大阪府大学教職員組合

 府大教定期大会

2011年度府大教定期大会
2012年度府大教定期大会
2013年度府大教定期大会
2014年度府大教定期大会
2015年度府大教定期大会
2018年度府大教定期大会
2019年度府大教定期大会
2020年度府大教定期大会

大阪府市統合本部
大阪府市新大学構想会議
   で議論されています。

2017年度府大教定期大会

と き 2017年8月30日(水)12:15~
ところ B3棟(教育棟) 1階 117教室
りんくう会場:A-103

大会決議

大阪府市の副首都推進本部が推し進める大阪府立大学と大阪市立大学の法人・大学統合は9月の府議会・市会に新法人定款案が提案されようとしており、大阪府立大学とそこに働く私たち教職員は、大学の存亡に関わる新たな局面を迎えています。これまで統合議論に振り回されながら大幅な運営費交付金と教職員の削減の暴挙に見舞われ、大学の疲弊が著しい今こそ、法人・大学統合に向けての全大学人による真摯な議論が必要です。

安倍政権は安保法制の強化や憲法改悪に大きく歩みを進める一方で、「森友・加計問題」によって安倍政権の腐敗の構造が明るみにされました。国力の増強と経済成長が殊更に強調され、大学に対する軍事関連研究推進の押しつけと「国立大学3類型化」や「指定国立大学法人制度」など教育研究に不当に介入し、高等教育機関を競争的資金で従属させようとする安倍政権の政策は、大学人が大切に守ってきた「個人の尊重」と「学問の自由」を蹂躙し、大学の民主的な発展を阻害するものです。

府大教は、自主自律の精神にあふれる府立大学の伝統を重んじ、将来を切り拓くために、すべての教職員の叡智を結集した民主的な真の大学改革を目指して運動を進めていきます。

府大教は、労働運動の長い歴史の中で労働者自らが勝ち得た団結する権利を尊び、すべての教職員の団結の下、教育研究環境と勤務労働条件の改善に向けて力強く前進していくことを決議します。

「大阪府立大学の民主的な将来を切り拓き、働く条件を改善するために組合加入を!」をスローガンに、共に頑張りましょう。

2017年8月30日

大阪府大学教職員組合2017年度定期大会




目  次

第4号議案 2017年度活動方針

重点課題と具体的取り組み

  1. 教職員の勤務労働条件の改善
  2. 大学の民主的改革に関する取り組み
  3. 教育研究環境の充実に関する取り組み
  4. 組織強化
  5. 大学の使命と、国民的課題への取り組み

第4号議案

2017年度活動方針に関する件

インターネットの情報は玉石混淆といわれますが便利になったというのは実感です。イン ターネットなどの科学技術の発達によりグローバル化が進み、競争の激化や国際的大企業な どへの富の偏在を生じさせました。富の偏在、格差の拡大が階層間の断絶を生じ、トランプ 政権のような危うい政権、テロや地域紛争の頻発を引き起こしています。本来、多くの人の 意見を融合させて、人々の幸せに貢献してくれるはずの科学技術が人々を断絶させていくと は皮肉だなとため息が出ます。日本ではこの6 月15 日に「共謀罪」が成立しました。この法 律の適用範囲の曖昧さが言論統制や普通の国民の活動制限につながるのではと強く懸念され ています。安保法制でも集団的自衛権の行使の要件である「存立危機事態」も大変曖昧なも のです。時の政権がこれらの法律を恣意的に行使し、憲法改悪もして自分たちの思う方向に 国を誘導する体制を整えていっている状況です。

大学を見ると、第5 期科学技術基本法では、大学を科学技術イノベーションとそのための 人材育成の場としています。これ自体は大学のミッションのひとつですが、大学の存在意義 は科学技術イノベーションという矮小化されたものではないはずです。大きな意味でのイノ ベーションの創出を大学は目指さなければなりません。しかしながら、国の財政誘導のもと 国立大学の3類型化(「地域貢献」型、「特定分野」型、「世界水準」型)による差別化、さら に、この6 月30 日には世界トップレベルを目指す「指定国立大学法人」として3大学を選び 差別化の強化が進んでいます。一方、5 月24 日には「専門職大学」を創設することを盛り込 んだ改正学校教育法が成立しています。これは安倍首相が「学術研究を深めるのではなく、 もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組み を、高等教育に取り込みたいと考えている」と言ったことに端を発しています。企業への便 宜を重視したと思われる社会ニーズ、研究と切り離して高等教育ができるという大きな誤認 に深く憂慮せざるを得ません。このような急峻な差別化により大学間に富の偏在と格差の拡 大を進め、理事長、学長のトップダウンで大学改革を進めることにより、一部の者の思う方 向に大学が変革されようとしています。しかし、このような矮小な目的では多様性が育たず、 多様性の芽をつまれた組織は必ず自壊していくというのが自然の摂理です。将来性を考えれ ば多様性の持つ豊穣さを大学に取り込んでいくことが最も大切です。

