重要です。

府大教は国立大学、国立高専機構および国立研究機関の教職員組合を主体とする全国組織である全国大学高専教職員組合(全大教)に、岩手県立大学盛岡短期大学、首都大学東京、横浜市立大学、高知県立大学、滋賀県立大学、京都府立大学の6つの公立大学の教職員組合とともに加入していますが、全大教の活動は国立大学が主体であり、公立大学の問題は疎かになりがちで、全大教の公立大学協議会は永らく開催されておらず、公立大学の課題はほとんど議論されていません。しかし、全大教を通じて国立大学の状況や国立大学の教職員組合の情報を得て府大教の活動に生かしていくことは重要であり、今後、府大教が文科省や総務省と協議・交渉などを進めて行くためにも全大教の運動に参加していくことが必要です。全大教に加盟する公立大学と交流し、公立大学協議会の再開にむけて、執行委員を送るなど取り組みを強化していきます。


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Ⅴ 大学の使命と、国民的課題への取り組み


近年の大学を取り巻く政府との情勢を見てみると、少子化が急速に進み、世界のトップ大学との差が指摘される中、国立大学の競争力を上げるために、財務省は国立大学の運営費交付金の大半を占める基幹経費の一部を国立大学それぞれに均等に配分するのではなく、それぞれの国立大学の実績や現状などから判断して、割り当てるという傾斜配分の仕組みを導入しています。2019年度予算においては運営交付金の10%を傾斜配分としました。今後は運営費交付金の全額を傾斜配分にするという議論が出てきています。どのような組織でも運営上絶対に必要となる基幹経費を合理的理屈が全くないまま傾斜配分が拡大すれば、削減された大学の基盤や大学運営は成り立たなくなります(朝日新聞 2019年 7月 29日、2019年 7月 30日)。また、2015年から防衛装備庁により「安全保障技術研究推進制度」が開始されています。この制度は大学や公的研究機関、企業の研究機関に資金を提供して軍事技術の研究を委託するもので、大学教員などからの申請の受付が既になされています。これは,9条改憲に向けた安部政権が大学を軍事研究に巻き込む軍学共同の動きを強めるものです(大阪民主新報 2019年 7月7日)。大学などの研究機関に対して軍事研究のための予算を充てることで様々な知の結集を軍事研究のために活用することが、日本の国に対する社会貢献として評価されることは強く疑問に思えます。このように、大学などの研究機関に対して軍事研究のための予算を充てる一方で、大学の取り組みに応じて運営交付金を傾斜配分する財務省の手法は、学問の自由という大学の根幹の意識が欠如しているだけでなく、大学を産業・経済の手段として捉えています。そこには、大学が大切に守ってきた「個人の尊重」「学問の自由」の概念はもはやありません。府大教は、全構成員の知恵が結集され得る真の大学の在り方を求め、このような動きに強く反対していきます。

一方、大学を取り巻く企業との情勢を見てみると、企業が大学の知見を活用しようと企業と大学との研究開発の連携を一段と深める動きが見られ始めています。具体的な取り込みとして、2019年秋にもダイキン工業やアステラス製薬は大学の研究者(教授や准教授ら)を大学に籍を残したまま雇用する相互雇用を取り入れ、自社の研究に参加してもらい、互いが一つの目標に向けて協力し成果を出すことを目指すとしています(日本経済新聞 2019年 7月21日)。このような取り組みを通じて、文理問わず様々な研究分野における多様な知が結集している大学が、それぞれの研究分野での研究成果から得た知見やその価値を大学間ならびに大学と企業間での連携により提供し、拡散させていく、または新たな知見を生み出すことは今後も大学の最も大きな使命でありつづけると考えられます。 今、日本社会が何を目指し、どこに向かって進んでいるのかについて、私たちは、これまで以上に敏感になる必要があります。府大教は、職場委員を通じて、また、アンケートなどの手段により、すべての組合員の声を聞き、それらの声を今後の府大教の取り組みや運動の強固な基盤にしていきたいと考えています。組合員の皆様から多くの意見を汲み取り、法人、地域社会、日本社会に対して発信していくことにより、健全な大学の発展と社会への貢献を目指して、その使命を果たして参る所存です。

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