大阪府立大学も厳しい岐路に立たされています。第2 次中期計画にあった教職員の削減は 驚くほど忠実に遂行されました。中期計画が終了した今年度からは教職員の採用がある程度 緩和されるようです。しかし、増員はほぼ不可能という中、ともかく教育体制の維持だけで 精一杯という現状です。大阪市立大学との統合では平成31 年度からの法人統合が進められて いますが、多くの教職員にとってどのように統合が進められているかは大変不透明です。こ のような状況下で多様性を取り込んだ将来性のある大学をつくっていくためには、教職員、 学生、同窓生の意見を積極的に取りいれたボトムアップの大学運営が不可欠です。このため、 教職員の意見を集約して大学と交渉できる組合の役割は一層重要になってきています。府大 教は真の大学発展を目指して勤務労働条件と教育研究環境の改善を進めていくため、2017 年 度の活動方針について以下のように提案します。

重点課題と具体的取り組み

Ⅰ 教職員の勤務労働条件の改善



A) 給与、労働条件の改善について

本学教職員の勤務労働条件は、労働基準法第1条に「労働条件は、労働者は人たるに値す る生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と定められた労働条件の原 則に則り、第2 条の「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきもの である」に拠って決定されます。また、労働契約法は第9 条で「使用者は、労働者と合意す ることなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働 条件を変更することはできない。」と定め、一方的な勤務労働条件の不利益変更を禁止すると ともに、第10 条で「就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必 要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変 更に係る事情に照らして合理的なもの」と勤務労働条件の不利益変更についての厳しい制限 を定めています。労働者の保護を図る法の理念は、使用者が、賃金についての不利益変更を 行う場合には、「代償措置その他関連する他の労働条件の改善」の措置を取ることを当然の前 提としています。

給与については、地方独立行政法人法(地独法)第57 条の3 は、「法人の業務の実績を考 慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならない。」と規定し ています。すなわち給与の支給の基準は、「法人の財務状況と業務実績」および「社会一般情 勢」であると明示し、大阪府が条例で府公務員に対して定める基準を、法人が画一的に法人 教職員に適用することを強く戒めています。法人はこれまで給与改定に際して、法人の運営 費交付金が大阪府によって措置されていることを理由に「大阪府準拠」を提案し、主要な国、 公、私立大学に比べ、私たち教職員の給与は著しく低くなっています。2016 年度人事院勧告 により国家公務員の公民較差(0.19%)およびボーナスを引上げ(0.1 月分)が指摘されましたが、 2016 年度大阪府人事委員会はボーナスは引上げ(0.1 月分)としましたが、府公務員の給与が 民間を1,075 円(0.28%)上回っているとし、給料月額の引下げを2016 年4 月1 日に遡って 勧告しました。大阪府人事委員会が民間給与の統計調査を人事院のガイドラインに従わず、 独自の基準で行った結果、不当にも給料月額の引下げを勧告したことは、2015 年度に「国家 公務員の給与制度の総合見直し」に追随し、給与の2%削減を勧告したことと同様に、「府準 拠」論により、本学教職員に大きく影響を与えることとなりました。大阪府人事委員会の勧 告も人事院勧告も「社会一般情勢」を明示する根拠ではありますが、大学の教職員という職 種においては、他の国公私立大学との比較が最も重要です。近年、期末勤勉手当支給率が改 善されてきていますが、残念ながら給与水準は近隣の国立大には及びません。「大阪府準拠」 に対しては、これまでも代償措置を勝ち取っては来ていますが、給与水準そのものを引き上 げていく運動を強く進めて行くことが重要です。

労働法制の下におかれている独立行政法人である国立大学においては、東日本大震災の復 興財源とするという理由で、人事院勧告に拠らず特例法で7.8%も給与切り下げが行われた 国家公務員に準じた給与切り下げが進められ、全大教と加盟11 単組が賃金不払いの裁判闘争 を提起しました。結審したいくつかの裁判は残念ながら原告の主張は認められず、組合が敗 訴しています。府大教は国立大学の教職員組合の闘いを支援し、裁判闘争の経験と教訓を共 有し、大学法人の財政状況、とりわけ運営費交付金の人件費と教職員の給与のあり方がどの ように裁判で判断されるか注視していきます。大学の教職員としての尊厳を回復し、働き甲 斐のある職場を目指し、府立大学を発展させるためにも、給与の改善は重要な課題であり、 国、公、私立大学の教職員の給与水準について賃金闘争部を中心に調査を進め、法人独自の 給与制度の構築に向けて取り組みを継続していきます。

労働法で保障された労使交渉に全組合員の団結で粘り強く取り組み、不利益変更を許さず、 大学の崇高な社会的使命に相応しい「法人独自制度」を作らせる闘いを進めましょう。

A1 業務に見合った特殊勤務手当等の導入

これまでの府大教の取り組みの中で、法定職をはじめいくつかの手当が特殊勤務手当とし て制度化され充実されてきました。一方、社会貢献に関する報奨金は廃止されましたが、試 行実施されている教員業績評価による報奨金は支給され続けています。実際に汗をかき大学 に貢献している教職員の業務に見合った特殊勤務手当の導入は、勤務労働条件の改善向上、 組合員の権利拡大に向けて重要な課題です。特殊勤務手当等の新設、導入、維持改善につい ては、今後も他の国公立大学の状況を調査し、教職員の業務の実態に合わせて更なる充実に 向けて取り組みを強化していきます。また、理事長のトップダウンの大学運営の下で膨れあ がった「管理職」の手当支給の妥当性を検証するとともに、実際に種々の管理業務にあたっ ている教員に相応の手当が支給されるよう取り組みを進めます。

A2 裁判・労働委員会闘争の研究

府大教は労働組合として法人登記し、「法人格」を取得することにより、府大教が裁判所や労働委員会に提訴するための条件を整備してきました。また、労働審判法は使用者と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルを、そのトラブルの実情に即し迅速、適正かつ実効的に解決することを目的とする労働審判手続を定め、通常の裁判訴訟に比べて手続も容易で、短期間で紛争解決を図る手段として組合員が個人として訴訟する有効な手段です。府大教は、北大、阪大において不当労働行為救済申し立てが地方労働委員会で認められたこと、京大を中心に取り組まれている給与不払いに関する裁判闘争、多くの国立、私立大学の裁判闘争からの教訓に学び、これからも裁判・労働委員会闘争について研究、検討を進めていきます。

A3 勤務時間の短縮について

教職員の勤務時間の短縮を要求してきた府大教の運動の成果として、2010年4月より専任職員への勤務時間の短縮が導入され、2011年4月からは非専任職員(フルタイム契約職員)にも勤務時間の短縮が実施されました。2つの勤務体制(A勤9時~17時30分、B勤9時15分~17時45分)により実施されている勤務時間制は多くの職場で定着してきているものの、短縮の成果が十分に見られないことや授業時間との不整合による一部職場での時間変更やサービス残業の実態も見られます。各職場の勤務実態を踏まえ、すべての教職員にとって勤務時間の短縮をさらに実効あるものとするために、2017年度は勤務時間体制の見直しを法人と協議し、改善を図ります。組合員の皆さんの声を基に、勤務時間の短縮を実効あるものとするため、粘り強く運動を進めて行きます。

A4 学年歴の見直しと年休取得促進について

近年、講義回数の15回厳格化、ハッピーマンデー制度等による祝祭日の増加によって学年歴は大きく変貌し、2015年度から祝日開講(前期、後期とも各2日程度)を導入ました。しかしながら、祝日を勤務日とすることの影響は大きく、特に育児や介護を抱える教職員にとっては容易に受け入れられるものではありません。ただでさえ代休、年休取得が難しい中、振替勤務日の設定は容易ではなく、服務管理者からの指示で振替日を指定しても、出勤日が増加するといった結果になることも懸念されます。そのような勤務日の変更による不利益が発生しないよう、十分に注視し改善に向けた交渉を進めます。合わせて、教職員の夏期休暇、年休取得をはじめとする休養日の充実に向け、取り組みを強化していきます。また、入試関連や社会貢献の各種業務が増加する中で、教職員は週末でさえ無理な出勤を強いられています。教職員の健康被害を未然に防ぐ対策についても継続して法人に強く求めていきます。。

A5 教職員の人事評価制度について

2006年に大阪府の教職員に人事評価制度が導入され、法人においても府派遣職員をはじめ教員を除く全ての法人常勤職員に「大阪府準拠」の人事評価が行われ、勤勉手当に評価結果が反映される仕組みとなっています。大阪府の人事評価制度はこれまでの府労組連と府職労の闘争の取り組みの中で多くの問題点が指摘され、いくつか見直しされてきましたが、府派遣職員の法人職員化などにより府派遣職員が大幅に減少している府立大学では、法人独自の職員の「人事評価制度」が必須です。また、府人事委員会は「人事評価は、評価を通して、職員の資質の向上及び公務能率の向上を図ることが目的であり、人事評価制度の運用にあたり、最大限の効果を発揮するための努力を継続されるよう望む」として、すでに破たんしている評価制度を追認する不当なものになっています。民間研究機関の調査でも「企業内の年齢内格差が大きい企業ほど、社員の健康状態が悪いことが確認され、成果主義導入による弊害が生じている」ことが明らかになっています。府大教は、組合員の意見を基に、法人独自の人事制度の構築とともに、人事評価制度の見直しを要求していきます。

教員の業績評価と処遇への反映は、その目的が高等教育機関としての大学の使命と責務に合致し、教員の職務内容を総合的且つ合理的に評価し得る公正で多様な評価であることが求められます。府大教は、2012年度から試行実施された教員業績評価の結果の検証を強く法人に求め、教員業績評価が公正で公平な評価となるよう評価の方法と基準を見直すとともに、不公平な評価制度に基づく処遇への反映を行わないことを一貫して求めて来ました。2015年度に実施された教員業績評価についての交渉では、就業規則に基づかない教員業績評価は違法であり、試行実施であることを確認するとともに、評価の方法に「目標管理」を導入することや「素点」による総合評価の見直しを協議しましたが、法人は処遇への反映について、「教員業績評価の結果を斟酌して、報奨金10万を支給」を譲りませんでした。2016年度の交渉では、法人での教員業績評価の方法と基準の見直しが進んでいないことから、就業規則に基づかない教員業績評価の実施は試行であっても違法であることを強く意見し、法人は理事長の下に教員業績評価検討のタスクフォースを設置しました。また、新しく就業規則第11条勤務評定)に関する「勤務評定制度協議会」を法人に設けることに合意し、法人と組合(府大ユニオンを含む)それぞれ4名ずつの委員で、教員業績評価を含め勤務評定制度について協議することになりました。教員業績評価については、これまで12月の勤勉手当に合わせた報奨金支給の法人提案を踏まえ、法人と交渉・協議を行ってきましたが、今年度からは「勤務評定制度協議会」での協議に加えて、法人と交渉・協議を行っていきます。

府大教は、公平性、透明性を担保された、様々な領域・分野で本学を支える教員がやり甲斐を育めるような教員業績評価の整備に向けて取り組みを進めます。

B) 教員の課題

第2期中期計画での教職員の削減は終結しましたが、第3期中期計画期間が始まる2017年度は常勤教員646人、常勤職員164人となっています。人事委員会制度の下で補充人事も進まない中で、教員の勤務労働条件の改善のために引き続き取り組む重要な課題は、教員の業務の過重に対する見直しです。授業負担の著しい増加とともに、教育研究組織と教員所属組織の分離再編、組織改革や評価に係る会議、入試業務、社会貢献等が増大し、さらに研究費削減の一方で、外部資金獲得のためや事務手続きに費やされる時間が増えており、教員の「研究時間」の減少は教育研究環境の悪化に拍車をかけています。また、「祝日開講」、オープンキャパスや補講など週休日の出勤と週休日の振替が生じるなど、「研究時間」の確保はますます困難になっています。府立大学が高度研究型大学をめざすうえで、「研究時間」の確保は最も緊要な課題です。専門業務型裁量労働制の適用をはじめ、適正な教育研究環境の改善確保の問題として、教員の勤務状況を適正に調査し、その実態を明らかにするとともに、問題点を整理し、課題を提起していきます。

B1 裁量労働制試行導入に伴う教員活動支援策の拡充

2008年度から教員に対する裁量労働制が試行導入され、「1週間の勤務時間(38時間45分)のうち、非裁量業務がおおむね半分を超えない」裁量労働制の基準を充たしているかについて多くの疑義が明らかにされてきています。このような疑義を払拭し、法人が取るべき施策として、十分な教員活動支援策をとることを労働協約(確認書)で確認してきました。しかしながら、現行の教員活動支援策は、不十分と言わざるをえません。特に、授業負担、事務処理等の非裁量業務が多くの教員に陰鬱に圧し掛かってきている現状を見るならば、裁量労働制の試行導入の根拠そのものが揺ぎはじめているとみなさざるをえない状況になっています。大幅な教員削減が行われる中、講義負担もさらに過重になるとともに、教員の実労働時間が増加している現状を真摯に認識し、労働時間管理のあり方や「講義持ちコマの標準化」と言うような教員活動支援策の改善が求められています。府大教はこれらに対する取り組みの強化を図ります。

C) 職員の課題

組合活動の原点は、組合員の身近な問題に取り組み、働きがいのある職場環境と働きがいのある勤務労働条件の獲得です。教職員の給与等の不利益変更に対し、教員に対しての代償処置はあっても職員に対しての代償処置はほぼゼロです。同じ事業所、同じ法人で働く法人職員の労働条件の改善に努力します。

より良い労働環境・労働条件を目指し、以下を重点項目として取り組み法人に申し入れます。また、組合員の皆様のご意見を労使協議等に反映し勤務労働条件の向上を目指します。

  1. 年金受給年齢引き上げに伴って、法人職員の定年を65歳に引き上げ
  2. 法人独自の法人職員の昇任・昇格制度の確立
  3. 職員に対しての福利厚生の充実
  4. 大学の将来を見据えた職員の育成、専門知識・専門技術の強化のための研修等の保障、およびその知識・技術継承のための対策
  5. 業務量に応じた適正な職員の配置(時間外勤務の削減、各職場の業務量の均一化)
  6. より良い労働環境になるよう職場環境の改善
  7. A8棟の地震対策(耐震補強・1階フロアの床面補強・工作機械の固定)

D) りんくうキャンパス

2017年度りんくう執行部は過半数代表とともに,りんくうキャンパスで勤務する教職員が,安心して日常の業務や教育研究に専念できるよう、労働条件や処遇の改善に努めます。また,りんくう事業場安全衛生委員会とも協力して職場環境の改善に努めます。

中央執行部との連携を強化し,中百舌鳥キャンパスで開催される中央執行委員会や労使協議にも,遠隔中継を利用するなどして,できる限り参加していきます。りんくう独自の労働環境である臨床センターについては,勤務実態の把握に努め,労働条件の改善のために過半数代表者を通じて要求するべきことがないか注視していく所存です。

福利厚生活動については、中百舌鳥キャンパスで行われる活動への参加が難しいことから,りんくうキャンパス独自の企画も検討します。現在活発な種々の同好会活動を継続するとともに新しい活動も支援していきます。


E) 羽曳野キャンパス

羽曳野キャンパス部局では、組合員相互の交流を深めていきます。組合の必要性や府大教での取り組みを積極的に訴え、非常勤職員を含め、組合員を増やしていきます。羽曳野キャンパスで働く教職員が安心して働ける労働環境の実現を目指していきます。

継続協議となっている空調問題については、教育研究環境を改善させるうえでも重要なことです。引き続き集中空調の運転時間の延長と必要な部屋への個別空調の設置の実現に向けて取り組んでいきます。


F) 非常勤職員の課題

府大教は、法人化後、非常勤職員の組織化を行うとともに労働条件の改善に取り組んできました。1年毎の労働契約で雇用されている非常勤職員の雇用の延長(3年限度→特段の事情のある場合は5年)、給与改善(2014.4から平均2.56%UP)、フルタイム勤務者への時間短縮、健康診断項目の拡大など、少しずつではありますが改善してきました。

2017年7月末現在、府立大学3キャンパスには169名の常勤職員、約800名の非常勤職員が勤務しています。どの職場も非常勤職員なくしては業務の遂行が厳しい状況となっていますが、このことは法人も十分に認めています。5年間の経験を積み、大学業務に精通した非常勤職員が年度末で雇い止めとなり、4月に新たな人材を雇用することは、当事者同士の引き継ぎも行われず常勤職員への負担を強いることとなり、雇用コストに加え、大学にとって大きなマイナスと言えます。

これまでの取り組みの結果、非常勤職員の中から社会人採用等で常勤職員となった方や労働契約法の改正に伴い専門的な業務で無期雇用となった方、非常勤職員から常勤職員へ採用された方などがいますが、現状ではわずかに過ぎません。府大教は改正労働契約法18条(無期労働契約への転換)、19条(雇止め法理)の趣旨に則って、働きがいのある職場を目指して、雇用の改善に取り組みます。また、改正労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)に照らして非常勤職員の労働条件が常勤職員に比べて不当に切り下げられていないかを非常勤職員アンケート等を行い検証していきます。更には、「5年雇止め」を廃止し無期転換を実施している他大学の状況なども調査し、非常勤職員の無期転換の実現と労働条件の改善を求めていきます。


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Ⅱ 大学の民主的改革に関する取り組み

大阪府立大学、大阪市立大学の統合問題については、2015年2月27日に「新・公立大学」大阪モデル(基本構想)が決定されましたが、2015年5月17日の住民投票により大阪府市の統合は無くなりました。しかし、10月、大阪府、大阪市、大阪府立大学、大阪市立大学の4者により、「新大学案(平成25年10月版)」が策定されて以来続いている大学統合への動きはなくなっていません。近年では副首都推進本部会議のテーマとして副首都と並んで新大学が取り上げられ、新大学の姿の検討依頼が4者タクスフォース(府・市・両大学)に対して行われています。さらに新大学の戦略領域の検討依頼が3つのWS(スマートシティ/データマネジメントWS、パブリックヘルス/スマートエイジングWS、バイオエンジニアリングWS)に行われ、ここでは各領域における両大学の持つ能力や資源、実績の検討が行われ、その課題にまで言及されています。しかし、これら新大学の根幹にかかわる戦略領域の議論に対して大阪府立大学は大学としての立場や意見を明らかにすることに至っておらず、またその基盤となる学内での議論も行われていません。

公立大学は、高等教育機関として、また地域住民の教育文化の拠点として、多面的な役割を担っています。一時の流行に流された行政主導の改革は、大学の真の発展を阻害するものです。教育基本法第7条第2項は「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と規定しており、組織改革には、大学の自主性を尊重し、公開された大学内での十分な民主的議論を経ることが不可欠です。大学を単に大阪府・市に役立つ機関とするだけではなく、高等教育機関としての役割を十分に果たし、高度の教育研究や文化を持続発展させることのできる、府民・市民のための大学改革を目指すことが必要です。

府大教は、民主的な大学運営を求め、法人との定期協議、理事折衝、学長会見や部局長会見を通じて、大学統合や改革の問題点を明らかにし、組合員への情報提供に努めてきました。しかし、まだ学内議論は十分とは言えず、府大教には改革のオピニオンリーダーとしての役割を果たすことが求められています。下記の方針の下に、大学統合問題、教育体制、教職員定数や教員所属組織の問題などの課題に取組み、すべての教職員とともに民主的な大学づくりを目指します。

A)「大学改革」に全学教職員の意見を反映させること

2012年4月から新学域体制がスタートして以来、基礎教育の全学化、教員の削減等により、人員確保の困難や教員の負担増が顕在化し、2016年度末に削減計画は終了したものの退職者補充以外の人員の確保は依然として難しいことが予想され、現在の負担の軽減にはつながらないと考えられます。制度改革においても2011年度から始まった教員所属組織は構成員の意向や研究教育の実態を十分把握せずに導入されたため、いたずらに会議を増やし管理体制の混乱を招いただけで実質的には機能せず、教育や組織運営の責任体制を曖昧にし、大学教育に不可欠な自治的運営に支障をきたすとともに大学の自治の形骸化を招きました。その結果、結局は従来の研究科中心の組織体制に復するなど、実態に即した組織の問題の解決は進んでいません。

不十分な教職員配置、運営費交付金縮減は大学としての活力の衰退をもたらします。府立大学のさらなる発展のために、教職員定数と運営費交付金を十分に確保することが必要です。また、不十分な教職員配置を放置することは、雇用問題や勤務労働条件に直結するものであり、府大教は、教職員の勤務労働条件、教育研究条件の改悪に反対し、雇用を守ります。

府大教は、今後の大学統合の動きに注視し、行政主導による改革ではなく、民主的な大学運営の実現のために、学生を含めた全構成員の声を反映した大学運営の実現を求め、大学改革の問題点について情報交換を行い、共通の認識を広めるとともに組合方針に反映します。

B) 理事長・学長の民主的な選考制度の確立

府大教はこれまで一貫して、学長となる理事長の選考に、意向投票の実施等、大学構成員の意思を公平に反映する民主的な仕組みを作ることを要求してきました。これまでの理事長は意向投票について検討すると発言したことはあっても、その制度を変えることはありませんでした。法人化によって理事長に権限が集中し、しかも理事長選考会議が十分な審議や学内での意見聴取も経ないまま理事長の選考を行ってきたことは、大学の民主的な運営にとって大きな問題となっています。

府大教は、理事長・学長が全学の構成員の総意としての信頼を得るためには「意向投票」制度が不可欠であり、これからも理事長・学長選考について教職員が積極的に関与し、選考制度に大学構成員の意思を反映する民主的な仕組みを作ることをめざします。また理事長・学長の権限の大きさと責任の重さに鑑み、リコール制度を内規として設けることは不可欠です。速やかに理事長・学長の解任規程を整備し、解任請求投票制度を制定することを法人に要求します。

C) 教育研究会議の尊重

法人化後、それまで大学の組織運営に重要な役割を果たしてきた評議会、教授会の意向が軽視され、理事長、役員会によるトップダウンの大学運営となっており、しかもその運営状況が構成員によって評価される仕組みさえもありません。府大教は、大学運営が教育公務員特例法の精神を承継し、学問の自由と大学の自治に則り、構成員の意思と構成員によるチェック機能が反映できる仕組みを目指します。

法人化後、評議会の機能を引き継いでいるはずの教育研究会議は、単なる連絡会となっていると言われています。このような状態では、大学が自治されているとは言えません。また、一般的な組織では当然あるべき構成員の意見を調査する活動もないなど、意見集約のボトムアップが機能していない状態は、構成員の組織への一体感と意欲を失わせ、諦めと絶望感をますます助長しています。府大教は、教育研究会議を教育研究に関わる重要事項を実質的に審議し、運営状況をチェックする機関として機能させる民主的な大学運営の実現を要求します。

D) 大学憲章の制定を目指して

他大学の多くは大学の目的や理念をいろいろな形で明示しています。それらには、「教育の理念」・「研究の理念」・「大学の社会的使命」の3点に加え、「大学の自治・大学運営の理念」が必ずといってよいほど明記されています。しかしながら、本学では「大学運営の理念」が明示されていません。法人に「大阪府立大学憲章準備委員会」が設置されていますが、近年、委員会は開催されていません。府大教は、すべての大学構成員が参加する体制の下で、自律的にこの「運営の理念」を宣言する必要があると考えます。全ての大学構成員の共同をさらに前進させ、「大学運営の理念」を含めた、押しつけではない我々の「大学憲章」の制定を目指します。

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Ⅲ 教育研究環境の充実に関する取り組み


中期計画に沿った人員削減が断行され、深刻な人員不足に陥っています。各職場で教員が定員不足でありながら、定員を超える学生を入学させており、教育の質低下へも懸念が広がります。さらに、新学長からは市大との統合に関する主体的な意見はなく、設立団体と大阪府・市議会の意向に流されるばかりとの不安から将来の見通しも暗い状況です。同時に、非常勤職員の方が雇用期限を迎え、教育研究活動の支えを失う事態となっています。

学生のために、定員を満たす人員雇用を訴えましょう。非常勤職員の方に常勤へと雇用形態を変える制度を確立しましょう。

教職員数の削減問題

図1に法人化前の2004年度を1とした国立大学における教職員数の変化の時系列を示す[1,2]。比較データはすべての国立大学の総教・職員数である。国公立大学の情報は文部科学省の統計データから引用した。府大の教職員は年々減少を続け、2014年度では本学の教員数は0.76、職員数が0.55となっている。図2には公立大学との比較を示す。図1、2より府大の正規職員数(▲)が急激に減少していることがわかる。教員数(■)も減少している。一方,国立大学における教員数(□)はほぼ横ばい、職員数(△)は1.4倍に増加している。公立大学における教員数は1.2倍、職員数は1.3倍に増加している。わずか12年の間に府大の教職員数が激減し、国公立大学との格差が急激に広がっていることが分かる。

運営費交付金、削減の一途

運営費交付金について、図3にまとめた。府大と国立大学全体の交付金について、2004年度を基準として年次推移を示した。府大の2013年度の交付金額がわずかながら増加したが、国立大学への交付金額と比較すると一段と低い水準であることが分かる。

教員一人あたりの学生数、増加

教員一人あたりの学生数について、図4にまとめた。府大は予てより、教員に対する学生数が比較的少なかった。近年になり、国立大学は学生数が減少した結果、教員一人あたりの負担も削減されているのに対し、公立大学では教員一人あたりの学生数は増加傾向にある。公立大学と比較しても府大の教員一人あたりの学生数増加率は高いことが分かる。

情報ソース:

[1]府大HPホーム>大学案内>大阪府立大学データで見る公立大学法人大阪府立大学
[2]国公立大学の教員数および学生数のデータ:文部科学省HPトップ > 公表資料 > 統計情報 > 文部科学統計要覧・文部統計要覧 > 文部科学統計要覧(平成29年版)>11.大学

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Ⅳ 組織強化



A)組織拡大:安定的な過半数組合を目指す組合員拡大の取り組み

府大教は2002年には529名の組合員を組織し、過半数組合としての組織力を保持していましたが、その後の教員定数25%削減計画の実施、府立3大学統合再編、大学法人化、学部再編学域移行の中で組合員数が減少し、2017年8月現在、組合員数は281名となっています。

毎年4月には法人の新規採用者説明会で組合の説明と加入の訴えを行うとともに、組合独自の新規採用者説明会も開催してきましたが、年毎の組合員の退職数が新規加入者数を大きく上回り、第2期中期計画期間の教職員の削減、とりわけ教員の削減により、組合員数の減少に歯止めがかからず、府大教は組織的にも財政的にも危機的な状況に直面しています。

しかし、過重労働の緩和、給与改善、職員の再雇用制度および定年延長、定年延長された教員の期末勤勉手当の見直し、非常勤職員の雇い止め問題など、組合に寄せられる期待は高まっています。さらに、2019年4月には大阪市立大学との法人統合が計画されており、組合員の雇用の安定と、勤務労働条件の不利益な変更の阻止など非常に重大な課題が突きつけられています。府大教は組合員の勤務労働条件の不利益変更を許さず、教育研究環境のより一層の改善に向けての運動を進めていくとともに、この危機的な組織状況を克服するために、情宣活動を強化し、組合員拡大の取り組みを進めていきます。

組合員拡大をめざして

  1. 「自ら大阪府立大学を守り、勤務労働条件の改善のために組合加入を」をスローガンに、教育研究環境と勤務労働条件改善の活動と組織拡大を両輪とした運動を進めます。
  2. 組合員拡大の具体的な取り組みを進めます。
    1. 組織部を中心に職場代表と協力して組合加入対象者を明確にします
    2. 府大教の福利厚生活動への参加を組合加入対象者に呼び掛けるとともに、組織強 化・救援基金特別会計を活用して、組合員拡大の企画を行ないます
    3. 組合加入を勧めるパンフレットを作成します
    4. 職場で組合員と協力して未加入教職員に組合加入を勧める集いを催します
    5. 非常勤職員への組合加入を積極的に進めます
B) 情宣活動の強化

2015年7月に新たに書記1名を採用し、書記2名体制を堅持するとともに、書記長を中心に書記局の充実を図り、情宣活動を強化します。また、すべての組合員に府大教の活動が十分に伝わるよう府大教ニュースや書記局ニュースを活用して行きます。

C)府大教の福利厚生活動の充実

各種のサークル・クラブ等の活動を府大教の福利厚生活動の一環として今年度も補助金などの援助をしていきます。また、独自企画や各種の催しの参加費援助など、福利厚生活動のさらなる充実を目指します。2010年度から府大教の要求に基づいて、法人規程で教職員の福利厚生の充実を目的とする「福利厚生協議会」が設置され、組合推薦で2名の組合員が委員となっています。福利厚生協議会では「公立大学法人大阪府立大学福利厚生指針(案)」が議論され、年度ごとに作成されています。教職員の福利厚生の充実に向けて、福利厚生の基本方針が審議され、目標と行動計画が定められます。これにより教職員向け食堂(生協食堂ミナーレ)開業と「教職員自己研修室」の改善改修もある程度進みましたが、さらに福利厚生施設の充実に向けて取り組んでいきます。

D)労働組合としての闘争の戦術研究

公立大学法人の教職員の勤務労働条件は、労働法制に基づいて、労使の交渉によって決しなければなりません。しかしながら、府大教は、高等教育機関である大学の教職員の労働組合であり、高等教育機関である大学の特性に鑑み、労働者の権利に基づく労使の交渉であっても、ストライキの実施や裁判闘争等を行う場合、社会情勢への配慮とともに国立大学法人及び私立大学の状況の検討などが必要です。すなわち、府大教にとって、闘争の戦術研究は重要な課題です。闘争研究部では、労働法に定められた労働基準監督署への改善勧告申し立てや労働委員会への不当労働行為救済申し立て、裁判闘争の手続きなど、勤務労働条件改善のための対法人交渉の方法、戦術について、弁護士との相談も踏まえ、具体的に検討していきます。

E)府大教の組織変更

府大教の組織変更については、2012年度からの学域制移行に伴い旧学部が2016年度からなくなる状況を踏まえ、旧学部を単位とする府大教の職場代表の選出単位について大阪府大学教職員組合選挙規程に定める「別表1」を2016年度府大教臨時大会において改定しました。2017年度4月から法人の組織変更により研究推進本部や教育推進本部等の本部制が行われており、法人統合を踏まえ、引き続き府大教の組織変更について検討していきます。

F)大阪府大学教職員ユニオンとの関係

大阪女子大学教職員組合は、2008年大阪府大学教職員ユニオンと改称しました。これまで過半数代表者の選出にあたって、大阪府大学教職員ユニオンに推薦人の協力を依頼するなど、いくつかの共闘態勢を取ってきました。また、大阪府大学教職員ユニオン役員との定期的な懇談会(毎月に1回)を開催し、交流を図るとともに、給与改定など就業規則の変更や教員業績評価など重要事項については、意見交換し共同して取り組んで来ています。将来の組織統合に向けて協議することにも合意し、法人統合までに組織統合できるよう協議を進めていきます。

G)大教組、全大教、公大連など労働組合上部団体との関係

大教組(大阪府教職員組合)は大阪府の教職員の連合組織で、府大教は大教連(大阪地区大学教職員組合連絡協議会)を通じて大教組に参加し、大教組と府職労(大阪府関係職員労働組合)が組織する府労組連(大阪府関連労働組合連合会)の一員として府労組連の運動に参加しています。大阪府立大学は公立大学法人の設立団体である大阪府から運営費交付金を交付されていることから、教育研究環境・勤務労働条件の改善については法人化前と同様に、大阪府との協議交渉が重要です。しかしながら、法人化後は要望書や請願署名などを大阪府に提出しているものの、直接大阪府と協議交渉することができなくなっています。府派遣職員の組合員を持ち、運営費交付金削減が教育研究環境と勤務労働条件を著しく悪化させてきた今日、大教組・府労組連と連帯して直接、大阪府と協議交渉することは重要です。

府大教は国立大学、国立高専機構および国立研究機関の教職員組合を主体とする全国組織である「全国大学高専教職員組合(全大教)」に、岩手県立大学盛岡短期大学、首都大学東京、横浜市立大学、高知県立大学、滋賀県立大学、京都府立大学の6つの公立大学の教職員組合とともに加入していますが、全大教の活動は国立大学が主体であり、公立大学の問題はどうしても疎かになりがちで、全大教の公立大学協議会は永らく開催されておらず、公立大学の課題はほとんど議論されていません。しかし、全大教を通じて国立大学の状況や国立大学の教職員組合の情報を得て、府大教の活動に生かしていくことは重要であり、今後、府大教が文科省や総務省と協議・交渉などを進めて行くためにも全大教の運動に参加していくことが必要です、全大教の公立大学と交流し議論を深めていくことをめざして引き続き全大教に対して公立大学協議会の再建を求めていきます。

「全国公立大学教職員組合連合会(公大連)」は公立大学の35の教職員組合が加入する組織で2006年に協議会から連合会に発展改組しました。公大連は公立大学協会(公大協)や文科省・総務省との協議・交渉の接点として期待されますが、ここ数年、公大協との懇談や協議もなく、文科省・総務省との接点もありません。府大教は公大連に設立当初から加盟し、これまで分担金(2017年度240000円)を負担して来ましたが、公大連設立時から事務局として大きな役割を担ってきた大阪市立大学教職員労働組合が近年、公大連で中心的な役割が果たせず、公大連の運動は理論的な基軸を失うとともに、大きく衰退しています。

府大教は2015年度府大教定期大会で決定した運動方針に基づいて、「全大教」と「公大連」2つの国公立大学の教職員組合の全国組織への参加とその取り組みについて、分担金の負担も含めて検討した結果、「全国公立大学教職員組合連合会(公大連)」の脱退を2017年度定期大会に提案します。


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Ⅴ 大学の使命と、国民的課題への取り組み


今、安倍政権によって日本の国家体制の改造が進められています。平和・人権・民主主義が脅かされる「安保法制」は「集団的自衛権」など自衛隊活動の拡大です。稲田元防衛相の答弁からも文民統制ができていないことは明らかです。また、現政権からは立憲主義 の否定という言動や態度が頻発しています。安倍首相の「抑止力」によってのみ平和が維持されるというように倒錯した思想のもとで憲法改悪は強行に進められようとしています。現在、自衛隊の任務として参画している活動が、さらに、徴兵制(経済的徴兵制も含めて)などに拡大していくことが危惧されます。戦前、多くの有為の学生たちの犠牲を守ることができなかった反省に立ち、若者たちの教育と人間形成に関与する大学は、このような危険性の芽を摘み取ることに全力を挙げなくてはなりません。府大教は、このための運動を支援し、また、全大教などと連携しながら、署名活動などを展開していきます。

今日の日本における大学を取り巻く状況に目を転じてみると、「大学のガバナンス改革」の名の下に、学校教育法「改正」による教授会の機能制限、国旗・国歌の強制、文系学部・大学院の見直し等、大学の民主的な運営や学問の自由を脅かすような動きが進行しています。国益に直接つながる技術革新や産業振興に寄与する自然科学系の研究など「見返り」の大きい分野に力を入れさせ、軍事研究を促進する動きなど、大学の取り組みに応じて運営交付金を配分する文科省の手法は、学問の自由という大学教育の根幹の意識が欠如しているだけでなく、大学教育を産業・経済の手段として捉えるなど、大学教育の捉え方が大きく歪んでいます。さらに、運営交付金というカネの力で大学の主体性を奪い、学長のトップダウンによって大学を統制しようとの意図が透けて見える(朝日新聞より)といえます。国力の増強・経済成長が強調され、大学組織もその国策を担うコマとして組み込まれてきています。そこには、大学が大切に守ってきた「個人の尊重」「学問の自由」の概念はもはやありません。府大教は、全構成員の知恵が結集され得る真の大学の在り方を求め、このような動きに強く反対していきます。

今、日本社会はどこに向かっているのか、私たちは、これまで以上に敏感になるべきです。府大教は、職場委員を通じて、また、アンケートなどの手段で、すべての組合員の声を聞き、それらの声を運動の強固な基盤にしたいと考えています。ボトムアップの力を結集して、多くの意見を汲み取り、法人、地域社会、日本に対して発信していくことにより、健全な大学の発展と社会への貢献を目指して、その使命を果たしていきます。

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